EVENT REPORTS実施報告

「多文化×芸術」ワークショップ in 富山_【WS1】開催レポート

「多文化×芸術」ワークショップ in 富山_【WS1】開催レポート

2024.03.13

対象
留学生
参加費
無料
期間
2024年2月9日(金)
TJFは2024年、「とやまPCAMP」の立ち上げに先立ち、「多文化×芸術」をコンセプトに、2月9日~11日の日程で、富山市民文化事業団、富山市との共同主催による三つのワークショップ(WS)を開催しました。 【WS1】多文化パフォーマンス交流会(2/9、留学生対象)※本稿 【WS2】多文化演劇体験ワークショップ(2/10、市民対象) 【WS3】多文化ティーチングアーティスト(TA)研修(2/11、舞台実演者等対象)

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TJFは2024年、「とやまPCAMP」の立ち上げに先立ち、「多文化×芸術」をコンセプトに、2月9日~11日の日程で、富山市民文化事業団、富山市との共同主催による三つのワークショップ(WS)を開催しました。

【WS1】多文化パフォーマンス交流会(2/9、留学生対象)※本稿
WS2】多文化演劇体験ワークショップ(2/10、市民対象)
WS3】多文化ティーチングアーティスト(TA)研修(2/11、舞台実演者等対象)

三つのワークショップは、いずれも富山県及び周辺地域の皆さまに「多文化×芸術」ワークショップの体験を通してPCAMPについて理解を深めていただくとともに、主催側も参加者と一緒に富山県の多文化共生の現状について学び、「多文化×芸術」がどのように地域の多文化共生につながっていけるかを共に考える場として企画しました。

ここでは留学生を対象とした【WS1】についてレポートします。

【WS1】多文化パフォーマンス交流会

WS1には、NPO法人富山国際学院等で学ぶネパール、バングラデシュ、中国、インド、スリランカ、モンゴル出身の留学生(1年次と2年次)を合わせて21名が参加しました。また、引率の日本語教員2名もオブザーブしました。このワークショップは参加者同士の「交流」に重きを置き、「日本語を使った芸術活動」という位置づけでプログラムを組みました。

【WS1】のプログラム

1分間あいさつ

ファシリテーターはまず、さまざまな言語的バックグラウンドを持つ参加者自身のあいさつことばを聞き、模造紙に書き出します。そして、「どのあいさつことばを使ってもいいので、2分間で参加者全員とあいさつしましょう」というお題でWSは始まりました。次々と相手を見つけあいさつを交わさないといけないので、みんな必死に動き回り、会場内は多言語が飛び交い、一気にハイテンションになりました。

ウォーミングアップとアイスブレーク

参加者の緊張をほぐし、身体を動かし、よく知り合うために、まずはことばを使わないでコミュニケーションをとるアクティビティを行いました。楽しい音楽に合わせて会場内を自由に歩き回ってもらい、ファシリテーターの号令に合わせて動くstop&go、足の爪先と爪先を合わせてペアをつくるtoe to toe(その後、グーとグー、頭と頭……)、相手の顔を一定の距離を保ちながら掌で操るハンドパワー、動きの途中で固まった(凍った)相手に自分の身体を絡ませて溶かす「氷ダンス」などのアクティビティにじっくり取り組んでもらいました。最初のハイテンションがつづき、恥ずかしさからか、参加者たちは1か所に固まりがちで、フロアーいっぱいに広がるのに時間がかかりました。

プレ・アクティビティ

メイン・アクティビティへの導入として、アクティビティ「1、2、3」(イチ、ニ、サン)をしました。ペアで順番に1、2、3を言っていきます。慣れてきたところで三つの数字のうちの一つをポーズに置き換えます。さらに慣れたところで、別の数字を別のポーズに置き換えていきます。最終的には1、2、3を全部異なったポーズに置き換えて数え(表現し)ていきます。反射神経が試される楽しさを味わいながら、身体で形を表現することに慣れてもらうためのアクティビティでした。また、最後に参加者を半分に分けて、表現する側と観る側を交互に体験してもらうことによって、観る&観られる関係性が作られていきました。

