2021年夏プログラム(オンライン) 開催レポート
2021.10.18
- 対象
- 15歳~19歳の高校生年代
- 参加費
- 無料(※通信費は自己負担)
- 期間
- 2021年8月2日(月)、8月4日(水)、8月10日(火)、8月11日(水)、8月17日(火)、 8月29日(日)
MOVIES
PHOTOS
制作した3種類の作品
音楽、ダンス、美術、編集、それぞれの分野を掛けあわせて作品を作成します。3種類の作品を作成し、最後はチームごとに並べて上映します。
マイキーワード作品:事前課題として一人ひとりに「いまのマイブーム」「昔のマイブーム」の写真を提出してもらいました。その後チームにわかれて、写真を説明し、質問しあったあと、チームメンバーが感じた「その人を表すキーワード」を発表しました。そのキーワードをもとに作成した、自分を紹介する動画です。
一人ひとりが自作した音楽をBGMとして使用しました。
チーム作品:それぞれのチームが時間をかけて考えたテーマをもとに、チーム全員で作った作品。希望をとって決めた役割*ごとに作業を分担しました。
まず各チーム内での話し合いをもとに、美術演出&構成ディレクターが構成を考えます。
それぞれの場面を表す絵を描いたり写真や動画を撮影するのは全員で分担。
編集ディレクターはみんなが作った絵や写真や動画を構成案に沿って編集し、音楽ディレクターが作成したチーム音楽を載せて映像作品を仕上げます。
*各チームでの役割を「ディレクター」と呼び、その作業に責任をもって取り組む人としている。
チームダンス:チームメンバー一人ひとりの“マイポーズ”を組み込み、チームのダンスディレクターが作成。チームダンスの音楽は音楽ディレクターが作成。
共通テーマ×チームテーマ
動画作品を作ってもらうにあたって、共通テーマをあらかじめ決めています。
今回の共通テーマは「タイムサーフィン」でした。これは、タイムトラベルや、ネットサーフィンなどの言葉をあわせて作った造語です。時や距離を超えて交流してほしいという意味を込めました。
この共通テーマに、各チームが考えた“チーム作品のテーマ”を掛け合わせて、動画作品を作成します。
このテーマを決めるための話し合いは、どのチームも時間を要しました。なかなか意見が出なかったり、アイディアを言葉にするのが難しかったりする場面が多く見られました。皆で懸命に話し合い、作られた各チームのテーマ、作品、チーム名は以下の通りです。
チーム1
チームテーマ:DIVE 作品タイトル:選択肢
チーム名:白いハチドリとチューリップ
チーム2
チームテーマ:記憶の宝探し 作品タイトル:treasure memories
チーム名:いぇぷんおおかみ
チーム3
チームテーマ:環境問題 作品タイトル:変えてよかった?
チーム名:ぐあんくおだやかなすかい
チーム4
チームテーマ:異文化の多様性によって自分の世界が広がる
作品タイトル: Diversity ・多様性 チーム名:キノコーズ
パフォーマンス合宿で初めて、チーム音楽部分に歌を作詞作曲し、ミュージックビデオ風にダンスを組み込んだ作品を作成した
過去最大のサポーターの関わり
パフォーマンス合宿経験者の高校生4名が、「サポーター」としてプログラム開始前から関わってくれました。同年代のサポーターが深く関わることで、参加者の主体性をより引き出すための試みでした。
今回サポーターにお願いした大きな役割は、以下の3つでした。
① サポーターとしてどのようなことを心掛けるべきかを話し合い、「サポーターのマニュアル」を作成(過去に開催した合宿では導入しなかった)
プログラム開始前に数回の会合を持ち、“こういう時どうしたらいいか”と場面を想定してどんな振る舞いができるか、どんなことに気を付けるのがいいのか、自身が参加したときに感じたことなどをもとに考えました。プログラム中も、この「サポーターのマニュアル」に立ち返り、想像と違った場所を修正し、常に参加者が心地よく参加できる環境づくりに励みました。
② 参加者全員に踊ってもらう「合宿ONDO」(ダンス)を作成し、全員分の動画を編集する (過去に開催した際にファシリテーターが担ったことをサポーターの役割とした)
