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TJFは2024年8月19日(月)~22日(木)の日程で、広島県福山市において多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿 in 広島」(通称「ひろしまPCAMP2024」)を開催しました。「ひろしまPCAMP」はTJFが「多文化×芸術」をコンセプトに2022年より毎夏広島県において開催している交流プログラムで、初回は安芸高田市、2023年は呉市、3回目となる今年は福山市が開催地となりました。広島県内をはじめ、隣りの岡山県、遠くは愛媛県に在住する中高生を含め、中・四国地方から20名が参加しました。また、今回は海外ゲスト枠として韓国の高校で日本語を学ぶ生徒2名を招待し、合計22名の中高生年代が3泊4日の合宿生活を共に送り、交流、創作活動、発表会を行いました。参加者に伴走するのは、「ひろしまPCAMP」の第1回から関わっているファシリテーター5名(メイン3名、サブ2名)です。ふだんはそれぞれニューヨーク、東京、広島を拠点に活躍しているアーティストから成るファシリテーターチームとスタッフチームが運営を担い、参加者22名のパフォーマンス作品創りと最終日の発表会に伴走しました。
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これまでの経緯
TJFは2017年度に「多文化×芸術」をコンセプトに、海外ルーツを含む日本在住の多様な中高校生等を対象とする多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」を立ち上げました。PCAMPとは、Performanceの「P」と、合宿を意味する「CAMP」の組み合わせで、読みは「ピーキャンプ」を通称としました。2018年3月に東京を会場に第1回となるPCAMPを開催。2019年3月には第2回を開催しましたが、コロナ禍の2年間はオンライン形式で継続。2022年、対面での再開を機に、以前から構想があった「PCAMP地域版」の開催に踏み切り、縁のあった広島県の多文化共生団体の協力により、「ひろしまPCAMP2022」が実現しました。
その後、「ひろしまPCAMP2023」のプレイベントとして開催した「PCAMP 5ヵ年報告会」には、多文化共生に取り組む地域のNPO関係者、多文化教育の研究者、芸術関係者が全国各地から参加してくださり、地域版PCAMPの「広島モデル」に注目が集まりました。そのことが本年度における「ひろしまPCAMP2024」と「とやまPCAMP2024」を2地域同時期に開催することにつながりました。
PCAMPのコンセプトと事業目的
多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」(PCAMP)の事業目的は「一人ひとりの個性を尊重し、多様性に富み、創造性を育む社会環境の醸成」ですが、地域版PCAMPでは、それに加えて「多文化共生の地域づくりを担う次世代リーダーの育成」も目的としています。また、「多文化×芸術」というコンセプトに則り、多様な参加者のために作成したプログラムのゴールを次のように設定しています。
①ことばと身体で自分を表現する。
②バックグラウンドの違いを越えてコミュニケーションを図る。
③創造性を刺激し合いながら異なる他者への理解を深める。
④多文化共生社会の一員として、協力・協働・共創を体験する。
PCAMPのプログラム
PCAMPでは、参加者一人ひとりが持つ言語、文化、経験、個性を尊重し合い、それらを「ありのままに」「自由に」「積極的に」表現することを推奨し、またよりよく表現できるように運営チーム全体が伴走する形で運営しています。ファシリテーター(アーティスト)と担当スタッフ(主催側職員)が運営チームを組み、事前に企画会合を重ね、事前課題(コラム1)を含むプログラムの作成と推敲を繰り返します。合宿開始直前まで今回の参加者の特性に合わせて微調整を行い、プレアクティビティ、アイスブレーク、ウォーミングアップ、メインアクティビティ(創作)、ブラッシュアップ、リハーサル、発表会の順に、分刻みの進行計画を立てて、本番に臨みます。運営チームは本番の前日から現地入りし、さらに綿密な打合せを行い、参加者に見せるためのデモ作品、Welcome Board(コラム2)、ボーカルや体系表(発声や立ち方など演劇作品を創る際の要素や考え方を示した表)を作っておきます。
