環境活動家のテンダーさんを講師に迎え、地球環境が限界に達し、厳しい未来が予測されるなかで、次世代になにを渡していけるのか、教育にできることはなにか、テンダーさんはどういうことを実践されているのか、お話しいただきます。
テンダーさんは、アメリカで学んだ先住民技術から、現代の3Dプリンターまで、環境に害の少ないさまざまな技術を活用し、インターネット上で世界の人たちと知恵を交換しながら、環境問題の解決や生態系をよくしていくための技術を開発、提案しています。
たとえば、破砕した廃プラスティックを自作の機械で溶解、成形して、コースターや住宅用の強度の高い角材をつくったり、アルミ缶を屋根材に変えられるアルミ缶カッターを3Dプリンターでつくったりしています。
また、電気・水・ガスを契約せずにシステムを自作して(オフグリッド)、家族5人、快適な暮らしを実現し、小学6年生の理科の知識で家一軒の電力を自給する方法を本にまとめて出版しています。
価値観や思想・信条の違いに関係なく取り入れられる仕組みや技術をロジカルかつクリエイティブに発想するテンダーさんの活動は、地方自治体や教育関係者、企業など、幅広い分野の人たちから注目されています。
環境問題とそれをとりまく社会的課題の解決をめざすには、「ものごとを、自分がみたいようにみるのではなく、リアリティに基づいてみること」「構造を理解した上で、どこにどう働きかけたら根本的な解決につながるのか考えること」「それらを実現するための技術を身につけること」が重要だと、テンダーさんは考えています。
鹿児島の高校の「総合的な探究の時間」で行なっている「サバイバル理科」の授業は、環境に優しく生活の役に立つ知識と技術を体験的に学びながら、「目の前のものごとがどうやって起こっているか。そこにどんな原理原則が働いているのか」を意識し、理解していくように設計されています。
授業では、木の棒を板にこすりつけて火をおこしたり、腕力に頼らずに重いものを持ちあげたり、理屈で腕ずもうに勝つ方法を探ったりするのですが、自然の原理に合致しないと、火はおきないし、腕力なしで腕ずもうに勝つことはできません。
実は、それらの原理は、摩擦やテコの原理など、中学校までの理科で学んでいます。自ら試行錯誤し、観察し、考える体験を通して、学んだ知識が活用できる知識となり、知識をもとに技術が身についていきます。
今回のレクチャーでは、「サバイバル理科」などの取り組みを具体的にご紹介いただくとともに、限界を迎える地球環境の現状、社会の課題をふまえて、次の世代のために何ができるとテンダーさんは考えているのかお話しいただきます。
おもな内容(予定)
◆ 現在の環境はどういう状況なのか
・ 成長の限界
・ 世の中の変化は二次曲線
・ 採掘はベル曲線
・ スカスカの地球を、次世代に渡すこと
◆教育にできることはあるのか
・ 哺乳類は自己教育の本能がある
・ 他者を教え育むことはできるのか
・ 単元の内容を遊びとして扱えるか
・ 「サバイバル理科」の取り組み(デモンストレーションも予定)
講師:テンダー(小崎悠太)さん
一般社団法人その辺のもので生きる代表理事。ヨホホ研究所主宰。
火起こしから電子回路まで、先人の技術を引き継ぐ1万年目のこども。環境問題や争いを解決する手段として、先住民技術と対話を重んじる。2017年、鹿児島県南さつま市金峰町の廃校にて、ファブラボ「ダイナミックラボ」をスタート。先住民技術から最新のデジタルファブリケーションまで、問題を解決するためのありとあらゆる技術に触れられる場所を目指している。
2015年7月、自ら設立した出版社より『わがや電力〜12歳からとりかかる太陽光発電の入門書』を出版。これまでに10,000部以上を販売。朝日新聞「折々のことば」に取り上げられるなど注目されている。KTS鹿児島テレビによる1時間特番「テンダーの思い」が九州民放祭で優秀賞受賞、FNS ドキュメンタリー大賞2015優秀賞受賞。
「ダイナミックラボ」
https://sonohen.life
レクチャー概要・申込方法など
学校のソトでうでだめし【先生編 vol. 2】 教育しか残せない時代に―知識と実体験を融合する鹿児島「サバイバル理科」の取り組み
2019年11月10日(日) 14:00-17:00
小中高校の教員、教員志望の学生、小中高校の教育に携わる方 50名
SHIBAURA HOUSE
http://www.shibaurahouse.jp/about/access_contact/
東京都港区芝浦3-15-4
*JR田町駅芝浦口より徒歩7分、都営三田線・浅草線三田駅A4出口より徒歩10分
2,000円±1,000円(1,000円〜3,000円)
*幅のある金額(今回は「2,000円±1,000円」)から、参加者が自分で参加費を決めて支払う「スライディング・スケール」という方法で、経済的余裕のある方から他の余裕のない方の参加費分もご負担いただく仕組みです。ご自分のご都合や価値基準などに合わせてお支払いください。
*参加費は、会場費など、運営経費の一部として使用させていただきます。
申込フォームからお申し込みください。
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*定員に達し次第、締切ります。
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