ダンスの振り付け、ダンスに合う音楽の作成、そして参加者にzoom上でダンスレクチャーをし、参加者から踊っている動画が提出されたら編集して1つの動画にまとめるまでの作業をサポーターが行いました。
③ チームのリーダーとしてチームメンバーを支えること
チームにリーダーとして関わり、チームでの話し合いを進行し、フォローする役割を担いました。話し合いでは、メンバーが話しやすい環境をつくることや、チームメンバーが話し合いから取り残されないように気を付けることなどを目標に、作成した「サポーターのマニュアル」を根本にして取り組みました。
話し合い以外でも、課題提出状況の把握、フォロー、一人ひとりへの連絡など多くの作業を行いました。
サポーター4名の多大な活躍により、参加者からサポーターについて、「話し合いで同年代のサポーターが進行役で話しやすかった」「親近感があった」「話がまとまっていなくても、感覚が近いので伝えやすかった」「大人と話すプレッシャーから解放されて話しやすかった」などの声が多く聞かれました。
6日間の流れ
全6日間、各日は約3.5時間のプログラムで行いました。
プログラム内容 | 参加者の反応 | |
---|---|---|
1日め | お互いを知り合うためのアクティビティー、役割説明、プログラム説明 | 「楽しかった」「疲れた」「日本語はまだまだできないけど、いろんな経験を積みたいから参加した」 |
2日め | チームに分かれて話し合い、マイキーワードを見つける活動、役割別の話し合い | 「今日はみんなとたくさん話せた。前回より仲良くなれた」「みんなの趣味が聞けて楽しかった」 |
3日め | チームでの作品作りの話し合い、マイキーワード作品のシェア、作品構成作りのレクチャー | 「意見を交わしながら作品を作っていったのが楽しかった」「いろいろ決まってよかった」 |
4日め | チームでの作品作りの話し合い | 作品の内容についてアイディアを言葉にするのが難しいとき、「色やイメージで伝えてもいいんだよ」とファシリテーターに言われて、色でアイディアを伝えていた |
5日め | 中間発表、作品の改善についての話し合い | 「すでに100%完成した!と思っていたが、発表会に向けて120%を目指したいと思えた」 |
6日め | 発表会、振り返り | 「みんなで協力することの楽しさを知った」(その他は以下に記載) |
サポーターが進行した発表会
各チームの進行をサポーターが行い、50名近くの見学者を得て発表会を行いました。
各チームの「マイキーワード作品」、「チーム作品」、「チームダンス」を連続して上映し、チームメンバーの感想を聞く流れで進行し、全員の顔が映るようにしました。
作品上映後の振り返りの時間では、参加者から多くの感想を聞くことができました。
- みんなで協力することの楽しさを知った
- 打ち解けるために(画面上でも)顔を見て話す重要性を知った
- 自分の意見を理解してもらえるように言葉を選ぶことが必要だと学んだ
- 初めてのことばかりで、「自分には無理だ」と思っていたが、みんなに助けてもらったらできた。これからは何でも怖がらずに挑戦したい
- チームワークが大切だから、自分の意見をちゃんと伝えないといけない
- みんなの特技を生かして作った作品は、絶対1人ではできなかった
- 忘れたくない思い出になった
アンケートから見る参加者の声
発表会終了後、改めて以下の質問にアンケート形式で答えてもらいました。抜粋して紹介します。
一番楽しかったことやうれしかったこと
今まで音楽制作を一人でやっていたが、この合宿で音楽をしている友達に出会えて、その人たちの作品に触れることができたこと。また、自分の音楽にもグループのみんなの意見を取り入れることができたこと
好きなものが同じ人に出会えてうれしかった。みんなが「それいい!」という反応を示してくれると安心した
違う場所にいる高校生と一つの映像を作るのが楽しくて、たくさん刺激を受けた
コミュニケーションが難しかったが相手に自分の意見が伝わった時が嬉しかった
こういうプログラムに参加することや、外国の人に会う経験も多くないので、話をたくさんして一緒に作品を作って外国人の友達ができてとても良かった!
