「ソウルで韓国の中高生といっしょにK-POP ダンスを踊って交流しよう!」
このことばに、定員の10倍を超えるほどの応募がある。「SEOUL でダンス・ダンス・ダンス」プログラムは2013年3月に、韓国の秀林文化財団との共催で始まった。企画のきっかけは、2010年秋にスタートした中高生のための土曜韓国語講座の学習者を韓国に連れて行ってあげたい、という担当者の思いだった。学んでいることばを実際に使いながら、知恵を出し合い、役割を分担しながら、何かをつくりあげる。そのためにはテーマが必要だ。日本の高校生に人気のあるK-POP ダンスが選ばれた。
1回めは日本の中高生9名がソウルに行き、韓国語講座の受講、ホームステイなどを体験しながら、最終日のダンスの発表会に向けソウルの中高生と練習や買い物をした。プログラムを終えて、参加者の1人が言った。「韓国の友だちと一緒にいる時間がもっとほしい」
ソウルに滞在するのはわずか5日間。できるだけ一緒に過ごせるように、2回めからは合宿型に変えた。ダンスの練習だけでなく、生活のなかで自然とことばを使うようになる。楽しいだけではない。自分の気持ちが伝わらずもどかしい思いをしたり、時にはぶつかりあうこともある。それでもみんなで協力しなければ、ダンスを完成させることはできない。発表会では、衝突や苛立ちを経て完成させたダンスが披露される。
しかし参加している中高生が全員ダンスが上手なわけではない。ダンス以外でも活躍できる場面をつくった。2014年度の発表会では、ダンスの披露とともに、「かわいい!귀요미(キヨミ)対決」を行った。グループごとに決められた色が入っている洋服や小物などでコーディネートを考えて買い集め、ダンス発表の前にそれぞれが披露してかわいらしさを競い合うのだ。また、日韓の軽食「たこやき」と「トッポギ」を作ったり、かき氷とパッピンス(韓国のかき氷)をグループごとに創作したりするなど、毎回内容の違う活動を行っている。さらに、ダンスチームのメンバー以外の参加者とも交流できるように、部屋割りや活動ごとにグループを変える。
先輩から後輩への口コミ、姉から聞かされて妹が応募するなど、人気のあるプログラムになった。
参加者の声
- 韓国の友だちだったら、その場ですぐに「嫌だ」とか「違う」とか言うけど、日本の友だちは相手に悪いと思って言わないことが多い。それがわかったから、相手のことが理解できるようになった。何人かとは今もLINE でつながっている。(第4回韓国側参加者)
- 釜山まで2時間という長崎県対馬から夜行バスで東京の事前研修に通ってまでなぜこのプログラムに参加したいと思ったかというと、韓国とダンス、大好きな2つと同時に関わることができたからです。(第1回日本側参加者)
※30周年記念誌『Tracks』に掲載