アイドルは好きですか?
vol.2
自ら輝くギニュー
しゅんしゅん 19歳 東京在住 高校時代、アイドルにはまったことをきかっけに、ヲタ芸ダンサーとして、ギニュー特戦隊(ヲタ芸グループ)に所属し、活躍している。
2013.08.26
「日本のおもしろさを再発見して世界に伝える」をミッションとする明治大学国際日本学部のゼミとTJFがコラボしました。
ゼミ生が「アイドルは好きですか?」と「気持ちを伝えるデコ」の二つのテーマに分かれて取材、執筆した記事をお届けします。
取り組んだ学生の声
インタビューを申し込んでも断られることが続き、人選に苦労しました。引き受けてくださった方々も、スケジュールがタイトでアポ取りも大変でした。
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ヲタ芸でアイドルへの思いを表現
アイドルが歌っている歌にあわせてファンが踊るヲタ芸は、アイドルの舞台を盛り上げる。ヲタ芸グループ、ギニュー特戦隊は、いまやヲタ芸パフォーマーとして舞台に立つこともあり、世界からも注目されている。ヲタ芸を極めようとがんばっている、ギニュー特戦隊のメンバー、しゅんしゅんがアイドルとヲタ芸に対する思いを語った。
ヲタ芸でアイドルへの思いを表現
ヲタ芸は、アイドルに対する熱い思いを表現する手段のひとつです。ヲタ芸仲間では、気持ちを踊りで表すことを「魂の具現化」と呼んでいます。アイドルを前にすると、やっぱり気持ちが盛り上がってくるんですよ。でも、手を振るだけとか、拍手するだけとかじゃ物足りない。そんなものでは表現しきれないくらい、自分の気持ちはもっと強いんです。だから、その高まった気持ちをもっと前面に出すためにヲタ芸をやっているんです。
ヲタ芸にも種類があります。ヲタ芸の元である地下芸といわれるものと、ぼくたちギニュー特戦隊がやっているサイリウムダンスです。サイリウムダンスは、光を発する棒状のもの「サイリウム」を使って、芸術的に見せるダンスです。
アイドルにはまったとき
高校2年生からアイドルヲタクになった自覚があります。それまではEXILE(14人のダンス&ボーカルユニット)が大好きでした。
アイドルを好きになったきっかけは、AKB48(秋葉原を中心に活動するアイドルグループ)にはまった友だちから、無理やりDVDを貸し付けられたことです。AKB48なんてみんな同じ顔じゃんって思ってて、全然興味はありませんでした。仕方なくDVDを見たんですが、「この子かわいい」って思う子がいたんです。それで次の日に友だちに「この子誰?」って聞いてみたら、「まゆゆだよ」って教えてくれて...。実際に会うと、もっとかわいいんですよね。そこからですね。はまっていったのは。
そのうち、ほかのアイドルグループも好きになりました。いちばん熱中したのは、スーパーガールズで、週2回はライブに行っていました。まだ売り出したばかりだったので、色んな所でイベントをしていたんです。スーパーガールズがレギュラー出演していたラジオ番組の公開収録にもよく行っていました。CDを買えば、無料か500円で握手できるチケットが手に入ったので、同じCDを3枚とか買ってましたね。AKB48のときは15枚くらい同じCDを買ったこともあります。でも、これでも大したことないんですよ。ぼくが知っている人で700枚買った人もいますから...。AKBはすぐに人気が沸騰したわけではなくて、一番最初の公演は観客が7人しかいなかったっていう話は有名です。でも、人気が出てからは、ライブに行くのも応募者のなかから抽選です。ぼくはほぼ毎回応募していたんですが、40倍ぐらいのすごい倍率だったので、なかなか当たらなかったですね。友だち3人で一緒に応募して、一緒に行くんです。高校2年のとき11回くらい行きました。大体1ヵ月に1回くらいのペースですが、毎週のように行ったときもありましたね。今のアイドルは会いにいけるアイドルが多いんですよね。ふだんテレビで見ているアイドルに会いに行けるのは嬉しいし、楽しいです。
ヲタ芸との出会い
ギニュー特戦隊は4年ほど前から活動しているんですが、メンバーは何人かが入れ替わっています。ぼくは3代目くらいですね。