コラム1:事前課題
参加決定からPCAMP本番までの期間、参加者への事前課題として「言語ポートレート」の作成と提出をお願いしました。「言語ポートレート」とは、自分をより表現できる言語、自分や家族にとって大事な言語、自分が話せなくても日常生活のなかでよく耳にしたり目にしたりする言語、今学んでいるまたは将来学んでみたい言語、気になる言語などを書きだして、自分の身体を模した絵の各パーツに配置し、自分とその言語との関係性を表現するものです。自分自身のなかに、身の周りに、そして地域に多様な言語(外国語だけでなく、方言や手話など)に気づいてもらうことなどが狙いです。多様な言語は多様な文化の表れと考えるからです。
この作業を通して、各参加者自身が自己の内なる多様性に気づいてもらうこと、各参加者が提出した言語ポートレートを参加者間のLINEグループで共有したり、PCAMP会場に掲載したりすることで、参加者同士がお互いの多様性に気づけるようになります。また、自分の身体を絵にすることは、最初の「自己表現」でもあり、PCAMP本番への助走でもあります。運営側も参加者がPCAMP本番でのびのびとベストなパフォーマンスが発揮できるよう、言語ポートレートを通して参加者一人ひとりへの理解を深めていきます。
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コラム2:Welcome Board(ウェルカム・ボード)
PCAMP本番に向けてのもう一つの助走は、PCAMPの初日、集合時から本番プログラム開始までの待機時間に行うプレアクティビティ「Welcome Board」です。異なるテーマが書かれた3枚の模造紙を貼り出します。今回のテーマは「福山といえば」「行きたいところ」「好きなことば」の3つでした。ファシリテーターやスタッフがテーマに沿った自分の回答(キーワード)を事前に書き出して模造紙に貼ります。参加者にもそれらを真似て自分の回答を書いてもらうというアクティビティです。
このアクティビティは、いきなり見知らぬ人や環境の中に放り込まれた参加者が手を動かすことで気が紛れたり、自分が書いたものを互いに見て自然と会話のきっかけが掴めたり、意見や共感、使うペンの色や書き方の工夫を楽しんだりして、自然と笑顔になっていくことを狙っています。安全・安心な場づくり、入口の雰囲気作りに欠かせないアクティビティとなっています。また、事前課題同様、このプレアクティビティも自己表現の経験となります。これら三つのテーマは、参加者の興味関心や自己像を引き出すものであり、PCAMPのメインアクティビティへの伏線にもなるように考えられています。
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「ひろしまPCAMP2024」の4日間
1日目の様子
8月19日(月)12:30、22名の参加者は会場であるふくやま芸術文化ホールリーデンローズに続々と集合。Welcome Boardの活動をしている間、同時進行でプロフィール写真撮影も行いました。小さなポラロイドカメラで撮影し、現像の余白にニックネームを書いてもらって貼り出します。できるだけ早くお互いにニックネームと顔を一致させ、仲良くなってもらうためです。また、初日の活動が終わったあと、ファシリテータ―によるチーム分け作業に活用したり、最終日の発表会場に出演者のプロフィール写真として掲示します。
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13:00、主催者のあいさつとともにPCAMPの本番がスタート。はじめに参加者のバックグラウンド言語を使って「1分間以内に全員とあいさつを交わす」というわくわく、どきどきのアクティビティを行い、会場を一気に盛り上げてから、約3時間かけて心身の緊張をほぐし、参加者がお互いを知り、コミュニケーションを図り、仲良くなるためのさまざまなシアターゲームや身体表現を行いました。
