銭湯で気楽に、作品を鑑賞してもらいたい。
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ウエハラさんと彼の代表作品”ぬ板”、”ぬ”に板で、ぬいた。
お湯をぬいた銭湯の終了を表す板を作りました。
今はどうかわからないけど、昔は作品を展示するのは美術館ではないとダメだという変なことを言われていました。そこで、私も美術館や個展などで展示をやったけど、やはり美術館というところは美術に興味を持っている人しか行かないイメージが強かったです。もちろん、観光地として行く人も多いけれども、地図を開いて探しに行くまでが大変で、作品をみて感動をもらっても、疲れてしまうのがもったいないと思いました。私は、芸術が好きではない人でも、日常生活で自然に作品を見ることができたら良いなと思いました。もっと身近なところ、商店街の近くの銭湯にお願いし、銭湯での展示活動を始めたのが1996年でした。お風呂に入ってきてリフレッシュした雰囲気でその作品と向き合うと「こりゃいいんじゃないかな」と思ったということから始まりました。
私の銭湯観
この作品の原型拍子木です。昔の銭湯スタッフを番台から呼ぶとき、男湯は拍子を1回、女湯は2回打っていました
銭湯は日本の人がリラックスできるところだと思います。料金は460円ですけれども、それ以上の価値があります。疲れてしまった旅人たちは、出会った銭湯でお風呂に入って、地元の人々と話して、いいんじゃないでしょうか?
昔モノクロテレビが初めて日本に上陸したころ、近所のみんなは食事の後すぐ銭湯に行きました。人数が多かった時、男湯と女湯の間に立っていた壁も倒れました。(笑)
自分の家にお風呂があっても、銭湯に来ます。なぜですか?銭湯の空間がゆったりしているからかもしれないです。それ以外、銭湯自体がすごく文化的な魅力があると思います。例えば、このタカラ湯は昔とても有名な大工によって、作られました。
時代とともに、銭湯に来る人数がだんだん減っています。銭湯屋さんもいろいろな対策と努力をしています。料金を安くしたり、駐輪スペースを用意しますなど、今はまだ効果が顕著ではないけれども、銭湯を存続し続けるために、頑張ります。
365日毎日同じな銭湯が結構あります。しかし、私は自分の創作を通して、銭湯に来るみんなに毎日違う姿を提示して、一緒に銭湯の魅力を楽しみます。
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タカラ湯の七夕飾り
昔が喜ぶ作品を作りたい
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大黒湯煙突に登っている猫
1996年から芸術の作業を始めて20年が経ったけど、最初は現代美術をしていました。
ペンキを使って作品を作るアンディ・ウォーホルを参考に、変な薬品を使ったり変なものを作ったり自分なりの作品を作り続けました。そして、家の近くにあるお風呂屋さんに行って物を床に置いて作業したけど、自分だけ満足する作品ばかり作りました。
例えば、オウムに見える消火器を鳥かごの中に入れて、その当時に使われたテープレコーダーに「おはいよ~おはいよ~」という音を流した作品を作ったりしました。現代美術でやろうかと思ったけど、大衆的なことを決して皆を喜ばせる、共感させるような作品を作って、自分だけが満足する作品ではなく、皆が満足するような作品を作りたいのです。
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タカラ湯の七夕作品展
気楽にしながら幸せになれる作品
人たちが休みながら幸せになる作品を作ろうと思いました。その作品の中で、去年完成させた「金魚ねぶた」が一番気に入っています。これは、青森に行った時、博物館の中にある金魚ねぶたを見て、夏にこれを作ってみようと思って作るようになりました。主な材料は和紙で、4月から制作を始め、7月まで約2~3ヶ月ぐらいかかったけど最高でした。
私はこの作品を見て周りの人々が銭湯の良さを感じてほしいです。365日毎日同じような銭湯があります。でも銭湯に来て変わる季節感を味わってほしいです。初湯があって菖蒲湯があって次に七夕があって、それが銭湯の日になれると思います。
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タカラ湯の七夕作品展
(インタビュー:2016年6月)