一番難しかったことや困ったこと
zoomでのコミュニケーションが対面よりしづらかった。でも、zoomじゃないと国外の方との交流は難しいと思うので、交流できてよかった
データの提出やダウンロードなどの操作
編集するときに、見る人のことも考えて編集すること
言語面で、自分の日本語に自信がなくてうまく伝えられなかったこと
この合宿の経験を通して、自分のどんな力が伸びたと思いますか
これからもいろいろ挑戦してみたいと思った
相手に自分の意見を伝える時の言葉選びやリスペクト精神を学んだ。コミュニケーション能力をもっと伸ばしたいと思った
日本語交流能力。自分の発音や文法の間違いなどは、伝えたいことより重要ではないと気づき、自信を持って日本語で交流するようになった
発言することに対する勇気みたいなものがでた
この合宿でいろいろな高校生と知り合って、どんな刺激をうけましたか
みんな自分の意見がすごくあって、わたしもこれから頑張ろうと思った
作品でみんなを驚かせる力を持つ人がいること
物事に対しての新しい表現の仕方や考え方があって新鮮だった
似ている趣味や全く違う趣味の人もいて、沢山の事に興味がわいた。そして、日本語を勉強し始めてまだ短期間なのにとても日本語が上手な子もいて、自分も同じように様々なことを学習できる可能性があるんじゃないかと思った
サポーターの方が高校生ということにびっくりした。まとめるのが上手くて私もリーダーシップを身につけたいと思った
僕にはない技術、才能を持った方だらけで、人はみんな違って、できる事で相手を助け、自分のできないとこは相手に助けてもらう、共存することというのはそういう部分もあるのかと考えた。色んな才能を持った同世代の人が頑張っていると考えると、自分もやらなければと思った
アンケートから見る見学者の声
見学してくださった多くの方から、アンケートの回答をいただきました。以下、抜粋してご紹介します。
それぞれに個性があり、唯一無二の作品だと感じます。なれない作業に苦労した生徒も多くいると思いますが、こうして発表の場に完成させることができたこと、大きな自信にしてほしいです。
今回は1グループあたりの人数が減っていたように思うのですが、人数が減っても、逆に参加者同士の意思疎通が密になることができたのか、今まで以上にメッセージ性が強い作品揃いだったと思います。多感な高校生の、繊細な感情がダイレクトに伝わり、短期間でこれだけの作品を完成させた高校生の皆さんに拍手です。
(前回見学した時より)作品の完成度が上がっていて大変驚きました。よりクリエイティブに、そして、よりICTの強みを生かした発表だったように思います。作品の裏にあるストーリー(なぜそのような構成にしたのか、その背景の想いは何かなど)をもっと聞けたらよかったなあと思いました。
行動が制限される社会状況の中で、同年代の世界各地の仲間と出会って交流できる機会はこの上なく貴重なものだった思います。オンラインでの交流は、やはり限界があることも否めませんが、コロナが終息したときに、外に出て活動を広げていくための力を蓄えていくことも大切だと思います。
(参加者の親御さんから)この合宿が始まった頃の取り組み姿勢から、最後の振返りの時の発言、声を聞き、皆さんで取り組む中で刺激を受け大きく成長したんだなあと強く感じました。
多くの方から、コロナ禍のなかでの交流の形としてとても有意義で、参加者にとって貴重な経験だと思ったとの声をいただきました。また、毎回発表会を見学してくださっている方からは、毎回完成度が上がっているとのお声をいただきました。
今後に向けて
参加者の感想から、データの提出方法や多く課される課題の期限管理などへの工夫が必要だと感じています。改善に向けて今後検討していきます。また、協働作業の時間を確保するために、1回あたりのプログラムの実施時間を長くすることや、サポーターとファシリテーターとの連携を強めるための仕組みも検討していきたいと考えています。
(事業担当:長江春子、宮川咲)
事業データ
- 主催
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公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)
- 期間
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2021年8月2日(月)、8月4日(水)、8月10日(火)、8月11日(水)、8月17日(火)、 8月29日(日)
- 場所
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各自の場所からオンライン(zoom使用)で参加
- 参加者
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サポーター4名を含む高校生19名(アメリカ、韓国、中国、日本につながりをもつ)。うち日本(北海道、東京、神奈川、静岡、富山、京都、広島、宮崎)在住13名、海外(中国武漢市、上海市、韓国ソウル)在住6名
- ファシリテーター
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棚川寛子(舞台音楽家)
田畑真希(振付家・ダンサー)
水内貴英(美術家)
山泉貴弘(映像ディレクター)
- サポーター
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大場愉以 (オンライン第3回参加者)
川元ほのみ(オンライン第3回参加者)
平野瑞 (オンライン第3回参加者)
鷲澤凜樺 (オンライン第2回参加者、オンライン第3回サポーター)