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前半では、音楽に合わせて会場内を縦横に歩いたり止まったりする「stop&go」、目があった人とハイタッチやグータッチしながらあいさつ、爪先と爪先など合わせる「toe to toe」、相手の顔を手のひらで操る「ハンドパワー」、ポーズの途中で固まった(凍った)相手に溶かす「氷ダンス」など、言葉を使わないアクティビティを中心に行いました。途中でミニ発表会を行い、お互いのパフォーマンスを見せ合いました。これは早い段階から「見る&見られるの関係」に少しずつ慣れてもらい、人前でパフォーマンスをする恥ずかしさを和らげるためのプロセスでもありました。
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後半は全員で一つの円になり、遠くにいる人の名前を呼んだあと自分の好きな食べものや苦手な食べもの、自分の自慢できるところを言いながらその人のところに移動する「クロス・ザ・サークル」など、言葉を使い、一人ひとりの「素」の部分を引き出していきました。
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これは、参加者同士が相手を知るためのアクティビティであると同時に、自分のことを言葉にして相手に伝えることに慣れてもらうためのプロセスでもあり、次に導入する演劇作品を創るためのメインアクティビティへの助走でもありました。
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終盤はメインアクティビティであるI am from(アイ アム フロム)を導入しました。まず、経験や思い出、アイデンティティを引き出すための質問シートを参加者に配付します。今回用意したのは「食べもの」「歌」「空」「アイデンティティ」「10年後」という5つのテーマに関する質問でした。参加者はそれぞれの質問についてキーワードやフレーズで答えを書き、関連する情景や気持ち、理由などの説明を加えていきます。詩のリズムが生まれるように、それぞれの書き出しに繰り返し「I am from」ということばを付けることから、「I am from」はこのアクティビティの名称にもなっています。I am fromはその人が来た場所だけでなく、その人を形作るものも表すということで、アイデンティティの探求、自他理解、自己表現を目指すPCAMPにも導入しました。初日はシートに書けるところまで書いてもらい、残りは宿題としてGoogleフォームに入力してもらいました。
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コラム3:夜は交流会
PCAMPでは、日中に行うアクティビティや創作活動を通して交流するほか、寝食をともにする中で交流を深めてもらう「合宿」形式に拘っています。しかし、今回のPCAMPでは合宿所を確保できず、ホテルの個室利用となりました。そこでオフタイムの交流を促すために、サポーター3名(PCAMP参加経験者)と海外ゲスト枠2名を囲む夜の交流会を企画しました。参加者を3グループに分け、各グループにサポーターが1名入り、進行役を務めました。知らない人同士の会話のきっかけとなるように、予め話すテーマを示し、ポストイットに書き出す時間、話す時間の順に進めました。全グループの共通テーマを「PCAMPに参加したきっかけ」「学校または寮での1日」「休み時間の過ごし方」「サポーターに聞きたいこと」としました。また海外ゲスト枠や外国につながりを持つ参加者のいるグループには「日本語学習」と「日本の文化」の2つをテーマに加えました。それ以外のグループに加えたテーマは「行きたい場所、行った場所」と「好きな言葉」でした。テーマ以外で話が盛り上がるグループもありました。韓国からの参加者がいたグループでは、韓国につながりを持つサポーターが学習中の韓国語を駆使してコミュニケーションを図ったり、インドネシアにつながる参加者がいたグループでは、ブラジルにつながりを持つサポーターが得意な英語でフォローしたりする姿もありました。
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2日目の様子
8月20日(火)、1日プログラムの冒頭で創作チームの発表 !
