2010年度 入賞・入選作品 / その他海外からの応募作品
「孵化する瞬間」
長谷川知美(千葉県)
メッセージ
自分の中で、大人とも子供ともつかないこの時期を、一体、何と呼んだら良いのだろう。彼女の瞳をファインダー越しに見つめれば"揺らいでいる"。勉強、恋愛、将来に対する不安が風に煽られた水面のように"揺らいでいる"。いつも明るくお茶目な彼女に改めて向き合ってみれば、嗚呼、私と一緒ではないか。早く殻を打ち破って大人に近づきたいと思う反面、ぬくぬくと、ずっと殻の中で過ごしたいとも思う。けれども…時は廻る。殻を破り、孵化する瞬間に見える世界はどんな色を持ち、どんな音が聴こえるのだろう。さぁ、孵化までの時間は残りわずかだ。
主人公について
部活の後輩で、いつもお茶目な優ちゃん。無邪気にふざける姿は子供っぽくて、勉強している姿は年相応。ふと見せる憂い気な表情は、はっとするほど大人びている…。そんな今しかない時を迷いながらも楽しむ姿に惹かれました。