2003年7月号 句読点の打ち方 |
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日本語の文には、「句点(。)」と「読点(、)」があります。句点(読点)を書くことを「句点(読点)を打つ」と言います。 句点の打ち方は、簡単です。文の終わりに打ちます。また、文の終わりには、必ず句点が必要です。 一方、読点の使い方には、正式な規則はありません。読点は、文を書く人が、文が読みやすくなるように考えて打つものです。しかし、「自由に考えて使ってください」と言われても、どのように使えばいいのか、困ってしまいます。そこで、「読点を打つ場所」について、ごく簡単にまとめてみましょう。 まず、短い文には、読点を打つ必要がありません。例えば、「これは鉛筆です。」とか「動物園にパンダがいます。」という短い文は、普通、読点を打ちません。しかし、例1のような長い文には、読点を打ったほうが読みやすくなります。
読点をどこに打つか読点を打つ場所として、特に意識してほしいのは、「接続詞(接続の言葉)の後」と「助詞の後」です。 「接続詞の後」には、読点を打ちます。文のはじめの「しかし」「だから」「つまり」などの後です。また、「以上のように」「それを基本として」などのような、文をつなぐ言葉の後にも、読点を打ちます。 「助詞の後」には、読点を打つ場合と打たない場合があります。「のに」「ので」「たら」「から」などの「接続助詞の後」には、読点を打ちます。「は」「も」「こそ」「さえ」などの後にも、読点を打つことが多いです。「が」「を」「に」「で」などの場合、「その助詞の前に名詞句(節)がある時」は、打ったほうが読みやすくなります。また、「に」「で」が、場所や時間を表す場合も、読点を打ったほうが読みやすくなることが多いと思います。それに対して、助詞「と」「や」「の」などが、名詞と名詞をつないでいる場合には、読点を打ちません。 そのほかに、いくつかの動詞や形容詞を並べる時にも、読点を打つことが多いです。 例えば、次のように読点を打ちます(ただし、絶対にこのように打たなければいけない、というわけではありません)。
一般的にいって、中国の生徒が書いた日本語には、読点が少なすぎます。これは、漢語には、あまり読点(,)を打つ習慣がないこと、モンゴル語や朝鮮語を母語とする生徒は、母語が「わかちがき」をするので、やはり読点を使う習慣がないためだと思います。作文指導をする時には、上にまとめたことを基本にして、読点をどこに打つか、自分で考えながら文を書くように指導してください。また、句読点を打つ時には、必ず一マス使うこと、読点を打たない空白のマスを文中に作ってはいけないということもあわせて指導してください。 本田弘之
杏林大学助教授 |