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参加者22名を5つのチームに分けました。参加申込書に書かれた得意なこと、年齢、出身地域、配慮してほしい特性などの事前情報に加え、1日目の活動での様子などを総合して、ファシリテーターチームが1日目の夜のうちにチーム分け作業を行いました。チームメンバー同士が不得意なことを補い合い、得意なことを活かして助け合いながら創作活動ができるように配慮しました。チームメンバー、担当ファシリテーター、チームカラーが決まったあと、早速それぞれのチームカラーの名札を付けて、創作活動に入ります。
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ウォーミングアップで身体をほぐしたあと、ユニゾン(全員で踊るダンス)の練習をしました。ユニゾンはファシリテーターの田畑真希さん(振付家・ダンサー)が第1回となる「ひろしまPCAMP2022」のために創ったダンスです。
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毎年取り入れていて、「ひろしまPCAMP」に参加したことがある人なら全員踊れるという、ひろしまPCAMP仲間の共通経験となっています。運営チームメンバーの間では親しみを込めて「ひろしまレガシー」と呼んでいます。
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ユニゾンのあとは、身体を使ったさまざまなアクティビティを行い、「表現する身体」を作り上げてから、各チームのオリジナルダンスを創りました。チームメンバー一人ひとりが自由に、好きなポーズを取ります。それらのポーズの順番を考えながらつなげたり、繰り返したり、つなぎを入れたりして創っていきます。どのチームもアイディアを出し合い、短時間でダンスが完成し、早速発表し合いました。メンバーの即興的なポーズと一人ひとりのアイディアを織り込んでできたダンスは、世界に一つしかなく、自分たちだけのもの。チームの結束が一気に高まりました。
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続いて、いよいよメインアクティビティである演劇活動「I am from」の導入。ファシリテーターたちはまず演劇での声の使い方、立ち位置やフォーメーションなど、図(ボーカル&体系表)を用いて、時にやって見せながら説明し、ファシリテーターやサポーター自身が書いたI am fromを読み上げて紹介し、PCAMP前日に準備したデモ作品を披露しました。図式、言葉による説明、サンプル紹介、実演などを通して、参加者は頭の中で「I am from」の詩の書き方や詩のことばから演劇作品を立ち上げるイメージを膨らませていきました。
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そのあとは、参加者が「I am from」のライティング、グループ内共有、構成・動き・セリフについて話し合いながら、形づけていきました。各チーム担当のファシリテーターは見守り、時には助言を行いました。後半ではファシリテーターたちは担当チームから離れ、別チームに巡回する時間も作りました。
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2日目の締めくくりとして、I am fromをもとにした演劇作品の中間発表を行いました。粗削りではありながらも、全チームがプロットを完成させ、楽しく演じていました。一つのチームが発表し終わると、観客である参加者仲間に感想を聞いていく時間を取りました。全チームの発表が終わると、ファシリテーターとスタッフも一人ずつ感想を述べました。ファシリテーターからは「とってもよかった、どのチームも素晴らしい!これからさらに1日かけてどんどんブラッシュしていけばいい!もっともっとよくなるはず」と激励しました。
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コラム4:発表会の衣装づくり
PCAMPの地域版では、できるだけ開催地の人材、文化、資源を活用することをモットーとしています。今回は福山市の地場産業であるデニムに着目しました。そして、福山市内にデニムの製造拠点を持つ篠原テキスタイル株式会社から生地の無料提供を受け、発表会の舞台衣装を作ることができました。
衣装作りはPCAMPの2日目の夜に、会場であるリーデンローズの練習室で行いました。予め主催者がチームカラーのTシャツを準備し、参加者は自分が着る予定のTシャツに手芸ノリや裁縫道具でデニム生地を飾っていく、という企画です。当日は、篠原テキスタイル株式会社の篠原由起社長が関係者を伴って制作現場に駆け付け、デニム生地を木型や工具で削って模様を作る指導をしました。また、福山市内在住のボランティア2名(大嶋友紀さん、佐藤芳江さん)が衣装作りを手伝いました。
制作の主役はあくまでもPCAMPの参加者たちです。自由且つ大胆な発想でTシャツとデニム生地を扱い、チーム内で相談しながら切ったり、模ったり、貼ったり、縫ったり、フィッティングしたり……見る見るうちに個性的な衣装ができあがっていきました。最後はノリが乾くように一晩干すことにして、2時間ほどで制作作業は終了。