初代のギニュー特戦隊がニコニコ動画に動画をあげて、再生回数が100万回を超えました。それがきっかけでいろんな人がヲタ芸を始めました。ぼくもその一人です。周りのアイドル好きの友だちと、動画で見たギニュー特戦隊のフリを参考にして構成を考えて、自分たちのヲタ芸の動画を投稿したんです。ここからどんどんヲタ芸にのめり込んでいきました。投稿した動画に、「すごい!」とか「技がやばい!」とか「キレがやばい!」とか、コメントがつくようになって、再生回数もだんだん上がっていって、そういうのが楽しくて、もっとすごいもの作ろうって思って、また投稿する、という感じでしたね。 最近、ギニュー特戦隊も事務所に入って、マネジャーさんがついたりしたので、本気でやってみようって思っています。当然楽しいっていうのもありますし、やっぱり良いものを見せなきゃならないということで、努力が必要だなと思います。
さまざまなヲタ芸
ヲタ芸はもともと客席でアイドルを応援していたんですが、ギニュー特戦隊は、ステージに上がってヲタ芸そのものを見せたり、アイドルと共演するときもあります。アイドルといっしょにステージに立つときは、アイドルが目立つところだからフリを控えめにしたり、曲調に合わせて構成を考えます。初めて共演したアイドルはアリス十番です。2011年には、Pumaの靴のウェブCMでスーパーガールズと共演しました。
ステージでヲタ芸だけを披露したのは、2011年3月31日。パフォーマンスできる18歳を集めて行ったイベントでした。初めて人前でやったので、すごく緊張しました。それ以前には、高校(?)の文化祭でもやったことはあったんですが、文化祭は申し出れば出られるものだったので、緊張感が全く違いました。それに踊ったあとの達成感がありましたね。客席でヲタ芸をやるときは全く緊張せずに、遊んでいるだけなんですが、ステージでやるときはそうはいかないです。観客の人たちを魅せなきゃならないとか、しっかりパフォーマンスしなければならないという意識があります。
今は、ステージでヲタ芸をやっているのが楽しいです。
もしアイドルがいなかったら...
今は以前ほどアイドルが好きではないです。アイドルにすごくはまっていたときは、彼女がいなかったんです。でも、彼女ができてからは、自然とアイドルから遠ざかりました。彼女は、ぼくがアイドルを好きなのを嫌がっていたわけでもないし、ぼくのヲタ芸もすごいねって言ってくれてたんです。
でも、アイドルに会いに行っていたらお金も時間もなくなっちゃう。やっぱり彼女といっしょにいたいですからね。その後、その彼女とは別れましたが、アイドル熱が戻ることはなかったですね。 でも、アイドルがいたからヲタ芸は生まれたんです。アイドルがいなかったら、ギニュー特戦隊ももちろん存在しなかったと思います。
高校時代、アイドルに夢中になって追いかけて、握手会やライブに行ったり、ヲタ芸を始めて、文化祭で踊ったり...。もちろん、高校の部活ではフットサル部に入っていましたし、アイドル以外のことも充実していました。でも、学校以外でアイドル繋がりの友だちもできて、一緒に楽しんで、本当にいい思い出ができましたし、それが今の自分にも繋がってます。ぼくにとってアイドルの存在は大きいです。
ヲタ芸パフォーマンスを極めたい!
ギニュー特戦隊の動画再生回数がいちばん多いのは日本ですが、アメリカとか香港とかが続いて、ほかにも色んなところから再生されています。自分たちのヲタ芸が世界の人に見てもらえているのはやっぱり嬉しいです!wahahaha、nice!ってコメントがくると嬉しいです。それから、ギニュー特戦隊を見てヲタ芸を始めた人がシンガポールにいるんですけど、そんな風に海外にも広まったらいいなと思います。 今はヲタ芸というジャンルがヲタクの世界にはありますけど、一般的にはパフォーマンスのジャンルには入っていません。それをパフォーマンスとして受け入れてもらえる、ひとつのジャンルとして認められるレベルに達するまでやっていきたいと思っています。ヲタ芸は日本の文化だと、がっつり思っています。