(※ このオンライン講座の趣旨はコチラをご覧ください。)
2022.12/25 テンダーさんの「その辺のもので生きる」オンライン講座 第12回
「ドライトイレを作る」 ですること
「トイレとは人間の寿命を延ばす唯一最大の可能性である」
こんな話を聞いたことはあるだろうか。
世界では、3人に1人は一切のトイレ設備(バケツや箱、ビニール袋すら!)を持たずに暮らしている。
そして、軽い下痢程度の症状で亡くなってしまう人が今もなお、毎年200万人規模でいる。衛生的なトイレと知識を持たないために、下痢から回復することができずに、体調がどんどん悪化してしまうのだ。
以上の話を教えてくれた本には、さらにこう書いてあった。
「トイレを利用できるとは、生まれ持った特権なのだ」
日本に住んでいると、衛生的なトイレとは「水洗トイレ」であるかのように教育される。しかし水洗トイレを設置するためには浄化槽や下水網が必要となり、それこそ特権的な裕福さが必要だ。
それに対し、臭くて管理の大変な肥溜め式に戻らなくとも「ドライトイレ」という選択肢がある。ドライトイレとは水で屎尿を流さずに、タンクなどに溜める方式で、電気ヒーターを入れて乾燥させたり、微生物発酵の熱で温めたりと、いくつかの種類がある。
今回製作するのは、僕が発明したドライトイレ「折り紙コヤッシー」だ。
これは、元々3Dプリントで作るつもりで設計したものだが、折り紙の技法を使うことで、「少ない材料で」「安価に」「輸送しやすく」「処分時のゴミを減らし」「使う人が賢くなる」ことに気づいたので、時間をかけて再設計し直したものだ。
折り紙コヤッシーでは、ヒーターや微生物の代わりに「灰」を使い、大腸菌を無害化する。灰は世界中でほぼ無料で手に入り、活用の上で発酵のような複雑な管理技術を必要としない。また、廃棄の際はこのトイレ自体を焼却しても有害な物質は発生せず、困っている国に負債を押し付けるような構図も発生しない。
僕は今後、「世界中で50ドル以下で手に入れられるトイレ」として、折り紙コヤッシーを広めていくつもりだ。
なぜなら、水洗トイレは世界中で枯渇しつつあるチッソ、リン酸、カリなどの栄養分を、他の陸上の生き物に与えることなく、焼却したり、海に流してしまうからだ。海に流れ込んだ栄養分は赤潮を発生させ、逆に海の生き物を殺してしまう。
ドライトイレを使うことで、ヒトは生き延びることができ、他の生き物をより多く養うことができる。
2年をまたいだこの連続講座も、参加者のみんなとものづくりをするのは今回で最後。
自分の体内というこれ以上ない「その辺」で生成される命の源を、他の生き物たちに配る技法をどうか受け取ってほしい。
講座のねらい
・ 水洗トイレ以外にも選択肢があることを知る
・ うんこは良識の踏み絵
・ ヒトであることを肯定する
キーワード
トイレ、ドライトイレ、コンポストトイレ、屎尿分離、大腸菌、窒素、リン酸、カリウム、循環、連鎖、戦争、貧困、資源、特権
危険度
★★☆☆☆
難易度
★★☆☆☆
折り紙コヤッシーを使うために必要な条件
- 折り紙コヤッシーは2人用*
- 薪ストーブなどを使っていて、灰を生産できる環境がある
- 灰と便の混合体(処置後に堆肥となる)と、液肥としての尿を使うための土地(畑)がある
- 体格によっては使用できない可能性がある。体重80kg以下推奨
- 女性の場合、尿を上手にするために練習が必要な場合がある
(※折り紙コヤッシーは身体的男性である私テンダーが設計したもので、身体的女性の方には不都合がある可能性がありますが、精査されておりません。あらかじめご了承ください)
(※また、改良のために予告なく外観を変更することがあります)
*便をためる20Lペール缶は、実際には半分くらいまでしか使えないため、実効体積は10Lです。成人の便は一回平均250gなので、1日一回排便すると2人で500g。ただし一回の排便ごとに100gの灰を混ぜると1日計700gになります。便の比重はおよそ1なので、1g=1mlとして計算すると、大人2人で15日は交換なしで使えることになります。一人用にすれば、一ヶ月交換なしで使えます(こちらを推奨)。
講座で使用する言語
・日本語
(*日本以外の国に在住の方もぜひご参加ください。講座の内容を理解する日本語力が必要です。)
本講座のチラシ
学校等での配布、掲示用にチラシを作成しました。多くの中高生の方達にご案内いただければ幸いです。
ダウンロードしてご利用ください。
