EVENT REPORTS実施報告

「多文化×芸術」ワークショップ in 福山を実施しました

「多文化×芸術」ワークショップ in 福山を実施しました

2024.09.24

対象
WS1:演劇教育関係者/WS2:海外にルーツを持つ小学生/WS3:小学校教員/WS4:中学生
参加費
無料
期間
2024年6月23日(日)~6月25日(火)
TJFの主催で、「多文化×芸術」をコンセプトに、次の4つのワークショップを6月23日~25日の日程で実施しました。【WS1】多文化ティーチングアーティスト(TA)研修(6/23、演劇教育関係者対象)/【WS2】呉市白岳小学校児童向けWS(6/24、同小学校に在学中の海外にルーツを持つ児童対象)/【WS3】呉市白岳小学校教員向けWS(6/24、同小学校の教員対象)/【WS4】ドラマ教育WS(6/25、蒼明学院中等部の生徒対象)

PHOTOS

TJFは「ひろしまPCAMP2024」(広島県福山市にて8/19-22の日程で実施)のプレイベントとして、6月23日から25日の3日間、それぞれ演劇教育関係者(WS1)、小学生(WS2)、小学校教員(WS3)、中学生(WS4)を対象とする計4つのワークショップを実施しました。

今回の連続ワークショップの主な目的としては、次の4点が挙げられます。
①「多文化×芸術」がどのように地域の多文化共生につながっていけるかを共に考える場を作る➁地域の方々にワークショップでの体験を通してPCAMPについて知ってもらう
③「ひろしまPCAMP2024」の開催地である福山市の多文化共生の現状について学ぶ
④小中高校生、そして小中高校生の教育に関わる大人たちにシアターエデュケーションを経験してもらう

4つのワークショップのプログラム作成とファシリテーションは、長年PCAMPのメインファシリテーターを務めている柏木俊彦さん(演出家、俳優)と田畑真希さん(振付家、ダンサー)にお願いしました。また、演劇教育関係者向けのWS1では、「福山市の多文化共生の『いま』について」のレクチャーも組み込み、福山市を拠点に活動する「びんご日本語多言語サポートセンター『びるど』」の代表、宮野宏子さんが講師を務めました。

【WS1】ティーチングアーティスト(TA)研修

【WS1】の概要
日時:6月23日(日)13:00~18:30
会場:福山市西交流館 本庄コミュニティセンター
対象:シアターエデュケーションや演劇・ダンスワークショップのファシリテーションについて学びたい広島県及び周辺地域在住の舞台芸術実演者など(ファシリテータ―未経験者も含む)
内容:「多文化×芸術」をコンセプトとした演劇・ダンスのワークショップを体験し、対話を通じてシアターエデュケーションへの理解を深め、福山の多文化共生の現状についても学ぶ

WS1には、教育関係者、芸術活動関係者、大学の教員、中学校の教員、一般市民、大学生を含め、計17名が参加しました。次のテーマや関心事について、体験的、対話的、ケーススタディ的に学んでもらうためのプログラムを組みました。

  • シアターエデュケーションとは?
  • ティーチングアーティスト(TA)ってなに?
  • 「多文化×芸術」ってどのようなコンセプト?
  • アーティストはどうやって地域の多文化共生や社会包摂に貢献できるの?
  • ファシリテーションのコツを知りたい!

また、「多文化×芸術」をコンセプトとする活動の理解者、実践者を増やし、地域の多文化共生に日常的、恒常的に関わっていく人材を地域で育成するとともに、参加者の方々に「ひろしまPCAMP」 についても知ってもらうことを目標としました。

【WS1】のプログラム

ウェルカムボード

3枚の模造紙を貼り、それぞれに「自分を動物に例えるなら」「ソウルフード」「雨の日といえば」のお題を書き、開場からワークショップ開始までの間、参加者一人ひとりにお題の答えをポストイットに書いて模造紙に貼ってもらいました。この活動はPCAMPの参加者にもやってもらっていることであり、来場者の緊張をほぐし、コミュニケーションの掴み効果を狙ったアクティビティですが、実はワークショップ本番での活動内容の伏線にもなっています。

1分間あいさつ

「1分間で、ここにいる参加者全員とあいさつしましょう」というお題でWSは始まりました。次々と相手を見つけてあいさつを交わさないといけないので、皆さんは必死に動き回り、会場内は笑顔と活気で溢れ、一気に盛り上がりました。