メイン・アクティビティ

メイン・アクティビティはシェイプ(形をつくる)です。21名の参加者を4グループに分け、グループで一つの形をつくってもらうことにしました。作るものは富山のお勧め。留学生たちは地元のお寿司屋さんでアルバイトをしている人が多いこともあって、「寿司」を挙げる人が多かったです。そこで、ファシリテーターは特にお勧めの寿司ネタを聞いていき、グループごとに一つに絞って身体で形をつくってもらい、発表。ぞれぞれのグループが好きな寿司ネタから「ぶり」「グラタン」「タイ」「サーモン」があっという間に出現! どの作品もユニークでみんなを大いに楽しませました。

もう一つの作品のお題は4グループ共通で「立山」となりました。部屋の4コーナーに各グループが陣取り、それぞれの立山を順番に表現していきます。最後に各グループの「立山」をつなげて壮大なパノラマとなり、参加者たちの心も一つにつながったよう。美しい立山連峰の作品から留学生たちの富山愛が伝わってきました。

参加者からダンスのプレゼント
ワークショップの終盤、留学生のなかから「ネパールダンスを踊りたい」という声があがり、急きょ、「Let’sネパールダンス!」の時間になりました。ネパールダンスの音楽が流れると、出身地域に関わらずフロアーいっぱいの人が踊り、ファシリテーターたちも振り付けを教えてもらいながら一緒にステップを踏んでいました。

【WS1】の振返り

最後の振返りタイムでは「はじめての体験だ」「楽しかった」と口々に言っていました。なかには「日本に来て二番目に楽しい経験でした。一番目はスキーです!」と言う参加者もいました。

終了後アンケートでは「楽しかったこと、面白かったこと、学んだこと」として「ゲームしたこと」を挙げた人が15名。特に「パワーハンド」や「1、2、3」が印象に残ったようです。また、寿司の形をつくったことが楽しかったと言及した人は5名。習った日本語を使って一生けんめいに書いてくれた留学生たちの実際の回答を抜粋して紹介します。(以下、原文のまま)

  • みんなでダンスをしたり、ゲームをたのしみにしました。そのときとてもたのしかったです。みんなのおすしのかたちで作ったはおもしろかったです。
  • いろいろなゲームをしたり、新しいゲームをまなんだりしました。とてもたのしかった。
  • いろいろなゲームしたらたのしかった。そしておもしろかった。はなすこともたのしかった。
  • みんなでいっしょにゲームしたり、ふたりでしたゲームはたのしかったです。
  • はじめてあったひともはずかしくないようにいろいろなゲームをしました。とてもたのしかったです。
  • ハンドパワーをいつばん楽しかったです。
  • 人につかってやまとかゆうめいなものをつくるのはおもしろかったです。
  • 楽しかったことは皆さんと一緒にあそびました。

アンケートの最後、「ほかに言いたいことを書いてください」の欄には、約半数の参加者がファシリテーターへのお礼を書き、約半数の人は「もっとやりたい」「もう一度あそびたい」「こんなふうにイベントあったらさんかしたい」と書き、今回の楽しさを名残惜しんでいました。

PCAMP担当 長江春子

事業データ

主催

公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)、公益財団法人富山市民文化事業団、富山市

日時

2月9日(金)13:30~16:30

会場

オーバード・ホール 中ホール ウォーミングアップ室

対象

富山県内の日本語学校・大学に在学中の留学生

参加者

23名(ネパール、バングラデシュ、中国、インド、スリランカ、モンゴル出身の留学生21名、引率日本語教員2名を含む)

ファシリテーター

柏木俊彦(俳優、演出家)
田畑真希(振付家・ダンサー)

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