2023年5月28日(日)に多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」(PCAMP)公開報告会及び体験ワークショップを広島県呉市で開催しました。広島県内をはじめ遠くは北海道や富山、東京、静岡、島根から、また当日参加も多く、なかには呉市国際交流協会のお知らせを見た地元企業の方が技能実習生の方々と来場してくださり、総勢65名となりました。昨年、ひろしまPCAMP2022に参加した中高生(当時)7名がサポーターを務めてくれました。
★報告会の記録動画はこちらから
https://vimeo.com/846846249/c7a471f1d6
★体験ワークショップの記録動画はこちらから
https://vimeo.com/844440573/739775eb35
報告会:5年を振り返る
第1部の公開報告会では、「多文化×芸術」をコンセプトとするプログラムの立ち上げから、コロナ禍で対面型を断念し、オンラインでのプログラム実施を試み継続してきたこと、そして昨年の広島での対面再開(ひろしまPCAMP2022)までの5年の歩みを報告しました。
最初の2回のPCAMPは全国からさまざまなバックグラウンドをもつ高校生が東京に集まり、演劇ワークを中心とした3泊4日の合宿を行いました。この2回でTJFはいくつかの課題に直面します。課題を解決しようと企画を練っていたときに、コロナ禍で対面交流は中止。交流をつづける道を探り、オンラインでの実施に切り替えます。このオンライン交流は海外の高校生にも参加の道を開きました。演劇、ダンスのみならず、音楽、造形、映像、VR(仮想現実)を取り入れるなど、さまざまな手法にチャレンジします。そして昨年、コロナ禍とはいえさまざまな制約が緩和してきたことから、広島県において広島県内の中高生を対象とする「ひろしまPCAMP」を対面で実施しました。地域化の始まりです。その後、ひろしまPCAMP実行委員会が立ち上がり、今年8月に2回目のひろしまPCAMPが開催されます。
これまでの5年間、TJFは何をめざしてPCAMPを実施し、何を課題ととらえ、どう解決しようとしたのか。コロナ禍で対面からオンラインにどのように切り替え、どんな成果があがったのか。そして広島をPCAMPの地域化の起点とした背景と「ひろしまPCAMP」の特徴は何か。さらにこれまでの参加者や関係者はPCAMPを体験してどんなことを感じ、どのような変化があったのか。参加者、保護者、ファシリテーター、協力者のインタビュー映像や音声メッセージを通して報告し、また、ひろしまPCAMP関係者をゲストにお招きし、壇上のトークで振り返りました。
報告会の最後は、ダンスファシリテーターの進行とサポーターたちのリードで、ひろしまPCAMP2022の発表会で踊ったオープニングダンスを会場全員で踊りました。このタイミングで駆けつけた新原芳明呉市長が一緒に踊ってくれるという嬉しいサプライズもありました。実は今回のサポーターの数人が2月に開かれた「国際交流フェスタ in くれ」でPCAMPの参加経験についてステージ発表を行った際、会場で新原市長と遭遇し、公開報告会にお誘いしたところ、市長はその約束を覚えてくださり、ご多忙のなか駆けてくださったのです。
体験WS:身体と心を動かす
第2部では、昨年のひろしまPCAMP2022で実際に行ったアクティビティの一部「I am from」などを体験してもらうというプログラムです。事前の申し込みで「体験」か「見学」を選択してもらったときは体験を希望した方は12名でしたが、「第1部の報告会を聞いて参加したくなった」「見学するつもりだったけれど楽しそうだから体験したくなった」といった方々が増え、当初申し込みの倍近くの23名が体験しました。
ウォーミングアップで全員で声を発し身体を動かし、心身ともにほぐした後、4チームに分かれました。ひろしまPCAMP2022でもファシリテーターを務めたアーティストが各チームにひとり入り、「I am from」の作品づくりをサポートしました。
自分を見つめる「I am from」
「I am from」は、アメリカの現場で行われている多文化演劇教育プログラムで、予め用意されたさまざまなキーワードが書かれたワークシートに記入しながら、自分のこれまでを振り返り、自分をかたちづくるものやアイデンティティを見つめ、ほかの人とシェアし、協力してパフォーマンスをつくるというものです。
今回は体験の時間が短いため、ファシリテーターチームが選んだ「I am from」のキーワードは次の4つ。
①特別な機会に家族(または大切な人)がつくった自分のお気にいりの食べもの
②小さい頃よく言われていたことば(よく聞いたフレーズ、耳に残っていることば)
③好きな歌詞、または詩(歌手、作詞者、タイトル)
④幼い頃、よく見ていた風景