ウォーミングアップとアイスブレーク

参加者が身体を動かしつつ緊張をほぐし、互いに知り合うために、まずはノンバーバルコミュニケーション(言葉を使わないコミュニケーション)のアクティビティを行いました。楽しい音楽に合わせてファシリテーターの田畑さんの動きをみんなで真似していく「真似っこダンス」、ファシリテーターの掛け声に合わせて腕や頭など全身を使って1本足から5本足までポーズを決める「何本足ポーズ」、足の爪先と爪先、人差し指と人差し指、頭と頭を突き合わせてペアをつくる「toe to toe」、田畑さんが演奏するフエの音に合わせて体を動かしたり止まったりする「フエダンス」、相手の顔を一定の距離を保ちながら掌で操る「ハンドパワー」などにじっくり取り組んでもらいました。参加者の表情は最初よりも豊かになり、toe to toeで全員が「合体」する時はお互いに「こっちだよ!」「もう少し!」「いい感じ!」と声を掛け合うなかで自然と一体感が生まれていました。

レクチャー:福山市の多文化共生の「いま」

たっぷりと身体を動かし、心と身体の距離を縮めたところで、次は宮野宏子さんによるレクチャーの時間です。福山市に実際どれくらいの外国人が住んでいて、どのような事情で日本に来ているのか。また外国につながる子供たちを取り巻く現状と、彼らが福山で学び成長していく過程で大人は何ができるのか、などについて「びるど」の活動の経験を交えながら話してもらいました。地元からの参加者が多い中、「こんなにたくさんの外国籍の人が福山に住んでいるとは知らなかった」と驚く方も。

Cross the circle

メイン・アクティビティに入る前に、もう一度場をほぐす意味で「Cross the circle」を行いました。参加者全員が一つの大きな輪になって立ちます。Aさんは自分から遠いところに立っているBさんの名前を呼び、Bさんのところに移動。続けてBさんは自分から遠くに立っているCさんの名前を呼び、Cさんのところへ移動・・・(アクティビティの名前通り円を横切る動きになる)。それを繰り返して最初のAさんに戻ったところで終了です。一周出来たら、もう一度同じ順番で、同じ人の名前を呼んで2周ほど繰り返し、自分のことを呼んでくれる人と自分が呼ぶ人のことを覚えていきます。みんなが戸惑うことなく呼び合えるようになったら、次のステップでは相手の名前の後に自分の好きな食べ物を続けて言って全員で回していきます。その後はお題を変えて名前の後に自分の好きなところを言う、などして何度か繰り返します。そうやっていくうちに、自然とみんなの息が合ってきて、テンポよく進めるようになります。このアクティビティはお互いのことをより知っていくと同時に、実はメイン・アクティビティの「I am from」への道慣らしでもあるのです。

メイン・アクティビティ:I am from 体験

「I am from」は地域版PCAMPで中高校生の参加者にやってもらっているメイン・アクティビティ。アメリカの多文化演劇教育の現場で活用され、PCAMPにも取り入れています。事前にいくつかのお題(キーワード)を書き込んだワークシートを準備します。参加者はそのワークシートのお題に沿って自分の思い出や経験、大切にしていることを書き出し、各フレーズの頭にI am fromをつけてポエム風に表現します。この作業によって、参加者は改めて自分は何者なのか、自分のアイデンティティは何かを確認していきます。そして、できあがったI am fromを朗読して共有したり、グループメンバーのI am fromからいくつかのエピソードを組み合わせて演劇作品にしていきます。

このワークショップで用意したI am fromのお題は次の4つです。

  • ソウルフード/子供の頃好きだった家族の手料理、(誰かと)よく食べた料理、など
  • うた/好きなうた、くちずさむうた(誰かと聞いた思い出のうた)、など
  • そら/(誰かと見た)思い出のそら、など
  • わたしの2025/わたしの少し先の未来、夢、希望、など

3つのグループに分かれた参加者たちは、各自が書いたI am fromをシェアし、どのストーリーを選び、どんなふうに表現するかアイデアを交わしていきます。ファシリテーターとスタッフからなる運営チームで作ったデモ作品を見てもらい、演劇的要素を盛り込む際の参考にしてもらいました。

最後は発表の時間。一人ひとりが主人公でありながら、メンバーの物語がつながって一つの作品になっていました。セリフ、歌、情景描写、ユニゾン……。参加者は個性とチームワークの両方を発揮してのびのびと表現していました。全チームの発表が終わったあとは、ファシリテータ―の柏木さんによる、今回のTA研修の種明かしの時間をもちました。各アクティビティがどのような効果があり、次のステップにどう影響するのか、WSの全体がどのようにデザインされているのかを説明してもらいました。

