個々の夢を叶えてくれるカフェ

東京女子大学

個々の夢を叶えてくれるカフェ

PEOPLEこの人に取材しました!

井出あかりさん

「KOKOPLUS」オーナー

西荻窪にある特別なコワーキングスペース「KOKOPLUS」。ここには、一般的なコワーキングスペースにはないカフェが設置されている。時にはイベントも行われる。そこのオーナーである井出あかりさんは、会社員時代を経て、2019年にKOKOPLUSをオープンした。今年で3年目を迎える「KOKOPLUS」は、明るい雰囲気で、お客さんとのコミュニケーションが多く、常連さんはその明るさに影響をうけている。では、彼女を支える動力は何か、お話を伺った。

1. KOKOPLUSの特徴

Q. KOKOPLUSはどのようなところですか。

コワーキングカフェという業種で運営しています。カフェですけれども、働く人が長時間働きやすいような環境のカフェを運営しています。

あたたかい色合いで、明るい雰囲気のKOKOPLUS

Q. KOKOPLUSを利用する方には特にどのような人が多いですか。

本当に老若男女、学生さんからお年寄りまで使っていただいています。3年間やっていますけれども、通常利用だとやっぱりお仕事されている世代、20歳ぐらいから50歳くらいの方が多いです。その他にも、70歳代の方が来たりとか、いろんな方々が利用しています。

Q. KOKOPLUSにはどんな意味がありますか?

「個々」の「ここ」で、個人個人という意味があります。あと、「ここでやる」という意味も、KOKOPLUSに含まれていますね。個人個人が自由にここで作業できる場所を作りたかったんです。

Q. KOKOPLUSの特徴は何ですか。教えてください。

まず、誰でも使えることだと思います。大体のコワーキングスペースは月ごとに契約していると思うんですけども、うちは会員さんじゃなくても使えることが特徴かなと思います。もう一つ、お仕事をしてなくても使える。自分たちの勉強、それは学生さんたちでももちろんだし、年をとってからでも自分の勉強、学びのためにも使えることも特徴だと思います。

Q. 「KOKOPLUS」では様々なイベントがありますが、これまでのイベントの中で一番反響が大きかったのはどれですか?

反響が大きかったのは、交流会ですね。男女関係なく、いろいろな人が参加できる交流会だったのですが、お客さんはカジュアルに気軽に参加できる会を求めていると気づきました。
その交流会では、お料理やドリンクをたくさん作るなど、黒子に徹しました。

KOKOPLUSの交流会

2. 起業のシチュエーション

Q. KOKOPLUSを起業した理由を教えてください。

会社員の頃、雇われる側で働いていたんです。結婚して、子どもを育てて、それで終わりっていうように考えていました。でも、ずっとこのままじゃなんかつまんないな、私このままなのかなみたいに思ってしまって。やっぱり自分でお店を持ってみたいという夢を持ちました。それが40歳ぐらいだったんです。その中で自分に何ができるかなって言うところで、漠然とお店なんかができたらいいなというところから始まりました。私は今46歳なんですけれども、今までやってきた中のできることが、この職、このスペースだったっていうのが正直なところです。

Q. KOKOPLUSを起業するとき、どのような準備をしましたか。

私が急にお店をやりたいっていったときに、賛成してくれる人がなかなかいなかったので、それを自分が納得させるしかない。それで隠れて勉強していました。事業計画を立ててみたり、経営の勉強をしてみたり。あと、飲食店を経営している人、コワーキングスペースを経営している人、運営している人と会って、お話を聞いたり、たくさんしました。また、起業するためのお金を貯めたり、起業するにあたっての人脈作りをしました。女の人が一人で起業するってすごく反対を受けるので、とにかく大変でしたね。

Q. KOKOPLUSを起業した時に記憶に残った思い出があったら教えてください。

本当に奇跡的なことが多かったです。西荻でお店を持ちたいと思い、不動屋さんに申し込みましたが、先約があり上手くいきませんでした。そんな時、とぼとぼと歩いていると、今の場所が空き地になっていることに気づいたんです。空き地に看板が立っていて、今のオーナーさんの名前と電話番号が載っていました。不動産屋さんも通さずに、何もわからないまま、とにかくそこの番号に電話をして、「ここに何が立つんですか。私ここ借りたいです。」と値段も知らないまま貸してくださいとお願いをしました。オーナーさんは、私の話を聞いてくれて、そんなに強い思いがあるんだったらやってみたらと。本当に嬉しかったです。相談に乗ってくださったという人が見つかったことが嬉しかったです。奇跡的な出会いがあったからこそ今のお店ができたと思います。