講師:テンダーさん
鹿児島にて、生態系の再生と廃材利用のための市民工房「ダイナミックラボ」を運営。
システム思考、オープンソース、非暴力コミュニケーション、
先住民技術、適正技術等の人類の叡智を核に、考え、実践・実現し、伝えることを繰り返しています。
著書に「わがや電力 12歳からとりかかる太陽光発電の入門書」(ヨホホ研究所)。
講座に参加するための準備A(ドライトイレ回)
これからクリスマスシーズンに向かうため、材料をオンライン注文で取り寄せる場合には、通常より配送に時間がかかります。また、ファブラボも普段より混雑する可能性があります。
できる限り早めに準備を進めることをおすすめします。
必要な材料など(ご自分でそろえていただくもの)
*道具、材料は随時追加されることがあります。このページ上でご確認ください。
- その辺のもので生きる講座基本セット(詳細はリンク先ページ内の、■印がついているもの)
便槽周り
- PPシート(厚み=0.75mm, 565*980mm) 1枚
*リンク先で購入した場合、製品によって特別配送費がかかります。お近くのホームセンターで同じ規格のものが手に入る場合は、そのほうが送料分の費用を抑えられます。 - ペール缶(日本のエンジンオイル用を基準とする)
- ペール缶にオイルが残っている場合は、こちらを参考に事前の準備をお願いします。
- 金属ペール缶を使用する場合、マグネット付きフック 1つ
- 直径3mm以下の強い紐、20〜30cm(滑りやすいもの推奨。水糸などでも可能)
- 輪ゴム1本、またはゴム紐15cm程度1本
- 番線 #10 (=φ3.2mm)、もしくは3mm径の針金50cm程度 1本
- 尿をホースでトイレ外に排出する場合
- ホース、内径18mmのもの必要長。WS時にはとりあえず20cmくらいあれば感覚が掴めると思います
- 尿をトイレ個室内に溜めて液肥にする場合
- タンク 水用10L
*形状(口の位置)によっては使いづらい場合があります。こういう形の水タンクであれば問題ありません。ノズルはなくてもOK。
- タンク 水用10L
座面
- 集成材の板(厚み=18mm、400*910mmあれば1枚で足ります)
- カーペット鋲のような強めの画鋲 4つ
道具
- OPPテープ
- あればハンマー
- 以下、レーザーカットじゃない人向け
- PPシートを切れるハサミ
下記画像のような形状の万能ハサミ(リサイクルはさみ、分別はさみとして売られているものもあります)
例:100円ショップで入手可能なもの、1000円以内のもの、5000円程度の高品質の金切ハサミ
- ライター or ろうそく(作業の際は近くに消火用の水をご用意ください)
- 強い針として使える錐状のもの(錐 or 千枚通し、等)
- PPシートを切れるハサミ
主催者からお送りする道具・材料
*詳細はメールでご連絡いたします。
講座当日までにすませておく作業
*詳細はメールでご連絡いたします。
受配信のための準備
下記「講座に参加するための準備B」をご参照ください。
参加に必要な環境
受講の前に「受配信のための準備」を必ずご一読ください。
講座に参加するための準備B(全回共通)
オンライン参加に必要な環境と準備
- ZOOMに安定的に接続できること (※進行上、諸々の障壁となるため、2アカウントでの入室は禁止とします)
本講座ではZOOMアプリの利用のほか、いくつか準備をお願いしたいことがあります。事前に「本講座でのZOOMの使いかた」をご一読ください。
*マイク付きイヤフォンのご用意をお願いします。詳細は上記「本講座でのZOOMの使いかた」をご参照ください。 - 当講座は、スマートフォンやコンピューター単独での受講を不可としています。その理由と必要な機材については「受配信のための機材準備」をご一読ください。
- また、この講座は、講師から参加者への一方的なオンライン講座ではありません。講座は危険のある内容を含み、双方向に情報をやり取りする必要があるため、必ず「その辺のもので生きるオンライン講座 受講の前に – 受配信について」をご一読ください。
講座の開催にあたって
国際文化フォーラム(TJF)は、多様な価値に寛容な社会で人びとが人生の選択肢を増やし可能性を広げるような文化をつくり、次の世代に渡していくことをめざして事業を行っています。
この講座をなぜ開催するのかについては、「テンダーさんのその辺のもので生きるオンライン講座の開催にあたって」にまとめましたので、お読みいただければ幸いです。