【WS1】参加者の声

  • 他の人のI am fromを理解していく過程が嬉しかったです。演じたことがない人にとって、恥ずかしさを感じない内容になっていて、よかったです。
  • 最後の発表会が楽しかったです。普段役者や演出をやっているのですが、チームメンバーの豊富な想像力に触れて、勉強になりました。
  • 〇本足が楽しかったです。壁がとれてその後にワークに入り込みやすかったです。
  • 自分を語ることは、演劇を好きか嫌いかにかかわらずみんなやりたいことなのではないかと思うので、I am fromはそれをやりやすく、共有しやすくするとても良いツールだと思いました。ぜひ実践したいです。
  • 「多文化共生とは個人個人が出会うこと」というお話が興味深かったです。
  • ファシリテーター向けのワークショップがなかなかない地域なので、こんなにたくさんの参加者がいることに嬉しくなりました。
  • 人に興味を持つこと、それが今の子どもたちには欠けていると感じるので、この研修はとても有用だと感じました。
  • 一連のウォーミングアップ、I am fromを作り上げるプロセスが面白かったです。

【WS2】呉市白岳小学校児童向けWS

【WS2】の概要
日時:6月24日(月) 13:15~14:50
会場:白岳小学校 体育館
対象:白岳小学校内の海外ツールを持つ児童20名(2~6年生)
内容:シアターゲームや身体を使ったアクティビティを通して心と体をほぐし、交流を深めます。 

WS2には、インドネシア、中国、ミャンマー、ブラジル、ベトナム、フィリピン、ネパールにルーツを持つ白岳小学校の2年生~6年生の児童20名が参加しました。学校で子供たちの国際教室を担当している江口修三先生によると、子どもたちは、普段それぞれのクラスで授業を受けていて、 各人の日本語力等に応じて、国際学級でも授業を受けているそうです。また週に1度放課後に集まり、宿題をしたり読書したり全員で活動したりして過ごしているとのことでした。普段のクラスではどうしても萎縮してしまう子どもたちが多く、ぜひこの時間では思いっきり自分を出して解放されてほしいという江口先生からのリクエストを受け、このワークショップは次の3つを目標にしました。

  • 異学年の子どもたちが心と体を解放し、仲間としてつながること
  • うまく表現できなくてもお互いに補い合いなが一つのもの(作品)をつくれた体験をすること
  • 「つながり、受け止められた」「相手のことを意識しながら行動できた」とことでエンパワメントできた経験をしてもらうこと

【WS2】のプログラム

ウォーミングアップとアイスブレーク

日本語を聞いたり話したりすることが苦手な子でものびのび参加でき、自然と心と身体がほぐれるようなアクティビティで構成されていました。まずは「まねっこダンス」から。身体の柔らかい田畑さんのしなやかな動きを見て、子どもたちが思わず「すごい!」と声を上げます。慣れない活動に最初はクスクス笑っていた子どもたち。低学年の子ほど夢中になって動きを真似っこしていきます。次はWS1でも登場した「stop&go」、ファシリテーターの掛け声に合わせて腕や頭など全身を使って1本足から5本足までポーズを決める「何本足ポーズ」、田畑さんが演奏するフエの音に合わせて体を動かしたり止まったりする「フエダンス」を続けて行いました。

体育館という開放的な空間で、子どもたちは大声で笑ったり、独奏的なポーズを見せ合ったりして楽しんでいました。高学年の子たちは少し恥ずかしそうにしている様子も見受けられました。「5本足になる!」「もっと早く、もっと小さくなる!」など、掛け声の日本語があまり理解できず戸惑う参加者もいました。そういう時は江口先生と他の支援員の方々にフォローしてもらいました。

メイン・アクティビティ

前半でたっぷり身体を動かし、心と身体の距離を縮めてから、メイン・アクティビティである「ハンドパワー」(相手の顔を一定の距離を保ちながら掌で操るアクティビティ)と「氷ダンス」(動きの途中の氷のように固まり、ペアの人が体を絡ませて「溶かす」アクティビティ)に移ります。ことばによる説明があまりなくても、子どもたちはファシリテーターの柏木氏さん田畑さんの動きを観察して、少しずつルールをつかんでいきます。ハンドパワーも氷ダンスも、やっている最中は「話さない」が基本ルール。アクティビティが始まると、体育館が一気に静かになり、子どもたちはみんな集中モードに入りました。

