2000年10月号 「~を通して」と「~を通じて」 |
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高校『日語』第1冊第13課には「この交流を通して」とあり、第2冊第14課には「今回のボランティア活動を通じて」とあります。「~を通して」と「~を通じて」は、どちらも中国語では「通过…」と訳します。この区別がよく分かりません。 |
「~を通して」と「~を通じて」は、同じように使える場合が多いです。教科書の場合も、どちらに置き換えても使えます。何かが成立したり、何かが行われるときの「媒介」や「手段」、「期間」などを表しています。例文1. はインターネットを媒介にしており、例文2. は1年間ずっとという意味を表しています。
「~を通して」と「~を通じて」は同じように使えますが、ニュアンスの違いがあります。
「~を通じて」は書き言葉的です。例文3. のように、新聞やニュース報道、報告書などの硬い文章では、「~を通じて」のほうがよく使われます。
例文4. のように人などを間に立てて、何かをするという積極的な意味が伴っている文には「~を通して」のほうが自然です。また、例文5. のように意志的な文との結びつきも強いといえます。ですから、ただ事実を述べる「受付を通して連絡があった」という文を「を通じて」と置き換えても、ニュアンスはそれほど変わりません。 加納陸人
文教大学教授/『日語』日本側主任編集委員 |