日本で教授になった理由
Q:なぜ経営学の教授に?
もともと、トルコで繊維工学を勉強していたのですが、繊維企業の多角化、たとえば東洋紡やカネボウは、なぜ繊維から始まって最後に化粧品などの別の企業に変わっていくのか、に興味を持ち、そこから企業の非関連多角化、特に日本の財閥などに興味を持ちました。ビジネスグループの研究がしたいと思ったのも、過去の繊維工学の勉強に基づいたもので、全て関連してるんですね。一回興味を持ったら、「これはなぜこういう仕組みなんだろう」と。その答えからさらに興味を持ち、「もっと知りたい」と思い、追求したくなるんです。私の興味のある分野は全部違うように見えて、本当はリンクしているんですよね。
それに、会社に就職するとなると、上司などの下で働かなきゃいけませんよね。教授だと、そういうのがあまりなくて、自由度があるんですよ。
Q:なぜ日本に?
トルコの大学で勉強していた時、友達が日本の企業でインターンをすることになって、私も行こうかなって思って、たまたま来たんです。その時にすごく好きになって、四回生の時も勝手に一人で日本の企業のインターンシップに応募して、また来ることになったんですよ。私の性格にもすごく合うと感じて、住もう、と思いました。
あとは、とても安全なところも好きです。京都大学もとても気に入ってます。学生がとても優秀なおかげで、教えやすいです。また、京都大学は特に研究をする自由度が高く、興味のあることに没頭できるのでとても良いです。
Q:日本では男女平等があまり進んでいない、といったハードルを感じたことは?
あります。それを少しでも変えようと努力して、女性エグゼクティブ・リーダー育成プログラムというプログラムを去年から始めて。企業の中の女性をもっと上に、役員までに育てようというようなものです。自分の娘は今五歳で、彼女が大きくなった時にも、日本の社会をもっと平等にできれば、という目的です。
Q:先生のように、日本で研究したい人々へのアドバイスは?
まずはちゃんと日本語を学ぶほうが、大学では上手く上に行きたい人には、大事だと思います。日本語ができない教員の場合は、やはり重要な色々な学会などに入れないことになります。
また、日本にいるということとは関係なく、自分の研究を国際的なレベルにして、英語のトップ雑誌とか論文を出版するようにして、日本にいても国際的に知られるような人になるのが大事です。
(インタビュー:2024年4月)