TJFは2018年3月26日~29日の日程で、大学セミナーハウスを会場に、多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」を実施しました。財団設立30周年記念事業の一つとして企画したもので、国内の多文化共生に向けてのはじめてのチャレンジでした。
「多様なことばと文化を背景に持つ若い世代が、協力して『一人ひとりの個性を尊重し、多様性に富む社会』を創ってほしい」という願いのもと、11の国や地域にルーツを持つ日本在住の高校生及び高校生年齢相当の青少年計16名と、さまざまなことばの学びや国際交流、演劇に興味を持つ日本人高校生計14名が、寝食を共にしながら、演劇ワークショップを中心とした交流活動に参加しました。
合宿の目標
1. ことばと身体で自分を表現する
2. 創造性を刺激し合い、異なる他者を理解する
3. 協働し、バックグラウンドの違いを超えてコミュニケーションを図る
この目標を実現するために、さまざまな工夫をしました。
参加者の構成
多様性をキーワードに、参加者の言語的・文化的ルーツ、その他のバックグラウンド、在住地域や所属学校の特徴などを考慮し、人数的バランスの調整を行いました。
プログラムの構成
- ゲーム性の高い活動から導入し、参加者が楽しみながら心身を解きほぐし、徐々に打ち解けていくようにした。
- ことばを使わない活動からことばを使う活動へと発展させ、少しずつ表現すること、創造することに慣れつつ、表現するスキルを獲得してもらえるようにした。
- 参加者一人ひとりが内面に持っているものを出し合い、仲間同士で摺り合わせて、小さなパフォーマンス作品にまとめて、みんなの前で発表するという経験を繰り返し、協働して新しい価値を生み出す喜びを体験できるようにした。
- 一人ひとりの個性と、その個性が集まった個々のグループ内での協働を大切にしつつ、各グループの作品と三日間の活動のパーツを組み合わせて、全体でまとまったステージ作品に仕上げ、最終日に自分たちの先生や保護者の前で発表することで、一体感を深め、自他の成長を確認しあい、合宿の成果を共有できる場を作った。
ワークショップの企画・実施に関わったコーディネーターやファシリテーターからは、「国際交流をきれいごとや楽しいだけでまとめようとするイベントが多い中で、その偽善性に疑問を持ち、国籍や肌の色などでグループ化せず、一人ひとりの違いと向き合う契機となったとするなら、大成功だと思う」「自分の想像を超える展開に、驚いたり、じーんとしたり、泣いたり、笑ったり、いろんな感情が沸き起こった4日間でした。若者にとって『自分たちでやれた、自分たちがつくりあげた』という実感、主体性がとても重要なんだと改めて感じました」とのコメントがあり、1回めとしては予想以上の成果があげられたと思っています。
今後に向けて
第2回の実施(2019年3月25日(月)~28日(木)/大学セミナーハウス)が決定し、2018年9月3日より募集を開始します。
(事業担当:長江春子)
事業データ
2018年3月26日(月)~29日(木) 3泊4日
大学セミナーハウス(東京都八王子市)
コーディネーター
田室寿見子(Sin Titulo代表/演出家)
メイン・ファシリテーター
わたなべなおこ氏 (PAVLICファシリテーター/演出家)
メイン・ファシリテーター
河野悟 氏(PAVLICファシリテーター/俳優)
構成・ファシリテーター
山田カイル氏(演出家・ドラマトゥルグ)
ダンス指導
菅原理子氏(ダンサー)
アシスタント・ファシリテーター
比嘉ニッコ氏(俳優)
ファシリテーター・舞台監督
田中圭介氏(PAVLICファシリテーター/演出家/大学講師)
日本に在住し外国ルーツを持つ高校生16名、日本に在住し多言語・多文化に興味をもつ高校生14名、計30名