公益財団法人国際文化フォーラム

「その辺のもので生きる」オンライン講座ご参加にあたって

(※ このオンライン講座の趣旨はコチラをご覧ください。)

「失敗」は「失敗」じゃない

この講座は、講師と参加者が「できるかできないかゲーム」をすることを目的としていません。失敗したら、「それはなぜ起きたのか?」について五感を働かせてフィードバック受けとり、思考をめぐらせ、またやってみる。その試行錯誤の繰り返しから自分で学びとることが重要だとわたしたちは考えています。なぜなら、人はプロセスを通してしかエッセンス(本質)にたどりつけないからです。ちなみに、テンダーさんが「ものの見方と考え方」を習った発明家の藤村靖之博士は、「失敗かどうかがわかるのは、実験を15回繰り返したあと」と言っているそうです。

▶︎「この講座の目指す、学ぶときのあり方について

「受配信」という考えかた

オンライン講座で、参加者が自分の表情やおでこの情報しか画面に映していなかったら、講師は参加者が困っていることを理解してサポートしたり、参加者の危険を察知して安全上の注意を促したりすることはまずできません。つまり、オンライン講座の参加者は講師からの情報を受け取り、かつ、自身の重要な情報を講師に配信する必要があるということです。この考え方を、この講座では「講座の受配信」と呼んでいます。 具体的には、参加にあたって作業時には手元や作業の様子が映るようにカメラを動かすことを必須の条件とし、そのために必要な受配信環境の準備について提案をしています。

▶︎ 「オンラインで講座を受けるために
▶︎ 「受配信のための準備

「ミュートしない」という実験

この講座では、主催者が強制的に参加者をミュートするという権威的な介入は極力しないようにしています。現実の世界では、目の前の人がことばを発したり、音を出しているのに、それをミュートする(聞こえなくする)ということはあり得ません。また、ミュート状態は、講師が参加者から、あるいは、参加者がほかの参加者から、声や音でのフィードバックを得る機会を奪ってしまいます。わたしたちは、対面のときと同じように、いつでも互いの声や音を受け取とれるようにしつつ、自分の音が他の人の声を消したり邪魔しないよう工夫しあう関係性の構築を試みています。

合成されたノイズ

オンライン講座は、対面とは様子の違うことが多く発生します。たとえば、周囲がうるさくて講座の音が聞きとりづらかったり、説明の肝心なところでネットの回線が途切れたり、家族が話しかけてきたり、突然の来客があったり……。こういう講座の内容と関係のないノイズ(負荷)は、一つひとつは小さいかもしれませんが、複数重なってくると、参加者の能力とは関係なく、内容を理解したり作業を続けることを難しくさせます。

複数のノイズが積み重なった状態を、テンダーさんは「合成されたノイズ」と呼んでいます。合成されたノイズは、一人ひとりの努力とは無関係に起きる「境遇」です。そこで、この講座では、「誰しもが合成されたノイズに巻き込まれうる」と考えて全体を設計しています。たとえば、作業しても休憩してもいいフリータイムを多く入れる、「こちらはよろしくやってますボード」をつかう、講座終了後に再挑戦するための録画を提供する、など。

▶︎ 「合成されたノイズについて

YSS(りたくないことはなくてもいいステム)

「安全と安心が保証されないと人間の脳は学習できない。その人が心から望んで学びたいと思った瞬間にしか、人は学べない」という前提からこのシステムを導入しています。そもそも、この場において講師は権威(偉い存在)ではありません。参加者が、自発的に自分は何が必要で何がいらないかを判断する(必要以上に講師に従順にならない)ために、テンダーさんがYSSを考案しました。

自分で「今は講座に参加しない」という判断をした参加者は、
「こちらはよろしくやってます」ボードを画面の前に掲げます。
ボードを掲げている参加者には講師は介入しません。

スマート先輩システム

長く生きていろんな経験を積むほど、つい知っていることを教えたくなってしまう傾向があるようです。けれど「人はプロセスを通してしか、エッセンスに到達できない」のであるなら、目の前の人が悩んでいたとしても、その時間はその人にとって必要な時間なのです。 おもに中高生向けに行っているこの講座では、大人は自分が知っていることであっても一方的に「正解」として伝えることはせず、温かく見守り、本当に困っている時だけスマートに助けるという「スマート先輩」システムを導入しています。