退学してからわかったこと -とり天屋店長が語る阪大生活-

大阪大学

退学してからわかったこと -とり天屋店長が語る阪大生活-

PEOPLEこの人に取材しました!

嶋田将大さん

とり天屋店長

嶋田さんは和歌山県出身、元阪大法学部生で、今は石橋商店街のとり天屋「とき」の店長です。人と話すのが好きで、お店でお客さんと会話しながら楽しく働いています。明るい性格でお客さんに対する気遣いができるので、たくさんの常連さんが来ています。

周りから無理と言われても諦めずに阪大合格!

Q:大学に入る前はどんな生徒でしたか?

そうですね、僕の成績はクラスで下の方でしたね。周りのみんなは東大、京大に行ける人ばかりで、先生からは僕は阪大も合格できないだろうと言われていました。でも簡単に諦めたくなくて、「じゃあ、僕は阪大に合格したい!」と思い、大学受験の時は必死に勉強して阪大に合格しました。

Q:大学受験の時、どんな困難がありましたか?

学校の先生に阪大は無理だと言われた通り、自分も数学があまり得意ではなかったので受験勉強は結構大変でした。両親は「頑張れるところまで頑張ってみたら」とだけ言って応援してくれました。自分も親を安心させたいという気持ちもあって、最後まで頑張って合格しました。

Q:阪大に合格した時の周りの反応はどうでしたか?

実は最初に僕の合格発表を知ったのは学校の先生で、驚いて家に電話をかけてくれたんです。僕も自分が合格したと聞いて何の話かすぐには理解できませんでしたが、両親に伝えるととても喜んでくれました。特に下の階に住んでいるおばさんは大喜びでした! みんなまさか僕が阪大に合格するとは思っていなかったので、ビックリしていました。僕自身もとてもうれしくて、「やったー!」という達成感がありました。

こちらを見つめる嶋田さん

様々な経験ができた大学生活

Q:大学時代の勉強と生活はどうでしたか。また当時は将来についてどのように考えていましたか?

僕は法学部の法学研究会に入りました。研究会では交流を通じて上下関係、お酒の飲み方なども学ぶことができたと思います。いろんな人と知り合いになり、彼女もできました。また、先輩たちの人数合わせで麻雀に参加したのがきっかけで僕も麻雀に夢中になり、今でもよくプレイしています。授業をサボって麻雀をしたことも…アルバイトも良い人生経験になったと思います。

将来のことについてですね。僕も大学に入った頃はちゃんと就活のことも考えてました。正直、消去法で法学部に進学したので、弁護士になることは全く考えたこともなく、最初は警察官になろうかと思っていました。でも色々考えているうちに、自分は人と話すのが好きなので人材派遣業界で働くのが向いているのかなと思うようになりました。そして就職するためにまずは学部の勉強を頑張ろうと思いました。

嶋田さんと友達

Q:なぜ大学を退学しましたか?

高校時代から数学みたいにロジック的な考え方が必要な科目が苦手でした。法学の勉強にはそのロジック的な考え方が必要だったので難しいと感じ、大学の授業についていけなくなりました。一回留年したとき、周りの視線が気になってきて最後は学校にも行かなくなりました。そして、就職を考えていましたが、何がしたいのかが自分の中で固まらなく、悩んでいました。ただ大卒という資格が就職するのに必要だったので頑張りましたが、単位は取り切れませんでした。その結果、留年を四年間もしてしまい、卒業ができず自主退学することになりました。

退学した後―これからの人生の道はどこへ?

Q:退学した後の気持ちはどうでしたか?

最後の一年は後輩に頼って勉強を教えてもらったりもして本当に頑張りましたが、卒業ができなかったのが悔しかったです。そして、これからの人生はどうなるだろうという心配もありました。あと、僕が卒業できると信じてくれてたくさんの支援をしてくれた両親に申し訳なかったのが一番でした。もちろん卒業できなかったことについての後悔もありました。でも、退学してしまったけど、真面目に生きていかないといけないと思いまして、その後はバイトをしながら生活をしました。そして、知り合いに紹介してもらって、今のお店で働けるようになりました。

Q:今の生活についてどう思いますか?

僕は人と話すのが好きなんですが、今、様々な人と話しながら仕事ができてとても幸せです。普通に会社でだらだらするよりは今の生活が楽しいと思っています。今の生活に対しての後悔はありません。だけど、もう一回機会があれば大学を卒業して就職する道を歩んでみたいとは思っています。

「とき」の店内

Q:最後に、今までの人生の経験から見て、この記事を読む人たちに伝えたいことがありますか?

大学は失敗が許される最後の場所です。大学で失敗を経験したら早く立ち直る方法を学んでほしいです。また、社会に出ると上下関係で理不尽なことをされるかもしれないです。その時、すぐイライラしないように練習してほしいです。

皆さんに伝えたい今までの人生経験から学んだこと

・大学で失敗を学んでほしい(大学は最後の失敗を許す場所であるから)
・大学で早く立ち直る方法を学んでほしい
・上下関係で理不尽なことをされても流せるようなどの練習、イライラしないように練習してほしい
・大学で恋愛をやってみてほしい(いろんな条件は考えずに純粋な恋愛ができる)
・自主性(自分が自分のすべてを決められる力)を学んでほしい
・お酒の飲み方(自分の限界を知ってほしい、自分が酔ったらどうなるかなどを知ってほしい)
・大学でいろんなことを体験してほしい(大学生活、求職など)
・知識を学んでほしい(大学で勉強は基本ですから)
・強い意志を持ってほしい
・社会の厳しさを知ってほしい
・好きなことをやってください。その中で味方は必ずいるので心配はしなくていい
・大学は卒業してください。人生での選択肢が広がります。
・相手の長所を見てください。そして、その長所に近づけるように頑張ってください(店長さんは相手の内面のすごさを見つけて、それを見習おうとしている。)

楽しそうな笑顔の嶋田さん

(インタビュー:2020年11月)

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