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アイドルは好きですか?

vol.4

アイドルをコピーする

上智大学アイドルコピーダンスサークル SPH mellmuse みあみあ(法学部3年) れいか(外国語学部3年)

2018.04.08

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「ふつうの女子大生が、一夜限りの"アイドル"としてステージに立つ」を合い言葉に、2012年から始まった「UNIDOL」。アイドルの楽曲に合わせてダンスパフォーマンスをコピーし、大学サークルごとにその成果を競い合うというこのイベントは、決勝大会だけで観客3,500人を集めるまでに成長を遂げている。アイドルが好きでダンスが好きで、迷うことなくサークルに入ったという上智大学SPH mellmuse(メルミュゼ)のメンバー二人が、大会に賭ける情熱、アイドルへの思い、サークル活動がもたらした変化について話してくれた。


目標は女子大生アイドル日本一

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©市来朋久

Q:SPH mellmuseが誕生したきっかけと、現在の活動内容について教えてください。

みあみあ:サークルができたのは2010年です。その頃、秋葉原のメイド喫茶がすごくはやっていたので、大学の文化祭にメイドカフェを出店して、そこでAKB48のコピーダンスを軽く踊ろうというのが始まりだったんです。それで終わるはずだったんですけど、反響も収益も予想以上だったので、その後も「SPH48」という名前で活動を広げていったんです。

 その1期生が「他の大学と一緒にアイドルコピーダンスイベントをやってみよう」と提案して、2012年に「大学対抗の女子大生アイドル日本一決定戦UNIDOL」がスタートしたんですよ。だから、今のUNIDOLブームはSPHが発端といっても過言ではない(笑)。
 現在、サークルメンバーは30名。コアメンバーは約15名で、年2回のUNIDOLへの出場を中心に、毎週のようにイベントに出演しています。

れいか:他大学の文化祭に呼んでいただくなど、昨年から学外イベントが急増したので、とても忙しい(笑)。イベントごとに予定の合うメンバーでユニットを組んで、セットリストを考えて練習します。もちろん衣装も毎回変えています。あくまでも目標はUNIDOLなので、そこでのパフォーマンスにつながるように、各イベントの練習を重ねているという感じです。

Q:あくまでも目標はUNIDOLということですが、具体的に教えてください。

みあみあ:UNIDOLのエリア予選は6月と12月。本戦は8月と翌年2月に開かれます。SPH mellmuseは第一回大会から本戦出場を果たしていて、2014年夏には優勝もしています。今では全国から40を越えるチームが参加し、総動員数は2万人というイベントになっているので、競争は厳しくなっています。なので、常にUNIDOLでのパフォーマンスを向上させるために、スキル向上をめざしています。

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©市来朋久

アイドルの成長を見守る楽しみ

Q:そもそもお二人がサークルに入った理由は?

みあみあ:高校生の頃から、小規模なライブを中心に活動している、いわゆる地下アイドルとか声優さんが好きで、振りコピ(振付をコピーすること)も趣味でやっていたので。上智大学に入学が決まったときにそういう活動ができるサークルがないかな、と調べて見つけました。なので、入学前からもう入部を決めて、TwitterやYouTubeで活動を追っていました。一直線、です(笑)。

れいか:私は、高校生の時チアダンスをやっていたので、大学でも続けたいと思っていたのですが、上智にはチアリーディング部しかなくて。ダンスがしたかったので、SPH mellmuseを選びました。みあみあほどではないけれどアイドルが好きだったのもあります。

Q:お二人にとってのアイドルとは、どんな存在?

みあみあ:私はただただ、顔がかわいい女の子が好きで。友だちがジャニーズとかいってるのがわからない。地下アイドルが魅力的だなと思う理由は、最初は歌とかダンスが下手だった子たちが、どんどん成長するところですね。その過程を見るのがいとおしいんですよね。オタクです、ただの(笑)。

れいか:私の場合は、中学2年生のときに深夜テレビでNMB48の山本彩さんを見て「なに?!」って一目惚れしちゃって。今やもうすごい人気なんですけど、私はその時からずっと、どんどん輝いていくのを見ていました。SPHに入ってからはアイドルグループの「ハロープロジェクト」がすごく好きになって。その中でも、Juice=Juiceっていうグループのパフォーマンスが好きで応援しています。

みあみあ:今はLuce Twinkle Wink☆の板山紗織さんが好きです。頑張ってる姿が本当にキラキラしてて、努力家で、でもそれを見せずにステージではずっとニコニコしていて、ファンに元気をくれる......っていうところが本当に魅力的だなと思います。
 なりたくてもなれない、でも生まれ変わったらこうなりたい、というような存在で、なおかつその成長を見守るのがうれしい。今もオタクです、はい。

れいか:私もかわいい女の子が大好きですが、けっこう声も重視しています。あと、振る舞いやダンスも重要で、直感的に全体の雰囲気でとてもひかれるアイドルは、その後もずっと見てしまいます。こういう踊り方が好きだな! と思って、自分の参考にすることもよくあります。

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©市来朋久

Q:アイドルのダンスは、ほかのダンスと違いますか。

れいか:アイドルのダンスって、チアダンスともヒップホップとかとも違って、全然別のジャンルなんです。すごくいろいろ考えられた振付だと思います。

みあみあ:観客からどう見えるかを意識していますね。わざとヘンな振付を入れて印象に残るようにしたり、お客さんを巻き込んで一緒に盛り上がるような振りを考えたりしています。