ハンドパワーでは小学生ならではの柔らかい身体能力を使って、いろいろな方向へと身体を動かしていました。背後や横にいる相手の姿が完全に見えなくても、声をかけなくても、触れ合う二人の息でリレーがつながっていく氷ダンス。やっていくうちにみんなとても真剣な顔になっていました。二つのアクティビティとも、どんどん新しい人とペアを組んで続けます。最後は「ハンドパワー」と「氷ダンス」を掛け合わせた動きを2つのグループに分かれて順に発表してもらいました。一緒にやる人数も、「ハンドパワー」から「氷ダンス」に切り替えるタイミングも、無言の中で自由自在です。一人ひとりがアートピースのように見える、美しい時間でした。

【WS2】の振返り

終了後、子どもたちに今日の感想を聞くと、「楽しかった!」と口々に笑顔で答えてくれました。参加児童からアンケートを取ることはありませんでしたが、普段から子供たちの様子を見ている外部支援員の方から以下のフィードバックをもらいました。

  • ある6年生の子について 

→欠席が多くて、あまり会えない子です。この日はいい笑顔で活発に動いていました。

  • ある5年生の子について 

→去年から編入したのですが、日本語の力がなかなかつきません。いつも顔を隠すようにしている子です。 この日は、聴き取りもあまりできない子だから、初めは私たち支援員のところに逃げてきて、体育館の隅で少しゆっくり過ごしました。そこへ友達がやって来たので、一緒に練習をして理解できたらみんなのところへ戻っていきました。その後は楽しそうに活動していました。 私たちは、初めて素の満面の笑顔を見られたので大感激でした。両親にも写真を送って報告し、喜んでもらえました。

  • 参加した児童の後日の作文より抜粋(以下、名前以外は原文のまま)

→今日の月曜日の五時間目と六時間目でみんなとゲームしてあそびました。まず1つ目はみんなで「まきまっちょ」さん(TJF注:ファシリテータ―の田畑さんのこと)の名前を知り終わったあと、まきまっちょさんのおもしろいダンスを見せてくれました。体がやわらかくて、おもしろい顔でおどったりするのがびっくりしたり、笑ったりする。(中略)先生がまねすると私たちもまねする。1目のゲームは手のひらを見て、移動する。わたしとコ●●●、し●●で3人でやってみた。同時にするのは難しくて、大変だった。手を高くすると、わたしは、とどかなくなっちゃう。なんだか高すぎて、天国へ行けそうだった。

WS2に参加してくれた児童たちには、中学校にあがったらぜひPCAMPに参加してほしいと思いました。もっとゆっくり時間をかけて心と身体をほぐしていき、自分を表現することの楽しさ、すがすがしさ、自分でいることのすばらしさを実感することで、これから生きていく上での自信につながれば、と思います。

【WS3】呉市白岳小学校教員向けWS

【WS3】の概要
日時:6月24日(月)  15:00~16:30 
会場:白岳小学校 体育館
対象:白岳小学校教員約19名
内容:シアターゲームや身体を使ったアクティビティを通して心と体をほぐし、交流を深めます。 

【WS3】のプログラム

児童向けのワークショップが終わったあと、続けて同体育館で白岳小学校の教員19人の方を対象にワークショップを行いました。「人権教育の一環として」という小学校側からの要望に応え、目標を以下の3つに設定しました。

  • 教員間の交流を深める
  • 心と身体を解放し、楽しむ体験をする(違った価値観や多様な体験を受け止める。素の自分が出せる)
  • ワークショップで体験した気づきや発見したことを、ふだん関わっている子どもたちに還元する(多様な子ども、異文化の中で育った子どもを受け止め、つなぐ感性とスキルを育てる)

ウォーミングアップとアイスブレーク

オープニングはWS1で登場した「1分間あいさつ」からです。ファシリテーターたちは先に、「みなさんが知っている日本語以外のあいさつの言葉を教えてください」と質問し、出てきた答えをホワイトボードに書いていきます。フランス語や英語のあいさつが続くなか、ファシリテータ―の柏木さんは、WS2に参加した子どもたちのルーツである7か国のあいさつを紹介し、書いていきます。「どの国の、どの言語のあいさつことばを使ってもいいので、1分間で参加者全員とあいさつをする」というお題は変わりません。7か国の子どもたちの文化の一片を取り入れることで、クラスにいる子どもたちとのコミュニケーションのきっかけになれば、という意図が隠されていました。