2022. 12/25 「生き物の輪に戻るためにドライトイレを作ろう」講座概要
2022年12月25日(日) 12:45 – 17:00 *日本時間
12:45まで ZOOMに入室(入室時間の厳守をお願いします)
12:45- 13:00 グループ分け、この講座のお約束についての説明
13:00-17:00 講座(途中、休けいをはさみます)
*時間は多少変更、延長になる可能性があります
オンライン(ZOOMを利用)
*Zoomはサービス規約により、16歳未満の個人による利用を制限しています。
16歳未満で参加を希望される方は、保護者の方の管理・監督・責任のもとでZoomをご利用いただきますようお願いいたします。
●参加者用コミュニティについて
discordを利用した参加者限定のオンラインコミュニティにご参加いただく可能性があります。
中高生〜大人 30人 *先着順
・講座に最初から最後まで参加でき(延長時間を除く)、かつ、ZOOMのビデオをオン(画面にご自身の顔を映す)にできる方に限ります。
○ 日本以外の国にお住まいの方もぜひご参加ください。講座は日本語で行われます。
○ アーカイブ視聴を目的としたお申し込みは受け付けていません。講座の録画は復習にご利用いただくため、当日講座に参加した方限定で3ヶ月間共有します
● 中高生、大学生 無料
● 社会人 1000円(お一人につき)
○ 社会人大学生の方は「社会人」枠でのお申込みをお願いします。
○ 原則として返金はできませんので、あらかじめご了承のほどお願い申し上げます。
公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)の事業は基本的に出捐(しゅつえん)企業と賛助会員の寄付金によって運営されています。寄付金は、多様な価値が尊重される社会を築いて若い人たちに渡していくという活動趣旨に賛同した方たちからTJFに託されたお金です。この講座も運営のほとんどが寄付金によって成り立っているため、参加費が低くおさえられています。本事業の趣旨の詳細は、「テンダーさんのその辺のもので生きるオンライン講座の開催にあたって」をご覧ください。
2022年12月4日(日)
*期日前に定員に達した場合はその時点で締切ります。
お申し込み後、返信メールにて振込先をご案内いたします。
お申し込み後(クレジットカード支払いの方はpaypalの請求書をお受け取り後)、4営業日以内に、参加費をお支払いください。
*銀行口座振り込みおよび郵便振替については請求書は発行いたしませんのでご注意ください。
*期日までにお振込の確認ができず、かつ、ご連絡がない場合は、お申込みをキャンセルさせていただくことがあります。
【重要】お申込みの前に必ずお読みください。
中高生のみなさんは、保護者の方にもお読みいただき、同意を得てから申し込んでください。
1) ご自身の安全の確保と免責について
さまざまな技術を体験する過程では事故や怪我などが発生する可能性があります。
オンライン講座なので、講師やスタッフが直接サポートすることはできません。
ご自身の安全を十分に確保してください。
なお、講座参加中および講座終了後の事故、トラブルについて、TJFおよび講師は一切の責任を負いません。
*保険についてはこちらをお読みください。
2) 録画・撮影について
講座の様子および参加者が制作した成果物等を、写真と動画で記録させていただきます。
・録画は、復習用として、参加者のみなさんと3ヶ月間限定で共有いたします。
・記録した写真(おもに録画からキャプチャーしたもの)は、本プログラムの報告および広報活動(*)に使用することがあります。報告および広報での使用にあたっては、個人名が特定されないよう配慮いたします。本名や学校名・所属先を掲載する場合は、あらかじめご本人、保護者の方の了承を得るものといたします。
*本講座の報告および広報活動のおもなメディア
TJFの公式ウェブサイト http://www.tjf.or.jp/
同 公式Facebook https://www.facebook.com/TheJapanForum/
同インスタグラム https://www.instagram.com/thejapanforum_tjf/
同 事業報告書(ウェブおよび印刷物) http://www.tjf.or.jp/publication/coreca/