Q. 西荻でKOKOPLUSをやりたいと思ったきっかけは何ですか。

高校の時に西荻窪まで通ってたんです。高校の時に通っていた町だったからすごく親しみを持っていたということもあって、全部が重なって西荻窪だったら私できるかなという思いがありました。本当に西荻しか考えていなかったんです、単純に自分が好きな街だったていうのはもちろんあります。

コーヒーを淹れている様子

3. 現在のKOKOPLUSの経営

Q. KOKOPLUSを経営する上で、苦労することはありますか。

子どもが2人いて、お店に集中できない時も結構あります。そっちに時間を割かなきゃいけない時、ちょっと難しいなって思いました。あと自分の親の体調がよくない時も。私が休むと店自体が休みになることはとても辛かったです。やっぱり家庭を持っていると、自分だけの時間にならない時も多いし、思い通りにならないことも多い。正直この悩みはまだ解決していないし、完全に解決はできないかなとは思います。けど、子どもたちも大きくなって、どんどん慣れてくれました。今では手伝ってくれることもあります。

Q. 最近の新型コロナによってきっと大変なことがありますよね。

去年の年末から今年の二月まで、閉めてる時が多かったんです。コロナの時期に重なって、私の父親が体調を崩しまして。お店自体も、店に出ることによって、病気かウイルスか他人にうつしちゃってもいけない、いろんなことを悩みました。でも、お客さんがその影響を受けてどうなるかと思ってたんけど、オープンしたら待っていてくださったお客様が結構いました。開いた時はちょっと嬉しかったですね。

Q. コロナ前後のKOKOPLUSでは、何か変化がありましたか。

全然来なくなっちゃった人もいますね。でも逆に、新しいお客さんも増えました。やっぱり休まないといけない日とかそういうのもあるけど、できるだけそれをSNSやホームページで告知するようにしています。お客様にも日程把握してくださる方も増えたので、休みがちでも、お客さんが来てくれるようになったので、それは嬉しかったですね。

4. これから

Q. KOKOPLUSのホームページには、色々な人たちの想いが書かれたリクエストボードがありますね。「kokoplusdream」のインスタグラムも拝見しました。これには、井出さんのどのような思いがありますか。

リクエストボードに貼られているのは全てお客様が自分の夢を書いた付箋です。私がずっと夢を持ってコソコソと勉強していた時は、誰も私の夢を知らなかったです。そんなとき、相談した人に「口に出さないと夢は叶わないよ」って言われました。今では、私はこのお店を持って、今はまだ途中だけれども、夢が叶いました。
心の中で思っていることは、口にしなくても、何かに書いて、表さないと叶わないっていうのをすごく実感しました。口に出すと、誰かに否定されたりすることもあるし、せっかくの夢を潰されちゃうこともある。それだったら、ここに出してもいいよ、というところに貼り付けてほしいです。あ、これいいねって応援してくれる人だけが、応援してくれたらいい、そういう場所があってもいいのかなっていうのが、心の底にあったので、夢を形にするためにリクエストボードをお店に作りました。作った後、お店に来てない人にも見せてあげた方がいいのかもしれないと思って、ホームページに載せました。また、より多くの人が見られるように、インスタグラムに、リクエストボードだけを投稿したアカウントも作りました。

KOKOPLUS DREAM – リクエストボード

Q. KOKOPLUSのこれからの目標は何ですか。

今は、特にコロナもあって、このスペースがただただ働く場所っていうイメージが強いけれど、元々は一番やりたいのは、「やりたいことが叶うスペース」です。だからお仕事にしても、ビジネスにしても、ただただ今日楽しむことが夢の人もいるかもしれないですけれども、それが叶うっていう環境づくりをしたいです。

(インタビュー:2021年5月)

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