パンを作る理由―小さな幸せ

関西外国語大学

パンを作る理由―小さな幸せ

PEOPLEこの人に取材しました!

大内誠さん

ベーカリー『パッソ』店長

現在、「パッソ」の店長を務める大内さんは、2005年に京都のカフェで料理の世界に足を踏み入れ、製菓学校で講師兼補助役として約一年間働いていました。その後、ベーカリー「パッソ」を2010年11月27日に開店し、現在に至ります。

初めてのパン作り

Q:初めてパンを作ったきっかけは

趣味ではなく、仕事から始めたんですけれども、最初に、似たような形態の仕事についていました。具体的には、パンとコーヒーが提供されるお店で働いていました。そこで働きながら、パンを作りたいという想いが芽生え、その環境に身を置くことでさらに専門的な技術を身につけたいと考えるようになりました。

Q:何年前にパンを作り始めましたか

店も14年目に入っているけど、一応は上司からの願いなんですけれども、その前に、2005年から、京都で五年ぐらい働いていて、一年くらい大阪市内の製菓学校の工場で勉強しました。

店舗選定とメニュー

Q:枚方を選んだ理由は何ですか

今の家は茨木で、枚方ではありません。その時には結婚して枚方に来ました。すぐ近くに住んでいるわけではありませんが、枚方は大きな町と言えます。いろいろ調べて、ここを選びました。

Q:最初のメニューはどうやって決めましたか

一番最初のメニューはたくさんを作ってその中から選んだんですけれど、やはり幅広いお客さんに受けそうなメニューですね。日本で言えば、クリームパンやあんパンやカレーパンなどとか。それでパンのバリエーションがまずメインで、最初のメニューが決まりました。

Q:コーヒー豆のブランドはどう選びましたか

イートインではコーヒーも楽しめますよね。最近はそんなに色んな所にコーヒーを飲みに行かないんですけど、京都から仕入れているんです。店を開くとき、色々調べてコーヒーを飲んだ上で一番おいしいと思った所でコーヒーを仕入れて、たぶん、ほぼ、仕入先のお店は変えてないんですね。

Q:ランチボックスがある店も結構珍しいですね。どんなきっかけで始まりましたか

ここはタイ料理だけでなく、インドネシア料理もあって、お客さんは両方頼んで合わせて食べるのが好きです。メニューが色々あってお客さんに人気です。

Q:おすすめのメニューはありますか

ランチボックスはコロナになったからです。コロナ下の時、特に遠い所からのお客さんが来られなかったんです。テイクアウトの方がメインになってしまって。例えば、どこでも食べられるサンドイッチとサラダです。その後は持ち帰りのUber Eatsという宅配もあります

Q:今年一番売れているパンは?

今年はドーナツです。結構よく出るんですけれども、バリエーションがあって、食べやすくて。今はドーナツの種類を広げています。

Q:季節限定商品はどうやって開発されていますか

シーズンって言ったら、春か秋はその季節に合わせた商品を出す意味があると思います。例えば、春になれば定番として桜あんぱんとか、夏にかけてはレモン系のやつとか、秋口って言ったら、食材としてかぼちゃとかお芋とか。こういう風に意識して商品を増やしています。

挑戦と達成感

Q:今まで、お店をやっていく中で難しかったところがありますか

やはり商品を同じような形で作ることを勉強しないといけないです。また、商品の種類を広げたいので、パンの提供時間を遅くしたいです。

Q:一番やりがいを感じたことは何でしょうか

やはり喜んで帰ってもらって、また、店に来てくれることです。また、パンがおいしかったというのを確認できます。帰るとき、おいしかった、とか、笑顔など、そういうことは、やはり、よかったと思っています。

Q:日常生活の中でワークライフバランスはどうやってとっていますか

日曜日は休みますが、月曜日はほとんど仕事をやっています。日曜日は少しだけ店に来ますけど、できるだけ、仕事のことはあまり考えないようにしています。でも、ワークライフバランスっていうか、ゴールデンウィークの時は、どこか行こうとか、予定を決めることもありますが、そこには向かっていないです。仕事の時間は結構長いので、重労働という状況になってしまっています。

Q:店を訪れるお客さんの性別と年齢層はどうですか

女性がかなり多いです。留学生の方はお昼の時間のカフェが好きで、お持ち帰りのパンとかは、ご年配の方が多いと思います。

Q:今まで最も印象的なお客さんは

最も、って言うと分からないんですけど、言葉で表現してくれる人は特に印象に残ります。パンを買って食べて「おいしかった、良かった」とかですね。たまに手紙とかもらうこともあります。もらったら「そんなにおいしかったかな」と思うので、記憶に残りますね。

Q:パンを作るとき、重視していることは何ですか

生地作りが最も大事だと思います。生地作りの発酵の温度も時間も大事ですが、やっぱり素材が大事で、全部ではないんですけど、できるだけ自分のとこで作った物を出したいと思っています。また、クリームとか餡子とかメインにしたいと思ったのは、自分で作った素材がいいと思って、作っています。

Q:一番おいしい熟成時間はどのぐらいですか

イーストを入れて発酵を長くした方がパンはおいしいと思います。長ければ長いほどいいわけではないんですけど、可能なら生地は一晩発酵させたりとか、イーストを少なめにして、ゆっくり発酵したりしています。

Q:開店時間前の準備は何時間ぐらいかかりますか

開店の二時間前から準備をしても時間が足りないので、一日の営業が終わった後、二時間ぐらい次の日の営業の準備をしています。

Q:コロナの影響にも負けずお店が14年続いている秘訣は何ですか

上がり下がりがあるんですけど、下がったときモチベーションが上がらなくても、変わらず同じ商品を売ることと、何かを新しく変えてモチベーションが上げることを繰り返して今まで経営出来たと思います。

Q:最後に、今年の目標をお聞きしたいです。

毎年ですけど、去年お客様がこんなに来て売り上げが上がったっていう数字は絶対覚えていて、それを超えようと言うのが目標っていうか、いつも意識しています。それと、新しく作った商品をお客様に改めて買ってもらえることですね。

(インタビュー:2024年4月)

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