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3日目の様子
8月21日(水)、朝、お互いに手や肩、背中を揉んで強張りや筋肉痛をほぐしたあと、ユニゾン、チームダンス、チームによるI am from作品のおさらい。続いて、希望者からなるスペシャルチームの練習もしました。これまでPCAMPでのスペシャルチームはダンスが中心でしたが、今回は枠を設けずにやりたいことを聞いたところ、「劇をやりたい」という参加者が多数いました。I am fromとは別に自分たちだけで台本作成と演出をしたいと言うのです。これにはファシリテーターチームも意表を突かれたご様子。でも、「やりたい」という主体性を尊重したいということで、スペシャルダンスチームとスペシャル演劇チームが結成されました。
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小ホール内の準備ができたところで活動会場を移し、最終日の発表会を行う舞台を使って、作品を仕上げ、前日に作った舞台衣装を着てリハーサルを行う1日となりました。前日の夜、参加者たちの衣装作りと並行して、ファシリテーターたちは各チームの演劇作品とダンス作品、ユニゾン、スペシャルチームの各作品から発表会の構成案を練り上げていました。この日は、その構成案に沿って実際に舞台上で作品たちを並べて行き、つなぎの部分を新たに創り、細かい動きまで稽古を重ねていきました。
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夕食のあと、舞台監督や技術者たちが小ホールで翌日の発表会に向けて舞台装置を仕込んでいる間、参加者たちは練習室で日中のリハーサルで気づいた点、直すべき点を確認して、夜遅くまで各チームの稽古が続きました。
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最終日、発表会
8月22日(木)、いよいよ発表会の日。そしてお別れの日でもあります。朝、すべての荷物を持って発表会場に集合した参加者たちは誰ともなく「別れたくない」「淋しい」と口にしていました。とは言え、発表会という大仕事が待っています。門が開くぎりぎりの時間までダンスの練習に勤しむグループもいました。
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9:00にホール入りし、観客が入場してくるぎりぎりの時間まで通し稽古をしました。そして11時、約100名の観客を迎え、ついに開演!自分たちが作った色鮮やかな舞台衣装を身に付け、アーティストの伴走のもと仲間たちと3日間かけて創り上げた30分間のパフォーマンス作品を、笑顔で、のびのびと披露する参加者たち。ファシリテーターチームとスタッフチームが手に汗を握りながら見守り、観客席から拍手が起こるたびに、少しずつ胸を撫でおろしていきました。そして、ユニゾンでフィナーレを迎え、観客席の間を通って舞台に戻ってのカーテンコール。観客たちから最大の拍手が贈られました。
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パフォーマンス発表後、出演者によるアフタートークを公開で行いました。ステージに戻った参加者たちにファシリテーターからマイクを向けられ、「作品を発表してみてどうですか」「3泊4日間の合宿生活自体どうでしたか」という質問を投げかけられると、「発表がうまくできた!」「楽しかった」「みんなめっちゃ優しい」と口々に答えるPCAMP参加者たち。中にはほっとしたのか、精一杯頑張った時間を思い出したのか、涙が止まらない参加者もいました。中高生の等身大の姿、素直なことば、ストレートな感情表現に会場から大きな拍手が起こりました。
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観覧者の声(アンケートより)
発表会終了後、多くの観覧者がアンケートに回答してくれました。いつくかご紹介します。
参加中高生のご家族が特に気に入ったシーン
・短期間に(制作した作品を)発表。ダンス等、すごく練習したのが分かった。
・一人ひとりの夢を語るシーン。初めて会った子どもたちが自分のビジョンを堂々と伝えあう姿がまぶしく映りました。
・10年後の夢を語るシーン。みんなそれぞれだと思った。それでいいんだなと感じた。
・一人ひとりが夢に向かっている姿が印象的でした。個性の大切さが伝わって来て感動しました。多様性って本当に必要だと感じました。最後まで頑張っている姿が良かったです。
・人前で表現するのが苦手な我が子が自分のことを多くの人たちに伝えることできて、ジーンときました。
・自分の過去の印象に残り今を支える出来事を語る時。他の子のそれ(I am from)を(いっしょに)表現しているのもその子を受け入れている感じがあった。また、どの子も恥ずかしさややらされ感がなく、ストレートに主張していると感じることができた。
