2014年7月14日に、宮城学院女子大学の日本語教育課程に在籍している2年生11人、3年生16人に特別講義「日本文化を発信するということ」を行いました。TJFが発信してきた日本情報の経緯と、現在の発信について話した後、学生さんたちはグループにわかれて、海外の中高校生に日本文化を紹介する企画に取り組んでもらいました。まずトピックをひとつ決めて、そのトピックを多面的に紹介するために、どのような視点で何を取り上げるかを話し合って決めていきます。トピック決めはすんなりいくグループもあれば、トピックがなかなか決まらないグループも……。
トピックが決まると、次はどのような視点で紹介するかを話し合います。この活動の前に、TJFが発行していた英文情報誌『Takarabako』の分析をしてもらったこともあり、どのグループもひとつのトピックをいろいろな角度から見て、企画にしていきました。
その結果は……。時間にして30分ほどでしたが、なかなか鋭い視点が入ったものがありました。
学校生活を企画したグループは、同じだと思っていた学校生活が実はさまざまだということがわかって、どのようにまとめていったらいいかかなり難しかった、と感想を述べていました。同じだという思い込み、異なるという思い込み、思い込みに気づくことは、ステレオタイプを打ち破るときの第一歩です。
ひとつのトピックを多面的に紹介する視点をもつことは教材を選んだり使ったりするときにも生きてくるのではないかと思います。
トピック | 視点 |
食文化 | 1 伝統的な食文化(歴史的) さしみ、焼き魚、天ぷら、しゃぶしゃぶ、すき焼き 2 現代のファーストフード(経済的) 牛丼、ハンバーガー、HOTMOTTO(価格戦争、コラボレーション) 3 家庭料理文化(地域的) 玉子焼き、雑煮等、東と西で味の濃さが違う |
買い物 地域、経済、社会 | 大型ショッピングモール、都会っぽい、ネット通販、若者 ⇔アーケード、商店街、田舎、車での販売 ・どういう世代がどこで何を買うか―地域経済 ・地域差、シャッター(問題点) 無人販売、朝市、地産池消 |
学校生活(中学校) | 都市部と地方 私立と公立 私立・都市…ローファー、グラウンドなし、弁当 私立・地方…運動靴、グラウンドあり、弁当 公立・都市…スニーカー、給食 公立・地方…スニーカー、弁当 |
マンガ | 【経済面】ドラマ化、映画化、アニメ化、実写化 スマホで読まれる機会も。 マンガという紙だけではない方面でも経済効果がある。 【歴史面】人物(手塚治虫等)、マンガの元祖(かなり昔) 【海外との比較】海外のマンガ(アメコミ、フランス、スヌーピー等) 内容がシュール、日本のような日常を舞台にしているものもあれば、普遍的な(アクション、冒険)などの印象が強い。 読者層のデータ |
アニメ・マンガ | 【経済】マンガのためなら惜しまない、経済回す(アニメ化、キャラクターソング、イベント、DVD、BD) 【歴史】手塚治虫等の影響の強いもの、昔からのもの(絵・文混じりのものは昔からあった。その進化) 【地域】ご当地マンガ、聖地巡礼、活性化 【社会的】現実に影響。事件、ブーム(自転車、スラダン、テニス、軽音) |
日本の音楽 | CDの特典、握手券←CDが売れない、DLが多い(着うた、待ちうた) 様々なジャンル 演歌、J-POP、J-ROCK、ボーカロイド、アニソン、高校生に人気なジャンル(ボーカロイド) 紅白歌合戦 赤と白に分かれて ライブ・フェスが多い アイドル・ジャニーズ 人気が強い カラオケ 一人カラオケ CMやドラマに使われる |
日本のマナー | おじぎ(上半身を前に倒して、頭を相手に見せる) ex)インテルの長友 【社会的】挨拶…人と会ったとき、試合を始めるとき、授業の始まりと終わり、謝罪、部活 お礼、謝罪 【歴史的】どうしておじぎをするようになったのか、武士同士が相手に敵意がないことを表す 礼儀 相手への思いやり |
食 | 【地域的】郷土料理、B級グルメ、北と南の味の違い 【歴史的】昔との違い Ex)お湯とレンジさえあれば何でもできるようになった。レトルトが多いのは日本だけ? 西洋文化の導入。 ファーストフードの流行。 日本地図にまとめる |
食文化 | 日常は和洋折衷の食事。 正しい和食(懐石料理) 食事のルール(はしの使い方、配置とか) 行事食(地域でどう違うか) |
部活 | 【地域】地域のお祭りに参加(茶道、武道等)、部活動としてボランティア活動(ゴミ拾い等)→チームワーク、地域とのつながり 【経済】部費、合宿費のためのアルバイト→働き者の日本人ならではの発想 |