日本への第一歩
Q:関西外国語大学への留学のきっかけは?
親はイギリスへの留学を勧めましたが、私は高校が終わって英語を学ぶのは少し遅いと感じました。周りの友達がもうアメリカ市民だったり、中学の時に英語圏に留学した友達が多かったりしたからです。それに、イギリスまで行くのはちょっと嫌だったんです。だから、英語以外にも言語が話せたらいいなって思って、アジアのどこかで英語ができる場所を探して関西外国語大学を選びました。高校卒業後、関西外国語大学に入学しました。
きっかけ
Q:大学院に進学した理由は何ですか?
もともと私の夢は教授になることだったので、その可能性を見ただけで飛びつきました。教授になるためには4年制大学を卒業して修士号を取得し、博士号を取得しなければならないというので、あまり悩まずに大学院に進みました。
Q:韓国語を教えるようになったきっかけは何ですか?
修士研究計画書を書くまで、英語を勉強していました。しかし、修士論文で英語、韓国語、日本語を比較しようとしたら、範囲が広がりすぎました。修士課程は2年しかないのに、英語も日本語も韓国語も扱おうとすると、範囲が広がりすぎるんです。また、英語はすでに私よりもうまくて好きな人がたくさんいるので、英語は先行研究などの参考資料としてのみ使用しようと思いました。そうすると、自然に韓国語と日本語を扱うことになり、ちょうど関西外国語大学で韓国語教師の求人が出ていたので、韓国語の先生として働くことになりました。
韓国語の先生として
Q:日本の学生に韓国語を教える時、難しい部分はありますか?
文の中の区切りにスペースを入れる分かち書きです。韓国人にとっては当然のことなのに、「なぜ分かち書きをするんですか」「どこで文を区切りますか」「分かち書きをしなければ試験では間違っている、とされるんですか」とよく質問されます。
それで、私は英語を例に教えます。「日本語は漢字、カタカナ、平仮名があるので、分かち書きをしなくても区切りを目で見ることができます。でも、ハングルは表音文字だから、英語のアルファベットのように分かち書きをしないと、どこが区切りか分からないし、文の要素も聞き取れないんです」と。
Q:韓国語と日本語の発音体系はどのように異なりますか? その違いが言語学習にどのような影響を与えていますか?
発音体系は韓国語の方が多様なので、韓国人が日本語を話す時はあまり問題ないと思いますが、日本人が韓国語を発音する時は母音数が不足します。それで、私が授業時間にいちいちネイティブチェックをします。何度も声を出してみないと分からないので、声を出してみてネイティブスピーカーの私が「OK」した時、「これだ」ということが分かるので、発音をしてつかみます。また、授業時間にたくさん読んでみるように指示します。最初は、大嫌い、なんで何度もやらせるんだろうっていう反応なんですけど、後はあまり緊張もせずに私の番なんだな、っていう感じです。
Q:韓国語と日本語の文法構造の最大の違いと、それによって日本人学生が苦労する点はありますか?
助詞の「は」「が」は、少しずつ異なります。特に、よく間違えるのが「〜が好きだ」です。韓国語で「사과를 좋아합니다/ りんごが好きです」というのを日本人学生は「사과가 좋아합니다/りんごをすきです」という文を作ってしまいがちです。このような助詞は教えるより、よく出る語彙として必ず覚えなければならないと思います。助詞を覚えないと、他の文章も応用できないからです。
教授法
Q:学習者のレベルとニーズに応じた教授法がありますか。例えば、初級レベルと上級レベルの学習者では、どのように違いますか?
初級段階ではシラバスの日程通りに達成しなければならない目標があるので、レベルが低いからといって簡単にすることはありません。フィードバックを課題を通じて伝えたり、学生たちがアポをとって研究室に来た時は補充授業をしますが、基本的に授業の難易度を調節したりはしません。上級クラスでは、すでにある程度進んだりすると、韓国語能力試験TOPIKのリスニングの部分を一緒に解きます。そして、よく出てくる単語の部分はもう少し応用して教えます。
Q:先生独自の授業の進め方はありますか?
私は授業の90分を全部せずに60分だけします。残りの時間は映像媒体を見せます。授業時間に読書の練習をたくさんさせるので、集中度を高く維持できないこともあり、緊張をほぐすために、学生たちが見たい映像の中から私なりに選んで見せます。映像を選択する時は理由を説明します。例えば「梨泰院 クラス」は20〜30代がよく使う言葉が出てくる。「愛の不時着」が選択できない理由は、韓国で使われていない言葉が出てくるからだ、と。最初はいわゆる標準語が学習できるように映像媒体を選んで見せています。
Q:その他に、言語を教える過程で注意すべき点はありますか?
文化の違いを一緒に説明しなければならないと思います。そうしてこそ理解も早くなり、その国に行って失礼な行動をせずに済むからです。たとえば、韓国で職場の上司や私より地位の高い人に「이거 좋아하시나요?(これ、好きですか?) 」と聞くことはあっても、日本では目上の人の欲望を直接的には尋ねないものです。文法的に正しくても、場面と相手が入ってくるとだめなこともある、ということを伝えなければならないと思います。
Q:ハングルを学ぶ学生にメッセージはありますか?
最近、韓国という国に対する愛と関心が高まり、多くの学生が韓国語を学びたがっていますが、韓国語学習を通じての韓国の文化と多様なコンテンツの理解に役立てれば、と思います。
(インタビュー:2024年4月)