・I am from。それぞれの人の成り立ちが一瞬で伝わってきて、とても驚きました。一人の演者をみんなが支えている様子に泣けてきました。こんなに伝わるんだ!参加者の中にあるエネルギーが引き出されていてすごいと感じました。
・I am from。一人ひとりが自分をつくってきたたくさんの原点を振り返りながら、自分自身に出会っていく素敵なステージでした。本当に胸がいっぱいになりました。我が子も皆さんとの時間で大きく世界が広がりました。地方ではなかなかチャンスがなくて本当にありがたい機会でした。
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他の観客からの感想
参加者のご家族以外の方々からも多くの感想が寄せられました。いくつか抜粋します。
・10代ならではの純粋で熱い気持ちに涙が溢れてきました。かけがえのない仲間たちとの出会いは人生の原点になると思います。(教育関係者)
・どの場面も素敵でしたが、韓国語で自己表現をしてくれたのが印象強かったです。外国では現地のことばで話さないと、と思ってしまいがちですが、母語で言うのは自分の文化背景に誇りを持っているようで、羨ましく、輝いて見えました。(多文化機関関係者)
・I am from。すべての子どもたちが自分を見つめ直し、みんなが支え合って一つのパフォーマンスを作り上げる姿に本当に感動しました。(行政関係者)
・全編がとても良かったです。参加者の皆さんの夢を語るシーンは泣けてきました。オレンジのTシャツを着た「仕事終わりに恋人と」と夢を語った子が想像した10年後の年齢がちょうど今の私と同じ年で、その輝きを失わないままに、大人になってほしいと思いました。応援しています。(行政関係者)
・娘と一緒に鑑賞させていただきました。家族が作ってくれた食べものを紹介してくれたシーンにジーンとしました(報道関係者)
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参加者の感想(アンケートより)
楽しかったことや難しかったこと
PCAMP終了後、参加者全員にアンケートに答えてもらいました。楽しかった、嬉しかったこととして「みんなに会えたこと」「みんなと学校のことについて話せたこと」「全部」「ステキな仲間が増えたこと」「大好きだよ、と言えるくらいみんなと仲良くなれたこと」「国外の友だちができたこと」「気を遣わなくてもいい友だちができたこと」「多様な言語や文化に触れたり、いろんな国のお菓子が食べられたこと」「アイディアを出し合えたこと」「みんなで作品を創り上げていく過程」「自分をダンスや身体表現で表現できたこと」「今まで以上に身体が動いていると感じたこと」「輪になって次に人の名前を大きな声で呼べたこと」「演出できたこと」「一つの目標に向かって頑張れたこと」「when eating together」などが挙げられていました。
次に、「難しかったこと、困ったこと」としては、「仲間割れしそうになったとき」「自分の知っている日本語と英語を使って話すこと」「ダンスを覚えること」「振りつけを考えること」「ない」「「限られた時間内に作品を完成させること」「みんなの意見を取りこぼさないように意識して動くこと」「日本語で話すこと」「違う言語を話す人とのコミュニケーション」「アイディアを出すこと」「話しかけるまで勇気がいった」「体調不良で抜けたメンバーが出た時」「テンプレートがなく自分で考えて表現すること」「自己主張をするメンバーが多いチームで意見が食い違った時」「I little struggle to understand what my friends saying but they all understand that I am a foreigner so it’s okay」が挙げられていました。
楽しかった、うれしかった、難しかった、困った・・・様々な感情、気持ちが交差した3泊4日間の合宿だったようですが、それでも全員が友だちや後輩にPCAMPを「とっても勧めたい」と書いてくれました。
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参加前と参加後の気づき、学び、変容
3泊4日の合宿生活と創作活動を通じて、参加者一人ひとりにたくさんの気づき、学び、変容があったことがアンケートから分かりました。その多くは多様な人との関わりや協働がきっかけとなっているようです。詳細に紹介します。
・自分から話しかければ友達になれる。年齢関係なく仲良くなれる。一人一人を尊重することが大切。
・他の言語を使う人との会話は難しいけど、知っている日本語や英語を活用したら通じる。
・みんなに刺激され、自分も留学したい、新しい言語も学びたいと思い始めました。
・恥ずかしくて変だと思うアイディアでも、面白いと思ってくれる人はたくさんいる。
・自分を良く受け入れてくれる人がいることを知って、もっと色んな人と関わっていこうと学んだ。
・高校生もいたり、違う国の人もいたりしたけど、年齢や国籍や言葉も違っても、演劇やダンスを通してコミュニケーションができたり仲良くなれること。
・みんなと仲良くなれる速さが早くなったと思います。
・積極的にコミュニケーションをとれるようになった。
・みんな個性があって、色んな考え方、様々な価値観を知れて良かった!人見知りが少し無くなった気がする…!