その後はWS1とWS2で登場した「真似っこダンス」と「toe to toe」でもう少し場をほぐしていき、「バザール」というアクティビティを行いました。仲間を探すゲームで、「好きな食べ物!」「行きたい国!」などファシリテーターから出されるお題に対し、自分の答えと同じ人を探すものです。体育館内を歩き回り、一人ひとりに声をかけたり、自分の答えを大きい声でアピールしたりして仲間を探していきます。仲間が見つからず、一人になる場合も。ファシリテーターの柏木さんが、何名かにインタビュー形式でお話を聞く時間もありました。ふだん同じ職場で働いている同僚の違う一面が見え、「えーそうなんだ!」「知らなかった!」という声が上がってました。

10年後の自分

メイン・アクティビティは「10年後の自分」です。3グループに分かれて、まず10年後の自分を、紙に書き出します。書いた内容をグループ内でシェアし、最後は全員の前でグループ毎に発表していきました。10年後は「空飛ぶ自転車でアメリカまで旅している」「宝くじを当ててのんびり過ごす」「大型犬を飼って癒されている」など他のグループの発表を聞いて「へぇー!」「いいなー」と共感や驚きの声も聞こえてきました。

【WS3】の振り返り

1時間半という短い時間でしたが、参加してもらった教員のみなさんからのアンケートにはポジティブな声が多く、ウォーミングアップで登場した「toe to toe」アクティビティに関しては、子どもたちも喜びそう、授業で取り組んでみたい、という声もありました。

  • いつも一緒に働いている先生方ですが、またひとつ関係が深まったと感じます。
  • 「toe to toe」が楽しかった。体育で使えそうです。
  • 「10年後の自分」で色々な先生の思いが聞けました。
  • 音楽、動作、言葉などで楽しく大勢で活動ができることが分かりました
  • 自己開示するとなんだかすっきりする!
  • 今まで知らなかった先生たちのことを知れて楽しかったです。仲良くなれた気がしました。
  • 長期休み(夏休み、冬休み)などで研修ができたら嬉しいです。
  • 動きながらあいさつすると自然と笑顔になれる!
  • 生徒たちとやってみたいけど、話せない子がいるのでどうしたらいいかと思いました。
  • 楽しく相手のことを知ることができるアクティビティを自分の学級でアレンジしてやってみたいです。
  • 他の人の好きなことや好きなものが知れて良かったです。ふだん忙しすぎてそんな会話もしないので……。
  • 好きな〇〇や10年後の自分など、想像する力につながるなと思いました。はじめての人でも心が開きやすいなと思いました。

【WS4】蒼明学院中等部_ドラマ教育WS

【WS4】の概要
日時:6月25日(火)13:20~15:10
会場:蒼明学院中等部 多目的ホール
対象:当学院中等部の1年生と2年生、計50名
内容:ドラマ教育の一環として、シアターゲームや身体を使ったアクティビティを通して心と体をほぐし、異学年同士の交流を深める 

蒼明学院中等部では、今年度より「ドラマ教育」を授業のカリキュラムに組み込んでおり、国語と英語の合教科型授業で実施されています。ドラマ教育を担当することになった当校の担当教員がWS1(TA研修)に参加することになったことがきっかけで、本企画が生まれました。WS4には当校の1年生と2年生の生徒50名、教員7名(見学を含む)で計57名が参加しました。当日は地元メディアの取材も入り、WS4の活動の様子が写真とともに「中国新聞」と「山陽新聞」に掲載されました。

【WS4】のプログラム

中国新聞の記事より(写真:ハンドパワーアクティビティ)

ウォーミングアップとアイスブレーク

WS1、WS2と同様、「Stop&Go」「toe to toe」「ハンドパワー」「氷ダンス」など身体を動かしながら心理的距離も縮めていくというアクティビティを体験してもらいました。

プレ・アクティビティ

メイン・アクティビティへの導入として、アクティビティ「1、2、3」(イチ、ニ、サン)をしました。ペアで順番に1、2、3を言っていきます。慣れてきたところで三つの数字のうちの一つをポーズに置き換えます。さらに慣れたところで、別の数字を別のポーズに置き換えていきます。最終的には1、2、3を全部異なったポーズに置き換えて数え(表現し)ていきます。反射神経が試される楽しさを味わいながら、身体で形を表現することに慣れてもらうためのアクティビティでした。

1,2,3のデモを見せるファシリテーター

メイン・アクティビティ:シェイプ(体で形を表現する)

