公益財団法人国際文化フォーラム

学びの探究とデザイン報告

パフォーマンス評価を実践するために

沖縄県立総合教育センターで、パフォーマンス評価をテーマとしたレクチャー・ワークショップを行いました。2013年度から當作靖彦カリフォルニア大学サンディエゴ校教授(第二言語習得理論、外国語教授法)を講師に迎え、沖縄県教育委員会主催、TJF共催で実施してきた研修の一環です。沖縄県内の公立高校全60校から1名ずつ外国語担当の先生方が参加しました。

パフォーマンス評価についてのレクチャーの後、話す活動を主とした評価づくりを行いました。4人グループにわかれ、「初級中」「中級下」等のレベル、「レストランで注文する」「意見を述べる」等のタスク・機能、「学校」「家族」「経済」等のトピック、「ものがどこにあるかを聞くこと、言うことができる」等の評価目的を設定。それから、インタビューやロールプレイ、リテル(与えられたキーワードや絵などをもとに、自分のことばでストーリー化して説明する)などの具体的な活動を考え、ルーブリック(評価基準)をつくりました。

次に、つくった評価を、グループ内で先生と生徒役に分かれて実際に試します。うまくいかなかった点を話し合い、手直しをした後、ほかのグループの人に協力してもらって評価活動を行います。フィードバックをもとに改善、完成させました。

あるグループは、海外の観光客に沖縄のよさを伝えるために「沖縄の有名な人やものについて具体的に説明できる」という目的を設定しました。ハイビスカスなどが写った写真を数枚用意し、生徒は自分が引いた写真について、”This is a picture of〜”に続けて説明します。また、沖縄出身の具志堅用高について、生年月日、出身地、職業、取ったタイトル、好きな食べ物などを説明する活動を考えました。

多忙な学校現場でパフォーマンス評価を取り入れていくとき、先生方にかかる負担は小さくありません。當作先生は、「まず、観点や基準をしぼった小さなルーブリックから始めて、慣れてきたら項目を増やしたり改善していくといい」と助言します。

終了後のアンケートには、「評価の観点と基準を明確にして生徒に伝えることで、生徒が次にどんな学習をしたらいいか目標を持ちやすく、動機づけになると気づいた」「テストと学習目標に一貫性をもたせるようにしたい」「学年でパフォーマンス評価を取り入れようと話し合っている。2学期は、生徒にプレゼンを行うことあらかじめ伝え、ルーブリックも渡した上で評価を実施したい」など、学んだ視点や手法を今後の実践に取り入れていきたいというコメントが多くありました。

外国語教育における実践能力重視の流れを受け、2015年度から研修のテーマをパフォーマンス評価にしぼっています。沖縄県教育委員会によるパフォーマンス評価の実施状況調査(県立高校59校対象)では、2015年度は27校、2017年度は49校と、全体の80%以上まで実施校が増えてきています。

沖縄での研修に先立ち、札幌でも、當作先生による「21世紀の言語教育の新しい方向性–ツールとしての言語教育から地球市民育成の言語教育へ」と題するレクチャーと、高校の英語の先生たちによる実践報告会を行いました。

今後に向けて

今後も、先生方のニーズや学校現場の状況にあった研修を実施していく予定です。開催が決まりましたら、TJFのメルマガ「わやわや」やFacebookなどでお知らせします。

メルマガ「わやわや」

TJF Facebook

(事業担当:室中直美、宮川咲)

事業データ

レクチャー「21世紀の言語教育の新しい方向性–ツールとしての言語教育から地球市民育成の言語教育へ」、および実践報告会

期日

2018年8月18日 (土)

場所

TKP札幌ビジネスセンター赤れんが前

講師

當作靖彦(カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)

参加者

北海道内の高校外国語教員 17名

「プロチーブメントテストの理論と実践:効果的なパフォーマンス評価」

主催

沖縄県教育委員会

共催

TJF

期日

2018年8月22日(水)

場所

沖縄県立総合教育センター(沖縄市)

講師

當作靖彦(カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)

参加者

沖縄県立高校の外国語教員 60名