互いのことばの教育や学校間交流を進めるため、カギを握るのは校長先生。2015~2017年で参加したのは43 校。直接見て、感じて、話をして、交流に向けて動き始めました。
夏に韓国を訪れて、秋は日本を訪問して、校長先生同士が親交を深める日韓校長交流プログラムは、2017年度も8月と11月にそれぞれが実施されました。
東京、神奈川、埼玉、千葉、広島の10校から、計11名の校長先生と国際交流を担当する先生がソウルを訪問し、韓国の高校の校長や日本語教師、日本語を学ぶ生徒たちと交流しました。同時期に行われていた日韓の中高生交流「ソウルでダンス・ダンス・ダンス」の見学や、韓国の大学に留学している学生に生活の様子を聞くなど、学校間交流に向けてさまざまな人と出会いました。
11月には(一社)国際フレンドシップ協会との共催で日本語教育を実施している高校8校8名を招聘し、東京、神奈川の高校で韓国語の授業を見学したり、韓国語教師の全国研修会の参加者と情報交換しました。ソウルで出会った校長先生方が日本で再会し、さらに親密に外国語教育への熱い想いを語り合ったことはいうまでもありません。
プログラム開始から3年。日韓参加43校のなかからすでに6組12校で交流が始まっています。生徒が互いに訪問しホームステイをしている学校もあれば、ビデオ電話で交流をしているところもあります。それぞれが自分のペースで始めています。
日本語を学ぶ韓国の高校生に会う
学校を案内してもらいながら、日本語を一生懸命学んでいる様子を知って感動し、自分の学校の生徒と交流させたいと思う気持ちが高まる。
韓国の校長、日本語教師と語る
教育に対する考え方を伝え合うことで共感がうまれ、交流の第一歩となる。
日韓の中高生の交流を見る
「ソウルでダンス・ダンス・ダンス」で互いのことばを使ってコミュニケーションをとっている中高生に自分の生徒の姿を重ねる。
韓国の暮らしを体験する
スーパーマーケットで楽しむ。韓国の人たちから勧められたお菓子やラーメンをどっさり買いこんだ。
韓国の大学に留学中の日本の大学生に聞く
なぜ留学したのか、卒業したらどうするのか、留学して困っていることはあるのか、などなど質問攻め。
イメージが変わった
田中英朗
広島県立海田高等学校教諭
これまで私は国際交流とはあまり縁がなく、今回の交流プログラムに参加するにあたっても、韓国の文化や言語に関する予備知識もなく、正直積極的な気持ちで出発したわけではありませんでした。ところが、プログラムを通して多くの気づきを得て、参加できた幸運に感謝しています。
ソウルの街で特に印象深かったのは、地下鉄の優先席が空いていても、若者が決して座らないことです。儒教や兵役経験の影響があるようです。日韓は似たところも多いとはいえ、やはり違う社会であることを感じました。また、「ソウルでダンス・ダンス・ダンス」の現場では、教師の経験則で考える何倍もの成長をごく短期間に見せる生徒たちに驚かされました。「好き」と思う気持ちがことばや文化の壁を乗り越えるきっかけになること、体験を共有することが言語を学ぶ動機になることを実感し、交流事業の意義を目の当たりにしました。
これらはすべて、私自身が街の空気を吸い、韓国の先生方や高校生に会ったことでわかったことです。私たちは、メディアから受けとったことだけでイメージをつくりがちですが、自分の目で見て検証しようと努力すること、そしてその経験を生徒たちに伝えることが必要だと思いました。
帰国後、本校は桃林高校と交流校協定を結び、今年は学生の短期受け入れも行いました。訪韓時の経験を生かして、交流の下支えをしたいと思います。
事業データ
日韓校長交流プログラム(派遣)
2017年8月5日(土)~8日(火)
韓国・ソウル
東京韓国教育院、神奈川韓国綜合教育院、TJF
ANA
10校11名
*8月7日(月)に日韓校長および教師交流会を国際交流基金ソウル日本文化センターと共催した。
JENESYS2017 韓国の校長と生徒の招聘
2017年11月20日(月)~28日(火)
東京、神奈川
(一社)国際フレンドシップ協会、TJF
(一社)国際フレンドシップ協会
ANA
8校から管理職8名、高校生11名、引率教師2名
※事業報告書『CoReCa2017-2018』に掲載。所属・肩書きは事業実施時のもの。