各校の留学生会は、国別で留学生会が分かれています。その例として、法政大学には「韓国人留学生会」「中国人留学生会」「台湾留学生会」などがあります。
Q:スジンさんが所属されている「韓国人留学生会」について紹介してください。
韓国人留学生会は簡単に言えば文字どおり韓国人留学生が集まっている団体です。韓国人が日本で暮らしていて、難しいところは絶対あって、特に今の新入生たちはさらに大変だと思います。だから私たち韓国人がお互いを助け合うことを目標としています。そして学校生活のサポート以外にも、学祭で屋台を作ることや飲み会、カラオケ大会など、みんなが仲良くなれる親睦活動もしています。もちろん、遊ぶだけではなく、グループチャットで就職活動の講座とか、留学生のためのセミナール、就職に役立つ情報やアルバイト情報などを紹介したりしています。そして、韓国人留学生会は「日韓留学生協会」と協力していて、スポーツ大会や日本語スピーチコンテストなどが開催されるとき、それをみんなに知らせる形でそれぞれのキャリアに役立ちそうなことも提供しています。
Q:なぜ韓国人留学生会に入ろうと思いましたか。
まず、私自身が韓国留学生会にいっぱい助けられた人だったからです。私はほかの留学生たちとは違って、外国人留学生入試ではなく高校推薦で入学しました。私の高校と法政大学は姉妹校で、大学側が決めた日本語力の基準に満たしている学生を募集します。ですが、その基準は普通の外国人留学生入試より低かったので、日本語がそんなに上手ではなかったのです。その時の私は助けというか、誰かの支援が必要な状況だったんです。また、一人で来日したので、周りには知り合いもいなかったです。それで、「これからどうすればいいの?」と迷った時、韓国人留学生会に入って、本当にたくさんの情報を得ました。その中でも一番記憶に残っているエピソードは寮生活でした。その時はまだ入学して一ヶ月経ってなくて、私はみんなとそんなに仲良くなかったです。
だから、いつも大体自分の部屋にひきこもっていました。でも、同じ寮の韓国人が「一緒にご飯食べよう」と誘ってくれて、そこから私の性格もどんどん明るくなり、新しい友達もできました。そして、授業のことでも被っている人にわからない日本語とか聞いたら教えてくれるし、相談にも乗ってくれて、寮で要らない家具とかもらったこともあります。そうやって、些細なことから大きいことまでいろいろと助けられました。この時から、私も同じ韓国人としてみんなのように何か役に立てるような人になりたい、ならなきゃと思って韓国人留学生会に入りました。
Q:「副会長」になりたいと思ったきっかけは何ですか。
私は韓国人のみんなと過ごしながら、みんなに助けてもらったことを返せる自信もできて、留学生会が行ったイベントや活動には全部参加し、みんなと交流していました。それで、先輩たちも同期もみんな私の名前を知るぐらい有名になったのです。留学生会の中では顔が広いと言えるでしょう(笑)。でも正直、どっちかというと会長になりたかったんですけど、会長役は壁があったんです。日本語力はもちろん、留学を始めたばかりで、日本という国についても詳しくなかったんです。それで、会長役は他の同期が務めることになって、私はその方の推薦で副会長になりました。
コロナに負けず、みんなを支えていく私たち
Q:コロナの影響を受けた現在、韓国人留学生会は新入生たちにどんなサポートを行っていますか。
これは、今年の2月に韓国人留学生会の副会長になってからやった最初の活動なんですが、会長さんと副会長二人で新入生のオープンチャットというのを作りました。リンクとパスワードがあれば誰でも入れるチャットで、ネットを通して新入生を集めたんです。日本留学のコミュニティサイトなどにオープンチャットのリンクと「法政の新入生は入ってきてください~」と書いて投稿したんです。それで、30~40人くらいの新入生が集まりました。それで、最初はそのチャットで入学するまでの流れとか新入生からの質問に答えたりしたんですけど、結構人が集まっていたから一回くらいは顔合わせをしたくて、ちょうどそのときはコロナもまだそんなに感染者が増えてなかったので、「みんなでマスクして会いましょう」という話になりました。20人近く来てくれて、いろんなことを話しながらみんな入学する前に仲良くなれましたね。
Q:サポートした活動の中で特に力を入れたことはありますか。
履修相談会ですね。高校までの時間割は全部学校側が組んでいるからそれにあわせて授業を受ければいいだけだったのに、大学は全然違うんじゃないですか。そこで、私たちが「新入生たちにわかりやすいと思ってもらえるように時間割の組み方を説明してあげたい」と思って会長さんと副会長二人でそれぞれ担当する学部を分けました。パワポを作り、新入生たちに「ディスコード」というチャットに招待しました。
そこでみんなにパワポと去年の私の時間割を見せながら履修の組み方について説明し、相談の順番も決めて、一人ずつ相談に乗って、サポートしました。多分私たちが留学生会の活動をしてなかったら新入生たちはもっと大変だっただろうと思いますし、こうやってサポードできただけで満足しています。みんな最初はバタバタしてたんですけど、最後まで私達のアドバイスを参考に頑張ってくれたし、ついてきてくれて、「先輩たちのおかげで助かりました」など言われたりして、本当に胸がいっぱいになりました。
ここでの活動は貴重な経験となる
Q:韓国人留学生会の活動を通して学んだことはありますか。
私は副会長の仕事をやりながらみんなを引っ張っていくリーダーシップを身につけたと思います。そして、最初は本当に依存的な傾向があって、みんなに頼ってばかりだったけど、今は一人でなんとかやってみようってなったし、それだけではなく、人を助けてあげたいという気持ちができました。時間割もちゃんと組めなくて毎晩泣いてた私が、今度は去年の私みたいな学生たちを助けてあげようと思ったのです。それ以外にも、困ってる状態でどうすればいいのかを、この活動を通してたくさん学んだと思います。コロナという特殊なケースで、私たちが初めて直面する、挑戦するチャレンジだったんですが、それをなんとか乗り越えながら、「これさえ乗り越えたら、これからくるもっと大きな問題にも対策を立てられるんじゃないかな」という心構えも学べました。でも一番大きいのは、やっぱりリーダーシップですね。
Q:韓国人留学生会の活動経験を、将来にどうやって活かしたいですか。
私は、就活のためにやったわけではないんですけど、この活動で私はたくさん成長したので、就活に使えそうとは思ってますね。頼りがちだったのが今はこんなにも主体的になって、誰かの役に立てるようになったので、社会に出てからもこれは活かせると思います。また、韓国人留学生会の活動でたくさんの人に出会えて、たくさんの悩みを聞いて、いろんなケースと解決法なども知ることができたのでよかったのと、顔も広くなりました。日本で出会えたみんなからたくさんの情報をもらえて、いろんな人と繋がっていることの大切さを感じました。困っている時に助けてもらえるという機会を、韓国人留学生会を通して得たんです。そのため、将来にも、ずっと韓国人留学生会がみんなの役に立てる団体として成長し続けるように努力していきたいです。
Q:最後に、韓国人留学生会のみんなに一言お願いします。
私は今回、副会長になってそんなにたくさんの活動はできなかったです。それでもなんとか副会長としてうまく引っ張っていきたかったんですけど、正直自分がよくやってるのかわからないところもあります。でも私は努力しているので、みんなもそう思っていてほしいです!(笑)そして、みんな本当に会長さんと副会長である私たちに付いてきてくれてありがとうございます。私たちを信じてくれている分、これからも精一杯頑張るので、韓国人留学生会で良い経験ができるように頑張ってください!
(インタビュー:2020年10月)