・年齢や言語など関係なく話は盛り上がるし、いいものを作り上げることができると学びました。年齢や言語は関係ないと思っていても、多少は無理じゃないかって先入観がありました。自分の先入観を壊すことが出来ました。
・自分にはそこまで英語を話す力はないけど、お互い歩み寄ることで海外の人ともコミュニケーションが取れることを学びました。また、参加する前は海外の人と知り合うことにそこまで積極的ではなかったですが、もっと海外の友達を作りたいと思うようになりました。
・話す言葉や国籍が違っても、身体を通して繋がれるということを学びました。それぞれ違う道を歩いてきたけど、このPCAMPで一つになって舞台を作り上げるというのは運命的な出会いだと思いました。普段関わらないような人と関わることで、いろいろな刺激をもらえたのでこれからもたくさんチャレンジをしようと思いました。
・韓国の子たちは日本語や英語、翻訳アプリを使ってコミュニケーションを取ろうとしたが、自分は二人の対応に甘えている気がした。頑張って日本語話してくれるからそれでいいやと思っていた節があり申し訳なかった。
・相手のことを考えながら会話することの重要さを学んだ。自分軸で会話してしまうと、いつかは言い合いになってしまうので、会話する時は自分軸ではなく相手軸で話していきたいと思った。
・言葉が通じなくても、お互い思いを伝えようと努力する姿が印象に残った。
・みんなの個性が強くて色んな人がいるんだなと思いました。自分の考えが全てではないから周りの話に耳を傾けて理解することも必要だとおもった。
・もっと海外の人と話したいと思ったし、みんな夢を持っていて素敵だなと思った。
・自分は結構頑固な方だけど、自分の意見を少し抑えて相手の意見を受け入れることを学びました。
・They gave me knowledge that I didn’t know before.
個人目標とその達成度(参加者の自己評価)
次に「PCAMPに参加する前にどんな目標を立てたか、その目標は何パーセント達成できたか」と聞いてみました。サポーター3名を除く19名の参加者の回答は以下の通りです。
10000% 1名/120% 2名/100% 5名/90% 2名/80% 2名/70~77% 3名/60% 2名/46% 1名/25% 1名
25%しか達成できなかった参加者が立てた目標は「英語を積極的に使うこと」でした。自己評価としては「使えなかった」ということでしょうか。46%達成したと自己評価した参加者が立てた目標は「初めての人に話しかける」でした。この参加者は「難しかったこと」として挙げたのもはやり「初めての人に話しかけること」でした。今一つ課題として残ったようです。「苦手な自己表現ができるように」と目標を立てた参加者は60%達成と回答。「あまり積極的ではなかったと感じた。周りに助けてもらってばかりだったので達成できたか自信は持てません」とコメントしていました。一方、10000%達成と回答した参加者の立てた目標は「楽しむ!友達つくる!」でした。思っていたことの100倍も楽しみ友だちができたようです。
その他の参加者が立てた目標は「みんなと仲良くなる/たくさん友だちを作る」「「いい発表会を作る」「なるべく人と会話する」「多文化を学ぶ」「自分の表現力を伸ばす」「殻を破る」「絶対海外の人と話す」「人としゃべれるように」「日本語の会話力アップ」などでした。それぞれに一定程度達成できたようです。
はじめての参加者19名の「PCAMPを一言で表現すると?」
アンケートの最後に、PCAMPを一言(one word)で総括してもらいました。参加者一人ひとりにとってのPCAMPを端的に表していると思います。
宝/大変だけどそれだけ楽しい/刺激/青春の1ページ/挑戦/第二の家、居場所/最高/自己成長/絆・I am from/邂逅遭遇/挑戦/Express myself/ハンバーガー/良いです/valuable experience/다시는 못해볼 경험(二度と出来ない体験)/一期一会/잊지 못할 추억(忘れられない思い出)/HAPPY
