横浜での日々―いつものこと

横浜国立大学

横浜での日々―いつものこと

PEOPLEこの人に取材しました!

ともさん

横浜国立大学キャップ野球チーム Sounds on Beach 副代表

今までの人生で15回もの引越しを経験し、様々な環境で生活を送ってきたともさん。アメリカとマレーシアでの海外経験もあります。大学入学で横浜に来て、ひとり暮らしを始めてから一年。彼が今までどのような生活を送り、横浜でどんな思い出をつくり、どんなことにチャレンジしたのか、彼の人生の軌跡について話を聞かせてもらいました。

色んな国に住んで、海外と日本の違いを感じましたか?

いっぱいあると思うんですけど、まずは言語。アメリカとかマレーシアとか英語使わなきゃいけなかったし、学校はなかなか馴染めなかったので結構大変だったりしました。食事とかは日本食売っているスーパーがあまりなくて、作れるようになりました。

ともさんにとって、実家である静岡はどんな場所ですか?

三年しか住んでないのでそこまで思い出深くはないんだけど、やっぱり電車のイメージが強いかな。高校は神奈川県だから静岡から通ってた。イメージでは一日のほとんどは神奈川県にいたみたいな感じ。学校も塾も神奈川県だったなー。静岡は夜帰ってきてご飯食べて寝るみたいな生活だった。まあ、休日とかは駿河湾(静岡の湾岸部)を見ながら読書をしたりして、のんびり過ごしたイメージがありますね。

その時は横浜にどんな印象がありましたか?

横浜の印象ね。横浜は住んだことなかったので結構…なんだろうなあ。都市!ていうイメージがすごくあったけど都市だけじゃなくて自然が豊かで景色も綺麗だし、でもちょっと都市の方に行ったらショッピングモールあったり中華街あったり、何でも揃っているような印象が強い。

大学での生活を簡単に紹介してください。

サークルとか部活で活動しているのは主に三つあります。一つは「105(いちまるご)」。二つ目は「ユズリハ」。三つ目が「キャップ野球」。

「105(いちまるご)」は何ですか。

105はサークルっていうか団体。横浜国立大学に留学しに来る留学生の日常生活を助けるというのが目的。ウェルカムパーティーとかアステージキャンプ*とか色々留学生同士もそうだし日本人と留学生を交流できる場を提供している。ISC国際教育センターの二階にロビーがあって、そこに留学生がいつでも来られるように105のスタッフが平日の二時間目から三時間目の終わりまでいて、アルバイトや部活、サークルなどの相談とか、相談がなくてもふらっと話に来る人もいますね。気楽に来てもらって留学生が日常的にストレスフリーな生活を送ってもらえるような活動を日々やっています。

*アステージキャンプとは105が毎年春と秋で開催する留学生向けの一泊キャンプイベントです。この機会で日本人と留学生が交流できて、留学生同士もその場で友達になれます。

「105」に入ったのは、昔海外に住んだことと関係ありますか?

本当その通りです。俺は海外に行ったときはまず英語が喋れなかったし日本人も全然いないから学校とかで自分一人で結構大変だった。授業受けるのもそうだし宿題や課題をやるのも大変だったんだけど、現地に住んでる日本人や外国人の人と普通に友達になって色々助けてもらったことがあって。日本人なら例えば英語訳してくれたりとか、外国人の友達だったらランチタイム一緒にご飯食べてくれて色々話してくれたりとか授業中一緒に課題やってくれたりとか。色んなことをしてもらった経験があるから、それがあったからこそ俺はアメリカとマレーシア社会で生きていけた。日本は俺のホームなので留学生の皆さんを今度は私が助けてあげようというような感じで。「105」に入るきっかけはそれが一番だったし、もう一つは俺が留学生とか外国人とコミュニケーションを取るのが好きだから。普段バイトもサークルも全然同じじゃないから「105」に入ってないならなかなか留学生とコミュニケーション取れない。俺もそれやりたいなと思って入ったというのもあります。

去年のアステージキャンプでは、「105」のスタッフさんが留学生にご飯を作った

「ユズリハ」というのは?

