大阪出身。今年(2019年)60歳になりました。60歳は日本では還暦と呼ばれ、英語では「comeback to baby」という意味です。
神戸大学工学部を卒業後、三菱電機と、リクルート、NTTデータ、楽天などといった有名企業で働きました。日本の英語教育は重大な問題を抱えていることに気づいた市本さんは、英語を勉強したい次の世代に力を与えるために、英語塾ABCを開校しました。
彼には、このような過去がある。
Q:塾を始めたときのことを教えてください。
私は7年前にこの塾を始めました。その時は大阪大学の杉田先生にお世話になって、当時の大阪大学の外国語学部の英語専攻の学生さんたちと一緒にこの塾を始めました。今は大阪大学、神戸大学と京都大学などの留学生たちを中心に、この塾で日本人に対する英語教育を支えてもらっています。
Q:市本さんは仕事上、英語との関わりはありましたか。
リクルートにいた頃から海外の企業と英語を使って、いろいろな仕事をやっていました。最後は楽天という会社で、従業員はほとんど日本人でしたけど、イングリッシュナイゼーションで会社の中は公用語を英語にしていました。そういうことで英語との関わりがありました。
彼には、このような信念がある。
Q:ご自分の英語塾はほかの塾と比べて、どんな点が特徴だと思われますか。
やっぱり実践。多くの日本人は今、学校や塾で週に14、15時間ぐらい英語の授業を受けていますが、文法などの問題ばっかりやっていますので、英語が使えないのが現状です。大学に入っても英語が使えない人がたくさんいます。私の塾のメソッドで行けば、英語の本を読んで、英語で聞いて、英語のままで理解しながら、ライティングする。このメソッドが、一番英語力を身につけると思っていますので、そこが革新的かなと思っています。文法のルールばかりをやらずに、実践から行きます。あらゆる言語はそうだと思うのです。
Q:英語の勉強において何が大事だと思われますか。
いろいろありますけれども、教える側として場を作るのは大事です。英語のネイティブスピーカーの先生、もしくは別に先生じゃなくてもいいと思いますけれども、そういった環境で英語を学ぼうとすることが重要なこと。それが一番大事なことだと思っています。
Q:英語を学ぶ環境について、どう思われますか。
うちのメソッドとして、英語の本を読んで、英語のリスニングをして、やっぱりその先はできるだけ英語に関係づけた環境にいることは大事だと思います。自分も昔は子ども二人をオーストラリアに2年間行かせましたので、それで彼らは聞けたり話せたり使えたりするようになりました。本当は、海外で英語の環境におくことが一番手っ取り早いですが、なかなかそうはいきません。そのため、今はこういうメソッドでやっています。
彼は、進化しつづける。
Q:塾の設立以来、どんな挫折(困難)がありましたか? 塾はどのように変わってきましたか?
ずっと困難ですね。塾は常に危機、AT RISKです。もし、講師がいなかったら、教えられないし、大きい塾でもないです。今年は7年目を迎えて、いろんなことが変わりましたね。昔はそこらの普通の塾と一緒で、やっていることは文法中心でした。今は、文法はほとんどやらずに、要は聞く、書くが中心にレッスンの内容が変わっています。時間も昔は90分に対して、今は3時間です。後は、講師は昔は日本人ばかりでしたが、今は外国人留学生を中心にやっています。形的にはそんなもんですね。じわじわと変わりました。
Q:講師たちは授業の準備において、どのような役割を果たしていますか。
講師にも授業の準備に参加してもらって、ちっちゃな変革、イノベーションとか、成長とか、みんなと一緒にやっていきたいなと思っています。講師にアイデアを出してもらって、もっと反映させていくには、そういう構造にしていければと思っています。
Q:親たちの期待や声について教えてください。そして、それがどういうふうに塾の方針に影響していますか。
親の声は色々あります。もちろん、お褒めのことばをいただいたこともありますが、よくあるのは、親が子どもにある本を読ませて、この言葉はどういう意味ですかと聞くことです。日本の英語教育を受けた親は子どもに聞くんですよね。「訳してごらん」とか言います。当然訳せないですね。または、難しい単語を聞くんですね。この塾では、日本語の意味や、日本語に訳することも教えていないです。親たちは、ちゃんと訳せることは英語ができることという概念がありますね。そういうことを求めている親には他の所に行ってくださいとこちらから伝えます。
ABC英語塾は、英語を全部日本語に訳す能力よりも、分かる単語で全体を想像する力を大事にしています。そして、今までのメソッドをもっと進化させたいんです。より読める、話せることを高めて行くようにしていきたいです。生徒は先生の英語の質問に英語で返せるという仕組みと環境を作って行きたいと思います。もっとディスカッションの時間を増やすとかが考えられます。
Q:最後に、塾の未来図について教えてください。
来年(2020年)からしたいことがあります。ネイティブのナレーションを聴きながら、本を読むことが一番の学習と思っているので、そこのスキルをもっとしっかり測定できるように準備しています。(本の一段落を指差して)このワード数をはかって、間違えなく読めるかとか、講師の負担が増えるけど、そういうのを測定していきたいです。
(インタビュー:2019年11月)