れいか:モーニング娘。さんはそういうのが多いですね。人間だったら絶対こんな動きしないな、みたいな(笑)。おもしろいけど、かっこいいんですよね。

みあみあ:アイドルのダンスは個性を大事にしていると思います。大人数のグループだときれいに揃った動きというのも大事なんですけども、それでも一人ひとりの個性を殺さないで踊るっていうのが、みんなのモチベーションにもつながる。みんなの個性で全体がどんどん良くなっていくので、私たちも個性を大切にしています。

大会前日は恒例の"質裁判"

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©市来朋久

Q:ほかとは違うSPH mellmuseの特徴は何でしょうか。

みあみあ:先輩とのつながりが強いことです。UNIDOLの前は、私たちのパフォーマンスが優勝をめざせるクオリティなのか、先輩方に見てもらって「ダメ出し」をしていただく"質裁判"という日があります。こういうことができるのは、サークルが何年も続いている強みかもしれませんね。

れいか:毎回4名に来ていただいています。指摘されたときはへこむんですが(笑)、でも受け止めるしかない。受け止めて改善して......というステップになります。

Q:サークル活動の中で、一番印象に残っていることは何ですか。

みあみあ:いっぱいありますが、1年生のときのUNIDOL冬大会かな。その大会にはぎりぎりの人数で臨んだので、一人も欠けられないという気持ちをみんなで共有して、一番身を削ってやったなっていう感じがします。結局、準優勝だったんですけれど、あれを超えられるパフォーマンスはもうできないなって思っちゃうくらい一番印象に残っています。その時の準優勝の嬉しさと悔しさが、今でも思い浮かぶことがあります。
 その後の大会では、大人数になった強みはあるんですが、逆にあの時ほどモチベーションをみんなで揃えて高めることができていないという悩みはありますね。メンバーそれぞれに優先順位が違うので、難しいですね。

れいか:私も同じく、1年の冬の決勝です。私は1年生の秋からSPHに入ったので、それが初めてのUNIDOL。予選は先輩に言われるまま出たんですが、決勝では初めて曲の責任者を任されました。配置を考えたり誰がどの振付で踊るかを決めたりする重要な係なんです。ダンスメンバーにも選んでもらえたので、すごく不安で大変でした。先輩に助けてもらいながらいろいろ挫折も味わいつつ、それでも自分としてはダンスの向上にもつながったし、本当にいい経験になったと思います。

SPH mellmuseで得たこととこれから

Q:SPH mellmuseの活動を通して変わりましたか。

みあみあ:人間的に成長したな、と思います。高校までは文化祭も先生の指導のもとでやらされているところがありましたが、大学のサークルではほぼ同じ年齢の仲間だけなのでなんでもやります。それからサークルには、いろんな考え方、家庭環境のメンバーがいて、いろんな人と関わるという意味で社会の縮図のようなところなんです。実際の社会に出る前に、そんな環境でどう自主的に動けるかが大事だなと思います。私は部長をさせてもらったり、いろいろな経験をつむなかで、自主性が成長したなと思います。
 高校までは勉強勉強で、趣味もなかったんです。こうやって楽しいことを見つけられたのはよかったなと思います。家族や高校の友だちからも「楽しそうにしてるねー」って言われます。

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©市来朋久

れいか:私は中学高校と部活をがんばったんですが、コーチの指導に従うのがあたりまえで、メンバー内でもあまり発言しないほうでした。引っ込み思案で「できれば後ろのほうで踊りたい」っていう感じで。でもSPH mellmuseに入るとそんなこと言ってられないっていうか(笑)。それまでの自分だったら絶対にやらなかったことを、否応なくやることになったんです。ダンスをやっていた経験を先輩たちが認めてくれて、先ほど話した曲の責任者を任せてくださったんですね。

みあみあ:れいかは入部した時から「この子はエースになる」って言われてて。ダンスも上手だったし、なによりオーラがあった。

れいか:それでも、性格的に口パクとか表情を作るとかは恥ずかしくて、ずっと思いきりできなかったのが、ある日、練習中に吹っ切れたことがあって。私が照れながらやってるパフォーマンスなんて、観客の方にしてみたら「そんなもの見せられても」だな、って気づいて......まわりの足も引っ張ってるなって。そう思ったら吹っ切れたダンスができて、先輩に見てもらったら「それだよ!」って言ってもらえた。その時、ある意味で自分の殻を破れたんだと思います。グループで何かを作る力を感じました。

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©市来朋久

アイドル活動は「期間限定」

Q:将来について、どんなふうに考えていますか。

みあみあ:大学生の4年間SPH mellmuseに打ち込んだことは、将来につながっていくものだと思います。きっといつか、社会に出てからも、あの時にこんなアドバイスをもらったな、とか思い返すんだろうなって思います。この活動は大学の間だけと決めています。でも、自分の4年間を華やかなものにするための、とても大切な活動だと思っています。

れいか:私も今絶賛考え中(笑)。SPH mellmuseに所属したことで、アイドル文化について深く知ることになったのですが、この、日本特有の文化をもっといろんな国に伝えていきたいと思うようになりました。9月に1ヵ月間イギリスに留学したことも影響していると思います。外国の方にとって、日本の文化はいまだにお辞儀とか侍とかが一般的で、アイドル文化とかアニメ、漫画とか、そういうのはまだまだ知られていないと感じます。歌やダンスがうまくなって成長するのを応援していこうという、日本独特のアイドル文化を、正しく伝えたいなと思います。

【インタビュー:2017年10月】
構成:井上雅惠


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