お昼はカフェで夜はバーになって、店長からアルバイトまで全員横浜国立大学の学生。仕入れもメニューの値段決めるのも自分たち学生。季節のメニュー、例えば夏だから冷たいパスタにしよう、冬だからスープパスタにしようとか、自分が作りたいメニューもみんなに許可もらえばメニューに載せられたりする。お金の管理からメニュー作るまで全部自分たちがやるからすごく面白い。経営をリアルに学べるのがユズリハの良さ。大学入って一人暮らしもしたからちょっと料理頑張ろうかなと思って。料理をやりたいのと、自分で経営できるからちょっと面白いと思ってこの二つが理由で入った。

「キャップ野球」とは何ですか?

ペットボトルのキャップを野球のボールに見立てて、プラスチック製のバットで打つというものです。ボールが当たっても安全なので、小さい子からおじいちゃん・おばあちゃんまで幅広い世代でプレーすることが可能です。キャップ野球のチームに入っていて、正式な名前は「公認団体soundsonbeach」といいます。

キャップ野球チーム入った理由を教えてください。

高校の時に休み時間暇つぶしで投げてたんですね、たまたま。受験の期間は勿論勉強してたんだけど、ずっと勉強したらしんどいから気休めにキャップ投げてた。その時に結構ハマちゃって(笑)で、大学に入って今の部長と出会って、彼がキャップ野球のサークルを作りたいって言って俺も作りたかったから一緒に作ろうってことになった。ただプレイするのを楽しむだけじゃなくて、リーグ戦を通じて他大学と対戦したり、全国大会に参加して日本一のチームを目指したり、マイナースポーツの繁栄にも努めてるんだよね。これからも多くの人に競技を知ってもらって一緒に楽しんでもらえるように頑張っていきたいなー!昨年春にあった全国大会では準優勝という戦績を残すことができたんだよね!メディアにも最近は取り上げられたりしてて、地元新聞に記事が載ったり、キャップ野球の特集でチームメンバーが地上波に出たこともあったよ。

右手に持っているのは野球で使っているペットボトルのキャップ

三つのサークルで勉強したことは何ですか?

「105」だったらやっぱり色んな国の人と話すから自分の価値観が広がったり、多種多様な考え方ができるようになったりした。色んな人の意見を聞くから寛容にもなれて、英語能力も上がった。俺ミニイベント部だから一ヶ月に一回自分で企画してポスターも広告も自分でするし、当日の司会も自分で。イベントを考えることからイベント終わるまで全部自分でやる。もちろん先輩の助けもあるけど基本的には自分が主体的になってやるからそれは自分にも結構力になる。今年の夏からはイベント部局長になるので、今まで学んできたことを活かして、留学生に親しみやすいイベントを開催していきたい。これも会社に入って何か新しいことをする時にその力が生かせると思う。

自分が経営に携わるからユズリハはイベントを企画する力とか新しく料理を作るスキルとか、経営学部っぽい言葉でいうとコストのことを考えながら料理を考える。コミュニケーションも結構する。大人の人と電話して発注したりもするし業者さんが来たり、もちろんお客様とも話す。

キャップ野球は……コミュニケーション能力かな結局は。例えば最近障がい者の人にこのキャップ野球をやってもらおうっていうことで実際に施設に行って紹介している。まだ実際始まってないけど、今考えているのは小さい子供たちにやってもらいたい、小学校等でそういう会を開いてみようと。他にも、横浜に自衛隊の基地の体育館を貸してもらえて、そこの場所で練習する。それも自分たちで連絡して「こういうことやってるんです」って話してやらせてもらってる。小学校も今借りてるんだけどそこも自分で行ってこういう競技なんですペットボトルだから安全ですしルールの説明をして、体育館使ってもいいですかって許可もらっていつも小学校でキャップを投げたり。色んな人と話す機会が多い、大人の人と話すことが多い。

色んなチャレンジしてて、時間管理はどうしていますか?

今三つあげたんですけど、実は前まではこのほかに三つ、合計六つの団体に入って活動をしていた。それは一年生の春の時。やっぱ大学入って勉強から解放されて、やっと大学で勉強しながら遊べる。だから色んなチャレンジしたくてテニスサークルとかフットサルとか六つに入って、バイトで塾の先生やってたらもう本当にスケジュールが回らなくなって自分の時間はほとんどなかった。そんな生活を一ヶ月くらいして、俺は一体何をしたいのかなって自分に問うてみた。本当にテニスしたいかなと。別にテニスそんなにしたくない(笑)じゃあ何で入ったんだよ?流れで入って友達が入ったから入っちