公益財団法人国際文化フォーラム

多言語・多文化交流:パフォーマンス合宿報告

違っていい、違うからいい

日本で暮らしている、ルーツやルートを含め文化的バックグラウンドがさまざまな高校生が自己表現と創作活動を通じて交流するのが、多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」です。

2018年に実施した第1回に参加したのは30名。彼らとつながりのある地域は、アメリカ、オーストラリア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、チリ、日本、バングラデシュ、フィリピン、フランス、ベトナム、ボリビア、香港、ロシア。ことばもさまざまな参加者は4日間寝食をともにしながら、演劇的手法を取り入れた活動を通じて互いの理解を深め、最終日には、みんなでつくりあげたパフォーマンス作品を発表しました。

1日め:みんなでゲームをしながらうちとける

【操りゲーム】

ペアになった相手の手の動きに操られているように自分の身体を動かす。

【ネームサイン】

6人のグループに分かれて、名前の代わりに身体を使った自分のサインをつくる。グループごとにメンバー全員のネームサインを組み合わせ、作品にして発表。

2日め:いろいろな活動をしたあと、6人グループになり寸劇をつくる

【世界地図づくり】

床一面に白いテープで世界地図を描く。

【しじみゲーム】

3人グループで、両脇の2人は貝殻役、真ん中の1人は貝の身になって、「貝殻」「貝の身」とかけ声がかると、その役の人はほかのグループに移って同じ役になる。

【モノ運び】

重さや大きさを頭の中で勝手にイメージしたモノを、ジェスチャーで次の人に伝えながら渡し、受け取った人はその重さや大きさを推理してまた次の人に渡す。

【いちばん古い記憶】

6人グループになり、自分のいちばん古い記憶のシーンの絵を描き、グループ内で発表する。

【人形ゲーム】

ペアの一人が人形になり、もう一人がその人形の手足を動かして、おもしろい格好をつくる。

【並び替え】

「誕生日」「身長」「日本滞在年数」などお題に従ってお互いの情報を伝え合い、順番に並ぶ。

3 日め:グループの寸劇を中心にした11:00-12:00 発表作品の構成を考える

グループ全員の古い記憶を組み合わせてひとつの寸劇にする。楽しく見てもらうために場面転換をどうするのか、モノ運びや、人形ゲームなどを駆使しながらみんなで考える

 

4日め:発表会 11:00-12:00

住んでいた地域 いちばん古い記憶 並び替え 将来行きたいところ、したいこと

私たちが合宿で気づいたこと!

【安心できる場所だった!】

  • ともだちつくった。たくさんゲームやりました。
  • 同世代で初めて自分を認めてくれる人に出会えた、人生で最高な3泊4日だった。
  • 学校では発信しないのにここでは発信したくなった。
  • 自分を隠さないで、ちゃんと自分を出せた。
  • 自分と似た境遇にいた人がいて少し安心した。
  • 違う意見を言っても、誰も否定しない。意見をぶつけあうことができた。
  • It was fun being able to express myself without fear of embarrassment or hesitation.

【違っていいんだ!】

  • 普通なんて存在しない。
  • 「やってみる」「言ってみる」ことが大切。
  • 自分がほかの人と違っていてもいいんだ。

【違うからいいんだ!】

  • 自分が経験してこなかったことをバックグラウンドにもつ子とパフォーマンスをつくることで、自分のアイディアが新しいカタチにうまれかわる。
  • たくさんの個性のなかでアイディアがとびかって作品を作っていけるってすごく楽しい。

【見た目じゃない!】

  • 外国人と日本人の違いは全くない。
  • 外国人のような顔でも生まれも育ちも日本だったり、逆に日本人のように見えても外国で育っていたりと、見た目と違う。

【いろんな言語がある!】

  • 何語で誰が何を言ってもい演劇に苦手意識しかもって い環境だった。
  • 言語の壁はあっても、一緒に踊ったり遊んだり話したりすることができる。
  • 日本語だけではなかったのがよかった。

【演劇が楽しかった!】

  • モノ運びや人形などさまざまな演技の種類があることを初めて知り、組み合わせることでおもしろいステージがつくれると思った。
  • 演劇に苦手意識しかもってなかったけど、楽しかった
  • ことばが通じなくても、演劇だと身体で表現するから理解してもらえた。

事業データ

多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」

期間

2018年3月26日(月)~29日(木)

場所

大学セミナーハウス(東京都八王子市)

コーディネーター

田室寿見子(演劇ユニット Sin Titulo代表)

ファシリテーター

山田カイル(演出家)、わたなべなおこ(演出家)、河野悟(俳優)、田中圭介(劇作家、演出家)、菅原理子(ダンサー)

アシスタントファシリテーター

比嘉ニッコ(俳優)

参加者

日本に在住し、多様な文化的ルーツやルートをもつ高校生、日本に在住し、多言語・多文化に興味をもつ高校生、計30名

※事業報告書『CoReCa2017-2018』に掲載。所属・肩書きは事業実施時のもの。