わたしの一品

わたしの一品

中川正臣(なかがわ  まさおみ)

中川正臣(なかがわ まさおみ)

学生が持っている「韓国人の日常生活に関するイメージ」が本当なのか。韓国人留学生を教室に招いてインタビューを行い、さらにゲストに役立つ情報を提供する活動に発展させている。情報提供のテーマは学生に設定させることで主体性を引き出す。「文化」を切り口にした言語学習の活動である。

2015年2月18日 閲覧者数175人 コメント数1件

Category

言語
  • 韓国語
対象
  • 大学生
活動タイプ
  • インタビュー
  • 資料制作
アウトプット
  • パンフレット
話題分野
  • 日常生活

Tags

  • 料理
  • 日常生活
  • 留学生

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単元目標

学習レベル 1、2
日本に住む韓国人の日常生活について調べ、その韓国人にとって有益な情報を提供できる。

<この単元のセールスポイント>
この授業では、2013年度の授業(本ウェブで報告済み)を土台にし、さらに発展的な授業を展開するように心がけました。そのひとつの試みとして、後期では、「韓国人の日常生活に関するイメージ」というお題でディスカッションを行いました。また、そのディスカッションの中で出た「韓国人の日常生活に関するイメージ」が本当なのかを明らかするために、韓国人ゲスト(韓国人留学生2名)を教室に呼び、インタビュー調査を行いました。調査の結果、韓国人ゲストは「食」に強い関心があることがわかり、最終的に日本の「食」を韓国人ゲストたちに紹介することになりました。この「食」というテーマは教師があらかじめ設定したものではなく、学習者が自ら選んだものです。文化学習を切り口に言語学習を行い、それが最終的に学習者の主体的な活動に繋がったことを実感しました。

2013年度の授業報告

インタビュー

このプランは実践したものですか。
実践してみようと思ったものですか。
実現の可能性はありますか。

2014年度の前後期で実践したものです。
2014年11月28日に行われた東京韓国教育院のワークショップで講師を務めた際、「外国語学習のめやす」を取り入れた実践例として、中間報告をさせていただいた授業で、その後、最後までタスクを行い、今回は全体の報告をまとめました。
※ハングル教室第7回東京韓国教育院管轄 ハングル学校教師月例会(한글교실(ハングル教室)] 제 7회 동경한국교육원 관할 한글학교 교사 월례회)
http://www.kankoku.or.kr/photo.brd/_277.276/?shell=/@group01/index.shell

どうしてこのプランを作ろうと思ったのですか。
発想の原点はなんですか 。

この授業は、2013年度の授業(本ウェブにおいて報告済み)を土台にし、さらに発展させたものです。2013年の実践報告の際に書いたとおり、教材をベースにすると、どうしても韓国に行って買い物したり、電車に乗ったり、あるいは日本で留学生と約束するなど、仮想的で、擬似的なタスクが最終ゴールになってしまいます。しかし、このようなタスクは、実は学生にとって身近な出来事ではないのでは?と考えていました。学生の周りにあるリソースを使っても十分、韓国語を使う意味や意義のある授業ができるかもしれない、そんな思いから学習者に提案し、議論を重ねながら実践していきました。
※2013年度の授業報告はこちらをご参照ください。
http://www.tjf.or.jp/meyasu/support/charange/mycharange/korea/st-1.html)

実践してみて生徒の反応はどうですか。
実践していない場合、生徒のどんな反応が予想され、または期待していますか。

この授業では、文化に関する仕掛けを設けました。例えば、学期中、日常生活に関連する語彙や文法を扱わなければならなかったため、まず教室内で「韓国人の日常生活に関するイメージ」についてディスカッションをしました。その結果、「漢江で語り合う」や「キムチを毎日食べる」、「カフェでおしゃべりをする」など学習者は自分が思い描く韓国人の日常生活を挙げてくれました。このイメージが事実かどうか、インタビューによって調査するために、日常生活に関連する語彙や文法を学習しました。最終的に学習者の焦点が語彙や文法ではなく、インタビューの結果に当たったのは真のコミュニケーションが実現したからだと思います。また、今回はインタビューの方法を学ぶことにじっくり時間を設けたため、実際のインタビューでストラテジーの使用が頻繁に見られました。

このプランに対する自己評価を教えて下さい。
また、学習のめやすを取り入れた授業を試みるにあたって、どんな課題や効果があると思いますか。

大きなタスクである「お互い自己紹介する」、「インタビューによって情報を収集・分析する」、「留学生に有益な情報を提供する」の3つはあらかじめ教師が想定していたものです。しかし、お互いの自己紹介やインタビューの結果から学習者が留学生にどのような情報を提供するかということについては、教師ができるだけ介入せず、学習者に決めてもらいました。学習者が自分たちで『食』というテーマを取り上げたこと、そのテーマに沿って成果物を作れたことが達成感に繋がったようです。
ただ、文化の評価はやはり難しいと思いました(ルーブリック参照)。評価は可能であるものの、これをどのよう成績に反映するかは解決できませんでした(本実践ではあらかじめ成績には含めないことにした)。

同業者仲間に向けて、ワンポイントアドバイスや感想を一言お願いします。

文化を切り口に言語学習へ進み、最後はわたしのとっておきの一品を紹介する授業でした。今回は5名という少人数のクラスではありましたが、タスクに工夫を凝らせば数十人のクラスでも実践可能だと思います。入門レベルを対象に実施できたので、皆さんもぜひ試してみてください。

執筆者

中川正臣(なかがわ  まさおみ)

中川正臣(なかがわ まさおみ)

「外国語学習のめやす2012」作成プロジェクトメンバー。「めやす」マスター研修の修了者(2014)。参加当時、目白大学非常勤講師。「めやす」式授業実践の研究がきっかけで「外国語授業実践フォーラム設立メンバーの一人となる。警察官から語学教師に転向した体験をTJFのメルマガ「わやわや」の「んじゃめな」で紹介されている。http://www.tjf.or.jp/jp/wayawaya/bak/20.html

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