3) ビデオ・オンでのご参加について
本講座は、参加者のみなさんと講師、スタッフ全員が、対等な立場でお互いの情報を受配信しているという考え方に基づいて実施しています(詳細は「その辺のもので生きるオンライン講座 受講の前に – 受配信について」をご一読ください)。そのため、講座中はご自身の映像を配信(ビデオをオン)していただきますようお願いいたします。
ご自分のお顔を報告・広報物に使用してほしくない等のご要望がありましたら別途お知らせください。
4) 日程の変更について
インターネット接続のトラブルなど不測の事態が発生した場合、講座の日程を変更することがあります。
中高生に限り、講座の参加に必要な道具・材料をそろえるにあたって金額面で問題がある場合、講座で学んだことを行動に移していただくことを条件(*)に、国際文化フォーラムがご本人とご相談のうえ、道具・材料、受配信環境等をととのえるために必要なサポートをいたします。
ご希望の方は、申込みフォームの「コメント欄」でご連絡ください。
*たとえば、講座終了後、周りでドライトイレを必要とする人にドライトイレを作って使ってもらう、あるいは一緒に作りながら講座で学んだことを伝えてもらい、それについてレポートを送っていただくなど。「その辺のもので生きる」、「オルタナティブもできる」の第一歩を踏み出す他の行動をご提案いただいてもかまいません。(講座全体の趣旨のページをご参照ください)
公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)
担当:室中
japanforum@tjf.or.jp
お急ぎの場合のみお電話でご連絡ください。
tel. 03-5981-8652
(日本時間 月-金9:30-17:30、 【休業日】土日祝日および12/29-1/4)
*上記時間帯であっても電話に出られない場合があります。
支障がない限り、メールでのご連絡をお願いします。
全講座の開催案内とレポート
2021年2月〜2023年3月 ※すべての講座を終了しました。
◆ 開催にあたって
・テンダーさんのメッセージ
・TJFのメッセージ
◆ 全講座を終えて
・参加者のみなさんへのインタビュー(PDF)
・講師テンダーさんの総括
・TJFのふりかえり(PDF)
・実施講座一覧(PDF)
2021 | ||
2/7(日) | [01] アルミ缶を使い倒そう【終了】 | →レポート はこちら |
3/14(日) | [02] 棒と板だけで火を起こそう【終了】 | →レポート はこちら |
4/4(日) | [03] 3D設計と3Dプリントを覚えて、必要なものを作ろう【終了】 | →レポート はこちら |
6/6(日) | [04] 雨水タンクを作って、水を自給自足しよう【終了】 | →レポートはこちら |
8/1(日) | [05] システム思考を身につけて「しょうがない」を乗り越えろ!【終了】 | →レポート 【前編】 / 【後編】 |
10/3(日) | [06] その辺の草からロープを作ろう。ロープができれば暮らしが始まる【終了】 | →レポート 【前編】 / 【後編】 |
11/28(日) | 【秋の特別編】その辺のもので生きるための心の作法 〜「正しさ」を越えて【終了】 (講師:安納献さん、鈴木重子さん) | →レポートはこちら new! |
12/26(日) | [07] プラごみから必要なものを作る【終了】 | →レポートはこちら |
2022 | ||
2/27(日) | [08] キッチンで鋳造を始めよう! 【終了】 | →レポートはこちら new! |
6/5(日) | [09] 鉄工を身につけて強力なストーブを作ろう【終了】 | →レポート 【前編】 / 【後編】 |
8/21(日) | [10] きみのためのエネルギー。実用パラボラソーラークッカーを作って太陽熱で調理する【終了】 | →レポートはこちら new! |
10/2(日) | [11] 交渉を学び、こころざしを護る 【終了】 | →レポート 【前編】 / 【後編】 |
12/25(日) | [12]生き物の輪に戻るためにドライトイレを作ろう 【終了】 | →レポート 【前編】 / 【後編】 |
3/26(日) | [13] 当たり前を変えよう、大切なものを守ろう【終了】 (これまでに1回以上参加した方たち向け) | →レポートはこちら new! |