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サポーターの声
PCAMPでは過去の参加者にサポーター役をお願いしています。「ひろしまPCAMP2022」の参加経験者1名(2023年サポーター)と「ひろしまPCAMP2023」の参加経験者2名が今回のサポーターになってくれました。アンケートでは「参加者」と「サポーター」の違いについて聞いてみました。
・参加者として参加した時は周りをみる余裕がなかったのですが、サポーター2回目にもなると周りをみる余裕ができたと思います。それと、より密接に参加者と関わる機会があったので、より参加者たちに寄り添い、楽しませることができたかなと思います。
・話を聞いてついていく側と話を回したり、する側だと全然違って、まとめたりすることの大変さを実感しました。いろいろサポーターみたいなことができなくて迷惑もかけたけど、参加者とサポーターの責任の違いを今回ですごく感じました。
・去年は何も考えずにただ作品に集中するだけだったのに、今年はサポーターとしての役割や責任感があって大変だった。
サポーターの大変さを実感しながらも、参加者に頼られてうれしく感じたり、新たな学び、課題への気づきがあったようです。サポーター制度はPCAMPの「リーダー育成システム」でもあり、今年の参加者の半数以上が「次はサポーターをやりたい」と回答してくれました。自分を成長させる機会を積極的に掴み、より高く、より遠くへ飛躍してほしいと思いました。
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事業データ
- 主催
-
公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)
- 後援
-
福山市、広島県教育委員会
- 協力
-
NPO安芸高田市国際交流協会、NPO法人フリースクール木のねっこ(廿日市市)、一般社団法人Weave(福山市)、一般社団法人舞台芸術制作室無色透明(広島市)、呉市国際交流協会、公益財団法人しまね国際センター、 公益財団法人東広島市教育文化振興事業団、こどものひろばヤッチャル(東広島市)、廿日市市国際交流協会、久田総合教育研究所(福山市)、ひまわり21(呉市)、びんご日本語多言語サポートセンター「びるど」(福山市)、ふくやま国際交流協会、福山市まちづくりサポートセンター、リーディング・ファクトリー(福山市)、ワールド・キッズ・ネットワーク(呉市)
- 衣装協力
-
篠原テキスタイル株式会社
- 期間
-
2024年8月19日(月)~22日(木)
- 活動会場
-
ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ
- 宿泊場所
-
福山プラザホテル
- 参加者
-
広島県、岡山県、愛媛県、韓国仁川広域市在住の中高生等22名
※中学生9名、高校生10名、日本語支援教室1名、大学生2名(サポーター)
※つながりの国・地域:インドネシア、韓国、中国、日本、ブラジルなど
- スタッフ
-
アーティストチーム
柏木 俊彦(メイン・ファシリテーター/演出家・舞台俳優)
田畑 真希(メイン・ファシリテーター/ダンサー・振付家)
森永 明日夏(メイン・ファシリテーター/舞台俳優・ティーチングアーティスト)
坂田光平(サブ・ファシリテーター/俳優)
江島慶俊(サブ・ファシリテーター/俳優・劇作家)撮影・記録チーム
映像撮影・編集:山泉貴弘(映像ディレクター)
スチール撮影:越智幸志(カメラマン)運営チーム
進藤由美(TJF:事務局長)
長江春子(TJF:PCAMP総括)
シムヒョンミン(TJF:PCAMP担当)
小林晃子(現地スタッフ)
※その他、「びるど」のメンバーをはじめ、現地ボランティアの方々が、発表会の受付、会場係、舞台衣装作り、外国につながる参加者のサポートなどに協力してくれました。
- 取材
-
朝日新聞社、中国新聞社、山陽新聞社、尾道新聞社、びんご経済レポート、備後とことこ