みんなのフォトエッセイ

   1987年9月28日オクラホマ州ツルサという町から僕の話は始まります。しかし父の仕事の関係でたった３ヵ月後にはノースカロライナ州チャペルヒルへ、その３ヵ月後にはワシントンDCの郊外へ移ったので、そのころのことはよく覚えていません。ワシントンDCには9年間いました。
   ワシントンDCでの生活は楽しかったです。たくさんの友だちがいて、特に外で遊ぶのが好きで、ゲームをしたり、自転車に乗ったり、映画を見たりしていました。僕が3歳のころ、弟のスティーブンが生まれました。僕はとてもうれしかった反面、自分以外の誰かが注目されるのがいやで、一生懸命両親に数を数えてみせたり、字を読んだりして自分をアピールしました。次に妹が生まれ、そのときは幼稚園に妹を連れて行ってShow and Tell（訳注：品物を見せながらそれについて説明する発表の方法）をしたことを覚えています。
   5歳になったとき、モンテッソーリ小学校へ通いはじめました。そこは私立の学校で、テストや宿題はなく、体験型の学習が中心で、自分なりにがんばることが大切だという方針でした。幼稚園から4年生まで通いましたが、すごく楽しかったです。しかし僕の人生で一番衝撃的なことが起こったのです。そうです、また「引越し」です。両親がノースカロライナに戻ると言うのです。これが最後だとはいうものの、住み慣れたこの場所を離れてあんな田舎に戻るなんて、僕はとても怒りました。でも、結局は多くの友だちに別れを告げて、はじめからやり直したのでした。
   1997年の6月にアパートに引っ越しましたが、とても惨めな悲しい気分でした。遊びに行く場所もないし、道路で遊ぶことが禁止されていたのです。公立の学校に行くはじめての日にはぜんぜん友だちもできないし、みんなのからかいの的にされたのでした。何と言っても前の学校との大きな違いは、僕が今まで受けたことがないテストがあることでした。したがってこの学校での1年目はとても苦痛でしたが、大きくなるにつれ友だちもできて、ずいぶん楽になりました。それでも8年生から10年生の間は楽しいとはいえませんでした。
   長い間悩んでいたあることを、ようやくひとりの友だちに打ち明けたのです。自分がゲイであることに気づき悩んでいましたが、それを誰にいえないことがとても辛かったのです。なぜならそんなことを知ったら自分が軽蔑されると思ったからです。でも自分と同じように悩み、打ち明けることを選んだ友だちの勇気のきっかけになったとわかったときはとてもうれしかったです。いろいろな人が僕のところに来て、「すごく勇気がある」とか、「僕も打ち明けることにした」とか言ってくれました。いつまでもこのいい気分を感じていたいと思います。
   さて、その後どうなったか、聞きたいでしょうね。でも、僕の人生は進行形なので、今は全部を話すことはできません。まだ、僕の人生に大きな影響を与えた多くの出来事、人について書ききれていません。すべての人びとに感謝していますが、特にいつも元気づけてくれるスティーブ、素敵なマリッサとはもし僕がストレートだったらすぐデートをしたいし（^_^）、ブリタニーは僕が僕であることに勇気を与えてくれました。彼女なしではここまで来られなかったでしょう。ほかにも、すばらしいジェームス、なんともいえないカイル、かけがえのない多くのときを過ごした先生。先生は先生以上の存在です。今年卒業するみんなに幸せが来るよう祈っています。いざというときには、いつでも僕がいるということを忘れないでください。そして、それぞれのマイ・ストーリーの次章を愉快な話に書き上げてください。なぜならみんなは僕のストーリーをとびっきりのものにしてくれたのですから。