公益財団法人国際文化フォーラム

りんごをかじろう報告

もっと隣語を知ろう

さまざまな外国語を学びたいと思ってもなかなか機会のない中高生を対象に他機関と協力しながら隣語講座を開催しています。より多くの中高生に関心のある外国語を学んでもらうためには、保護者や教員など周りの大人の理解が重要です。そこで、保護者、教員、高校生を対象とする隣語講座「世界の言語と文化を知ろう」を実施しています。

6月には毛丹青氏を講師に招きました。毛氏は「猫」や「漫画」「手帳」などのテーマで日本文化やライフスタイルを紹介している雑誌『知日』で創刊から長らく主筆を務めていました。『知日』は中国で販売数10万部という話題の雑誌です。

日本と中国の間にある「知の格差」を懸念しているという毛氏の講演のあと、保護者、教員、高校生というふだんなかなか話ができないグループで、「日中の人たちが互いの言語と文化を知ることで、どんなよいことが起きるか」といったトピックで意見を交換しました。毛氏はグループを回り、出された意見を興味深く見たり、参加者とことばを交わしたりしていました。

知中の勧め

毛丹青
神戸国際大学教授・作家

いま中国では日本文化専門誌がよく売れている。出版業界では日本に関わると売れるのだという。それだけのことだ。書店の外国文学のコーナーでは大体7割以上、日本の小説などがずらりと並んでいる。小職が携わってきた『知日』(2011年1月北京で創刊)と『在日本』(2016年4月上海で創刊)という二誌がある。日本文化専門誌づくりの原則は中国の読者のために日本の生の、そして直の実体験を提供することにある。中国人の編集部員がそれぞれ自分なりの視点で相手を観察している。中国文化の背景を参照する者、中国と日本以外の国の文化と比較する者、記事の端々から各人の興味の在り方が読み取れる。

日本語で「等身大」という言葉の意味は「あなたと同じだ」ということだ。日本のことを見続け、誇張せず蔑視せず賛美せず、文化の記録と叙述者として、今後の日本への理解を深めるための道をつくっている。これと同時に日本の若者たちにぜひ同じ視点で中国を知ってほしいと思っている。

事業データ

世界の言語と文化を知ろう!(第2回)「日本が好きな中国を知ろう!」

期日

2016年6月11日(土)

場所

東京都立杉並総合高等学校

主催

東京都高等学校総合学科教育研究会

共催

TJF

協力

東京都立杉並総合高等学校PTA

助成

漢語橋基金

講師

毛丹青(神戸国際大学教授、作家)

参加者

33名

世界の言語と文化を知ろう!(第3回)「りんごをかじってみる」

期日

2016年12月3日(土)

場所

東京都立杉並総合高等学校

主催

東京都高等学校総合学科教育研究会、TJF

協力

東京都立杉並総合高等学校PTA

助成

漢語橋基金、東京韓国教育院

講師

張玥(東京大学大学院)、張河林(東京大学大学院)

参加者

36名

※事業報告書『CoReCa2016-2017』に掲載。所属・肩書きは事業実施時のもの。