参加者はこれらのなかから自分が書きやすいもの、シェアしたいものを選んで、まずは簡単に思いつくままに記入しました。次に、サポーターたちに自分の「I am from」を読み上げてもらい、参加者はそれを参考にして、ワークシートに詳しいエピソードを書き加えて、チームでシェアしました。さらに、ファシリテーターチームは自分たちの「I am from」の作品を例として発表し、参加者はそれを参考にしながらチームの作品をどう表現するか考えました。
チームのパフォーマンス作品
最後に、チームごとに作品をみんなの前で発表。チームの仲間で協力しあい、体験者一人ひとりのさまざまな「I am from」がことばと身体で表現され、ひとつのパフォーマンスになっていました。
体験した方の声
「すっごく楽しい~~~」
「8月のPCAMP、絶対参加します!!」
体験したのは小学生、親子、学生、学校教師、大学の研究者、フィリピンやブラジルなどのバックグラウンドをもつ方など、まさに老若男女、さまざまな方々でした。来日してまだ間がない方、障がいをもつ方もいましたが、ファシリテーターが実際にやってみせて、サポーターも含めてみんなで助け合う、そんな空気が醸成されていました。そのため、ギャップも壁も感じさせず、どなたも楽しそうに、積極的にワークに参加していました。最後の振り返りタイムでは、海外につながりをもつ子どもと一緒に参加したお母さんが、こんなにたくさんの人と交流できたこと、新しいつながりができたことが楽しくて、嬉しくて……と言いながら感極まると、会場にもその感動が広がりました。またほかの参加者からは、体を動かすワークを通して、徐々に心も体もほぐれ、自分も受け入れられている、そんな安心感が生まれました、と満面の笑みで感想を述べていました。
★報告会の記録動画はこちらから
https://vimeo.com/846846249/c7a471f1d6
★体験ワークショップの記録動画はこちらから
https://vimeo.com/844440573/739775eb35
報告会記録動画をオンラインで上映します!
上記の公開報告会に参加できなかった皆さまにご覧いただけるように、報告会の様子を記録した動画をオンラインで上映します。上映後には、オンラインで交流する時間をもうけます。オンライン交流タイムには、呉市の会場に足を運んでくださった方にもぜひご参加いただき、PCAMPや「多文化×芸術」というコンセプトについて、質疑や意見交換の場となれば幸いです。
日時:2023年6月25日(日)
①報告会オンライン上映 9:30~11:30
②オンライン交流(質疑応答、意見交換)11:30~12:30
場所:Zoom(前日夜までにZoom情報をメールでお知らせします)
対象:関心のある方(教育関係者、芸術活動関係者、多文化共生に取り組む方々、中高生及び保護者など)
参加費:無料
申し込みはこちらから
forms.gle/vSgYgvJbkXspTT3w8
締切:2023年6月24日(土)12:00まで(日本時間)
ひろしまPCAMP2023参加者&成果発表会の見学者大募集!
今回は、3時間という短い時間でもその場にいた人たちと距離を縮め、それぞれの「I am from」をチームごとにひとつの作品に仕上げました。8月のひろしまPCAMP2023は3泊4日! もっと時間をかけて、じっくりと自分のことを掘り下げ、相手のことを理解し、チームメイトと協力して、自分たちの思いを込めたパフォーマンス作品をつくることに取り組みます。そしてこのパフォーマンス作品を最終日の成果発表会で披露します。
ひろしまPCAMP2023参加者募集
広島県在住あるいは通学している高校生年代(15~19歳)の方、またその方たちをご存知の方、下のURLから詳細をご覧いただき、ぜひお申し込みください!
https://www.tjf.or.jp/performance/information/1356/
ひろしまPCAMP2023成果発表会見学者募集
日時:2023年8月6日(日)11:00~12:30(10:30開場)
場所:広島県呉市広まちづくりセンター3Fホール
成果発表会はどなたでも無料でご覧いただけます。
お申し込みはこちらから!
https://forms.gle/LxdJLkrJWNTSHvKP6
写真はすべてLuna2works
(事業担当:長江春子、千葉美由紀)
事業データ
多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」公開報告会及び体験ワークショップ
公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)
呉市国際交流協会
呉市、広島県教育委員会
安芸高田市国際交流協会、こどものひろばヤッチャル(東広島市)、広島市教育文化振興事業団、ひまわり21(呉市)、びんご日本語多言語サポートセンターびるど(福山市)、ワールド・キッズ・ネットワーク(呉市)、一般社団法人舞台芸術制作室無色透明(広島市)
2023年5月28日(日)
①午前:公開報告会
②午後:体験ワークショップ
広島県呉市広まちづくりセンター
江島慶俊(俳優、劇作家)
柏木俊彦(演出家、俳優)
坂田光平(俳優、舞台美術)
田畑真希(振付家、ダンサー)
①65名
②29名(体験23名、見学6名)
無料