森さんが思うキモカワは?
最初、キモカワというテーマでインタビューされると聞いて、自分の作品がキモカワと関係あるとは全く思わなかったので驚いた。キモカワとは自分の中では悪趣味なものという印象が強かったから。
自分は昔のSF、とくに50年代のレトロフューチャーを志向ている。昔の人たちが考える未来の感じ、クラシックな技法で描いた絵イラストレーションが今の絵柄だ。また、自分の中で大事だと思うことを引き出して作品を描いてる。このような作品はウルトラマンが流行していた時代に、子供だった人たちがいいと言ってくれる場合が多いし、やはり女性より男性好みの絵を描いている。
キモカワの「カワイイ」というところに視線を合わせれば、女性にも自分の作品が通じるのではないかと感じる。自分が考えるキモカワのイメージとしては、昔篠原ともえがやっていた「シノラー」のようなファッションの女の子や、ウルトラマンに出てくるのガラモンみたいな怪獸のイメージがそれだ。
エイリアンを描くようになったきっかけは?
創作のインプレッションの源はSF小説、自分の先生の指導、あとは1950年代1960年代の絵または芸術家の作品の影響を受けた。自分がこのような絵を描くまで一番影響受けた人はメビウス(*1)はマンガや美術の中ではやっぱりいちばんトップだと考える。
他にも寺田克也(*2)など のイラストレーターに影響を受けた。やはり昔からいる人からの影響は大きくて、同世代の人にはいない。
メビウスのペンネームでも知られるフランスの漫画家。40年にわたって続けられた西部劇漫画『ブルーベリー』シリーズではジャン・ジローを、より自由な筆致でSF・ファンタジー作品を手がける際にはメビウスを用いた。(Wikipediaより)*2:寺田克也
ゲームのキャラクターデザイン、小説の挿絵、漫画など数多くのメディアで活動中。アニメ、ゲームの分野での活動のため、海外にもファンが存在する。 萩尾望都、いしかわじゅん、鳥山明、横山宏、ナイキの社長らが寺田のPainterを使用した作業の見学に来た事もある。(Wikipediaより)
森さんとエイリアンとの出来事は?
SF的な素材で絵を描き始めたのは大学時代の美術部の時からだ。この作業を本格的にやり始めたのは大学を卒業してからだから1、2年ぐらいやっている。それで、今まで描いた作品を今年の春、大学の美術部として南青山のビリケンギャラリーで展示をした。
一番好きな作品は一番最初に描いたロボットのレトロの絵だ。 それは一番最初に描いた絵だからこそ一番やりたいものの純粹度が高いし、絵を出して初日の5分で売れたのが嬉しくて今まで印象に残っている。また、ウェブにも載せて自分の作品を見てくれる人がいて「この絵、ほしい」とか言われるのが嬉しい。
大学時代
Q:大学時代、やりたいことを探すために何をしていましたか?
もし、今興味あるものがあったら、プロではなくてもいい、プロではなくてもいいけど、それを自分のものにするためには、なにが見つかるかどうか分からないけど、ただカメラを持って歩く。このやり方で動いていれば、自分が持ってる素質を開かせることができると思う。他の人から教えられるより自分でどんどん見つけていくのが一番いい。そうすると、自分の形ができ上がるのです。
エイリアンはこのようにかかれてる!
作業としては 大体一週間貰えば描ける。最初に基本的な形態を決めるためCGの作業を3日ぐらいやる。僕は絵があまり上手ではなくて、形や色を変えたいとき、簡単に変更ができるし、いろいろ考えたとき、一番効率的な方法だった。始めから一個一個手書きで描くと、いつまでも終わらないことが多くCGを使う。だから、一回絵を描く時できる。作業が進むと別名で保存する。そうすると、毎回、シリアルナンバーでマイルが20個、30個ぐらい、途中経過できるが、一個ずつ辿ってることを分かるし、いろんなバリエーションができることはCGしかできない。
完成させたCGイラストを出力してから、その上に絵の具で色塗りを4日ぐらいかけてイラストを仕上げる。やはり、昔、50年代を意識しているから、筆のタッチ感でアナログ感を表現する。また、最近の世に出ているイラストは、ほとんどCGで描いた絵だから、逆にアナログで描いたもののほうがユニークだと思う。
エイリアンの魅力はこれ!
普通の人々はエイリアンにあまり反応しない。エイリアンよりは自分と同じ人間の姿に反応する。コマーシャルであれ、何でもそうだ。そうしたことから、商業的に考えた時、このような絵はあまり売れない絵だと思う。
自分は人間よりはこのようなクリーチャーのような絵が好きだ。たぶん、子供の頃からゲームが好きだったからだろう。私と一緒にゲームとともに成長した年代の男なら、こんな絵を好きじゃないかと思う。 自分の作品を通して、一番表現したいのは自分の中にあるものを何か絵にすること。
普段仕事で頼まれた時は主に人間の形の絵を描くが、そのような固定観念を脱するためにエイリアンのような絵を描く傾向があるかもしれない。僕が表現したいのは、こういう普通なことより、自分の心の中のSF的な絵だ。
前、自分が描いた作品を出版社に何枚も送ったことがあるが、出版社ではあまり使ってくれなかった。今、自分の絵は多分みんなに受け入れられないかもしれない。ほかの人と違う価値観のものを世の中に発信するということは勇気のいることだが、自分は自分のやりたいことを貫徹して、いつかみんなが納得できる作品を作る。
最後に、もし、このインタビューを見て少しでもエイリアンという存在に興味があれば是非自分の作品を見てほしい。海外の人は日本よりキモカワについて開放的だと自分は思っているが、これをきっかけとして海外の人々とやり取りをしてみたい。
(インタビュー:2016年6月)