2019年8月2日(金)、大連理工大学開発区キャンパスを会場に「めやす」ワークショップが行われました。大連市内の中高校、大学及び語学教室の日本語教師のみならず、中国各地の日本人教師も駆けつけ、計28名が参加しました。TJFは「めやす」マスターなど4名の専門家を日本から派遣しました。
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中国大陸で初開催となるこのワークショップは、大連理工大学の韓蘭霊先生が訪日研修中に「めやす」ワークショップに参加し、「めやす」の理念や実践に対する理解を深めたことがきっかけとなり、その後「めやす」マスター有志からなる「Let’s めやす」の阪上彩子関西学院大学講師(「めやす」マスター、日本語)の提案と、帰国された韓先生の尽力により開催に至りました。
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基調講演をされた山崎直樹関西大学教授は、「めやす」の開発メンバーであり、「めやす」マスター研修(2013-15)の主任講師も務めていただきました。台湾でのサバティカル期間中の2017年に「めやす」ワークショップで基調講演を行うとともに、現地の大学で「めやす」講座を受け持つなどしました。今回の基調講演でも中国語による講義資料を用意され、重要概念を中国語で説明され、参加者の深い理解につながりました。
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「めやす」の開発メンバーであり、「めやす」マスター(中国語)でもある植村麻紀子神田外語大学准教授は、大学の中国語翻訳の授業で行った「めやす」的実践について、また阪上マスターは留学生対象の日本語の授業で実施した「人生ゲームを作ろう」というプロジェクト学習について報告しました。
「めやす」とは何かについての基調講演と実践報告を聞いた後、「めやす」の基本コンセプトである「3×3+3」と、逆向き設計の授業作りのために開発された「目標分解」というツールを使ったワークを行いました。現地教師と日本人教師からなる混合グループで、それぞれ関心の深いテーマを決め、学習活動の大目標を設定し、それを中目標、小目標、タスクに細分化することで、授業設計の全体像を紙に描いていき、最後に貼り出して発表を行いました。グループワークには田原憲和立命館大学准教授(めやすマスター、ドイツ語)もファシリテーターとして参加してもらいました。
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グループ別成果発表 目標分解ポスター
研修後のアンケートでは、全体的な評価として18名が大満足、8名がやや満足、2名が普通と答えました。「参加の動機」は、「前から「めやす」に興味があった」という参加者はわずかで、「知り合いに勧められた」「ポスターをみておもしろそうだった」「学習者に学習の目標を明確に伝える方法を探していた」などが挙げられていました。なかでも「授業を変えるヒントがほしかった」を参加動機に挙げた方がもっとも多かったです。
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参加してみてどうだったかという問いに対して、基調講演がとても分りやすく、実際に手を動かしてワークを行ったのはよかった、目標設定の重要さがわかった、授業作りについて具体的に考えられてよかった、先進的な教授法を知った、などが満足の理由として挙げられました。そして、一日では短い、理解がまだ不十分、自分で実践できる自信がない、2日くらい研修してほしいというコメントも若干ありました。28名中23名が次もこのようなワークショップに参加したいと答えました。
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一日をかけたワークショップが終わると、主催者・共催者から参加者一人ひとりに参加証明書を手渡しました。会場の設備もよく、運営に携わった開発区キャンパスの先生方の迅速かつ丁寧な対応、豪華で美味しいランチ・バイキングによるおもてなしで、ワークショップの和やかな雰囲気が生まれるとともに真剣な学びが実現しました。
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(事業担当:長江春子)
事業データ
「外国語学習のめやす」ワークショップ in 大連
2019年8月2日(金)10:00~16:00
大連理工大学開発区キャンパス
大連理工大学
Let’s めやす、TJF
山崎直樹(関西大学教授/基調講演担当)
植村麻紀子(神田外語大学准教授/実践報告担当)
阪上彩子(関西学院大学講師/実践報告担当)
田原憲和(立命館大学准教授/ファシリテーター)
大学及び初中等学校、日本語教育機関の日本語教師(日本人教師含む)28名