たっぷりと身体を動かしたあと、メイン・アクティビティであるシェイプに移ります。ファシリテーターが、生徒たちに「笠岡市といば、なに?」と質問を投げかけると、大半の生徒から「カブトガニ!」と返ってきました。「じゃあ、そのカブトガニを、チームで身体を使って表現してみよう!」とのお題が出されました。戸惑いながらもチームでアイデアを交わしはじめます。座ったり、横になったり、全身を使ってカブトガニの各部位を表現していきます。アイデアタイムが終わったら早速1チームずつ発表。3チームのそれぞれ全く違う形のカブトガニが完成しました。発表中は、他のチームのメンバーが近づいて作品を眺め、「ここが兜部分ね!」「尻尾はこういうふうにしたんだ!」などと他のチームの発想に対して感想を話していました。「このカブトガニは動けるかな」というファシリテータ―の無茶振りにもちゃんと応え、形が崩れないようにみんなで協力して大きなカブトガニを動かしていました。

山陽新聞に掲載された記事(写真:カブトガニの形を表現している姿)

【WS4】の振返り

異学年同士で様々なアクティビティを体験した生徒たち。最後は円になって全体で感想をシェアしたのち、一人ひとりにアンケートにも答えてもらいました。「楽しかったこと、気づき、学んだこと」として以下のコメントが寄せられました。(以下、現文のまま)

  • 二人と協力して体を動かすことはこんなにも楽しいことだと思った。
  • 友達と一緒にゲームをする機会がなかったけど、あまり喋らない子とも、一緒にやることが出来て、仲が深められました。
  • 色々な遊びで話したことないが人ともコミニュケーションをとることができて「こういうところでコミニュケーションってとれるんだな!」って気づきました!
  • 演技は私のなかで感情を込めるものだと思ってたけど体を動かして気持ちを表現することもできるんだと驚いた。
  • 発想豊かなゲームばかりでとても楽しかったです。体をたくさん動かして楽しめました。
  • こういうことを全力で楽しむのも大切だということを知った。
  • 協力した仲間と喋らなくても空気を読んで、動くことを学べました。
  • みんなが知っている表現じゃなく自分で考えてやってみるということに気づけた。
  • 恥ずかしがらずに堂々としたほうが楽しいこと。
  • 友達と団結していろいろなことができたのでこれからに生かしていこうと思います。
  • 普段喋ってない人交流できた。
  • もともと人前では内気な性格だったけど沢山はしゃげて楽しかったです!!ありがとうございました!
  • 一人でするのではなく、仲間と協力するとできなかったことができるようになるということを知りました。
  • 表現の仕方は無限大なんだなと気づきました。

3日間のWS、その後

WS4に参加した生徒のち3名が、8月19日~22日に福山市で実施した「ひろしまPCAMP2024」に応募し、3泊4日間の合宿に参加してくれました。PCAMPへの応募動機を尋ねると、「WSで様々なアクティビティを体験してみて、こういう活動を通して中高校生同士で交流できるって楽しそう!と思ったから」と答えてくれました。

蒼明学園中等部からの3名を含め計22名の参加者が集まった「ひろしまPCAMP2024」の活動様子については、10月中の実践報告にて詳しくご紹介する予定です。

担当 長江春子、シムヒョンミン

事業データ

主催

公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)

【WS1】多文化ティーチングアーティスト(TA)研修

●日時:6月23日(日)13:00~18:30
●会場:西交流館 本庄コミュニティセンター
●対象:シアターエデュケーションや演劇・ダンスワークショップのファシリテーションについて学びたい広島県及び周辺地域在住の舞台芸術実演者(ファシリテータ―未経験者も―含む)
●参加者:17名

【WS2】呉市白岳小学校児童向けWS

●日時:6月24日(月)13:15~14:50
●会場:白岳小学校 体育館
●対象:白岳小学校に在学中の海外ツールを持つ児童
●参加者:20名(2~6年生)

【WS3】呉市白岳小学校教員向けWS

●日時:6月24日(月)15:00~16:00
●会場:白岳小学校 体育館
●対象:白岳小学校教員
●参加者:約19名

【WS4】ドラマ教育WS

●日時:6月25日(火)13:20~15:10
●会場:蒼明学院中等部 多目的ホール
●対象:蒼明学院中等部1年生、2年生
●参加者:生徒50名+教員7名(見学を含む)

ファシリテーター(各プログラム共通)

柏木俊彦(俳優、演出家)
田畑真希(振付家・ダンサー)

講師(多文化ティーチングアーティスト<TA>研修)

宮野宏子(びんご日本語多言語サポートセンター「びるど」代表)

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