学校、塾、家庭。いつも自分がいる場所を離れて、ふだん出会わない高校生やオトナと過ごしてみる。ことば、アート、音楽、文化、社会問題について、その道のプロのナビゲートのもと、学校の授業とはちょっと違うアプローチで取り組む。ひとりでじっくり考えたり、ほかの人たちと話し合ってみて、生まれてきたものを、ことばやモノやカラダで表現する。ほかの人に聞いてもらい、見てもらって、感じたことをことばにする。
ことばの世界を服で表現してみたら?
2017 年度は、舞台衣装家や探究学習のサポートをしている高校の先生とチームを組み、「ことばの世界を服で表現してみたら?」を実施。4日間かけて、自分が選んだ詩を舞台衣装家の視点などさまざまな角度から味わって、その世界に立つ自分に着せたい服を考えました。白いT シャツ5枚を使い、完成させた服を着て詩を朗読しました。
①詩を味わう
詩の世界にあなたがいるとしたら、どこにいる誰?どんな服を着せる?
- いちばん揺さぶられる一文は?
- どんな場所や空間が浮かんだ?
- 空の状態や、気温、湿度はどんな感じ?
- 時間の流れは速い?遅い?
- どんな感情が流れてる?
②服をつくる
切る
縫う・くっつける
染める
③朗読する
どんな服ができあがって、どの詩を朗読したのか、こちらをご覧ください。
参加者の声
〔高校生のコメント〕
- 発表では、みんなの考えとか思いとか個性とかをたくさん受けとった。それは重労働だったけど、自分の新たな知識にもなった。
- ことばからイメージをおこして服にしていくのは難しかった。でも、自分の考えを文字以外で表現するのはおもしろかった。
- たくさんの感性にふれることができておもしろかった。
〔オトナのコメント〕
- 高校の国語の先生が何時間もうっとりと詩の解釈をしていたけど、あの時間の8割でこの授業をしてくれたらよかった。
- 一人ひとりのこれまでの人生の一部が表現されていておもしろかった。
学校のソトでうでだめし
あるテーマについて、ひとりでじっくり考え、みんなで話し合い、ことばやモノ、カラダをつかって作品をつくったり、発表したりする。高校生たちは、その過程で、同じものを見ていても、ほかの人の見方は違ったりすること、自分の感じ方や考え方もひとつではなく、注意深く見ていくと意外と複雑だったり、外からの影響をうけて変わっていったりすることを体感します。ふだんと違う刺激に揺さぶられる経験をして、ものの見方や感じ方、表現への感度を高める。それが、自分自身も含めた社会の多様さを実感をもって受けとめていくことにつながります。
(事業担当:室中直美)
事業データ
学校のソトでうでだめし「ことばの世界を服で表現してみたら?」(ことふくワークショップ)
2017年9月9日(土)、10日(日)、30日(土)、10月1日(日)
TJF
川口知美(舞台衣装家)
宗愛子(中高校司書教諭)
高校生5名、大人5名
※参加者は次の5篇の詩のなかから選んだ。
高村光太郎「道程」、中原中也「汚れつちまつた悲しみに……」、丸山薫「未来へ」、田村隆一「帰途」、茨木のり子「自分の感受性くらい」(『教科書で出会った名詩一〇〇』新潮文庫 所収)
※事業報告書『CoReCa2017-2018』に掲載。所属・肩書きは事業実施時のもの。