バックグラウンド
Q:日本のどちらから来ましたか?
日本の奈良県から来ました。古い街ですが、大阪や京都と隣り合わせの県です。
Q:奈良はどんなところですか?
古い街ですから神社がいっぱいあって、京都みたいな街です。1300年前は日本の首都でした。
Q:料理に初めて興味を持ったのはいつでしたか。なぜシェフになったのですか?
18才で高校を卒業してすぐ寿司レストランで働き始めたので、その時から興味を持ちました。料理と寿司が好きだったことが寿司シェフになった理由です。
ニュージーランドへの移住・転機
Q:いつニュージーランドに移住しましたか? また、その理由は何ですか?
2000年に移住しましたが、1997年にワーキングホリデーで初めてニュージーランドに来ました。ワーキングホリデーの後に日本に帰国し、その後ワークビザを取得して2000年にニュージーランドに帰って来ました。
Q:なぜニュージーランドに来たかったのですか?
日本では会社まで30分も40分も満員電車に乗って行っていました。
ニュージーランドの生活はゆっくりしていますね。
そこにライフスタイルと働き方の違いがあると思います。僕はシェフなので日本では一日の労働時間が15時間で、とても長かったです。日本では「仕事のために生きている」みたいな感覚でした。ニュージーランドはなんかもっと「生きるために仕事している」という感じがいいと思ったので移住を決めました。
Q:初めてニュージーランドに来た時に受けた最大のカルチャーショックは何でしたか?
一番初めの印象はすごく人が少ないということでした。それから、レストランとかお店がすごく早く閉まります。日本ではローソンなどのコンビニエンスストアは24時間営業ですから、ニュージーランドに来てびっくりしました。
Q:ワーキングホリデーではテカポで働いていたそうですが、テカポにはどんな印象を持っていましたか。
テカポでは、日本食レストランで働きました。それまでそんな小さい町に住んだことがなかったので、テカポはすごく田舎だというのが最初の印象でした。田舎で湖がとてもきれいでいいところです。
Q:その印象は変わりましたか?
今もテカポはすごくいいところだと思います。そこの生活は本当によかったです。
Q:移住を考えて、日本に住んでいた時の夢は何でしたか?
自分のレストランをオープンするというのが自分の夢でした。
Q:移住した後の夢は何でしたか?
自分が学んだお寿司を作ったりする技術をニュージーランドで広めていくことです。
Q:ニュージーランドに移住してその夢を達成したように感じますか?
もう十二年ぐらい店を経営しているのですが、クライストチャーチにも大きな地震があり、地震の被害のためにお店もなくなってしまいました。でも、今もこうして日本食のレストランを続けることができています。そして、日本の文化とレストランの文化をニュージーランドに広めていると思っています。
Q:レストランの仕事で、一番好きなことは何ですか?
お料理を作ってお客さんに喜んでもらったり、感謝してもらったりする時、やり甲斐を感じるので、それが一番好きなことですね。
Q:今のお気持ちは、日本に住んでいた時と比べてどのように違いますか?
移住するというのは最初やっぱりすごく不安でしたね。父や母を残してくるわけですからね。大変だったけど今振り返るとすごくよかったです。その時は結婚していたのでパートナーとニュージーランドに来て、子供もここで生まれました。子供たちが日本で育っていたらぜんぜん違うと思うので、すごくよかったと思います。
Q:ニュージーランドに移住したことで、きんじさんの人生はどのように変わりましたか?
日本にいるとすごく仕事ばっかりなんですね。NZは仕事とお休みのバランスがすごくいいです。しっかり働いて休むっていうことがけっこうできるので、子育てもパートナーと一緒にできます。日本にいた時は僕の父は仕事に行って、母だけが家事をしてすごく大変でした。小さい頃、父が仕事から帰って来る時間には僕たちは寝ていましたから、あまり話をすることがなかったです。ニュージーランドは時間が有意義に使えるのですごくいいと思いました。バランスが良くて、やっぱり自分の人生の中では良い選択をしたと思っています。
(インタビュー:2020年4月)