「日本に姉妹校がほしいんです」
「日本の高校と交流したいんです」
こんな声が中国や韓国の日本語教師から寄せられた。高校で中国語や韓国語を教える教師とのネットワークはあるものの、受け入れ先を探すのは容易なことではない。一日の交流でも学校全体の行事になるからだ。
しかし校長がその気になれば学校は動く。そのためには、校長が中国や韓国を訪れ、日本語教育実施校を見学したり、教育関係者と交流することで互いの理解を深めることが必要だ。
2008年度から中国語や中国文化の海外への普及を担う教育部の直属機関である国家漢ハンバン弁の委託を受け、高校の校長を中国に派遣するプログラムをスタートした。社会情勢の変化によって漢弁の委託は2011年度で終了したが、その後もTJF の主催事業として実施した。姉妹校の協定を結ぶまでにはいたらなかったが、中国から日本語教師や生徒を招聘したときに、受け入れ校として手を挙げてくれた校長は何人もいた。
2015年度からは、韓国との交流に関心をもつ高校の校長を韓国に派遣するプログラムを開始した。この韓国版では日本語教育実施校の校長と交流するだけでなく、日本語を学ぶ生徒やソウルの大学に留学している日本の学生たちとも話す機会を設けた。印象に残っていることとして、日本語のレベルの高さと礼儀正しさ、勉強に打ち込む姿を挙げる校長は多い。 2016年度は夏に校長を韓国に派遣するだけでなく、日本政府の「21世紀東アジア青少年大交流計画」を活用し、日本の校長と交流した韓国の校長を秋に日本に招聘することができた。交流を重ねることで互いの教育に対する情熱をよく知ることになり、姉妹校締結を結んだ学校も2組誕生した。東京都立日比谷高等学校とミチュホル外国語高等学校(仁川市)、神奈川県立弥栄高等学校と東灘中央高等学校(京畿道)だ。さらに神田女学園中学校高等学校とソウル女子高等学校は協定の締結に向け準備を進めている。
参加者の声
これまで国際交流は好きな人がやればいいと思っていたが、今回のプログラムに参加してそうではないと思った。自分の学校でももっと国際交流をやっていきたい。(2015年度韓国派遣プログラム参加者)
※30周年記念誌『Tracks』に掲載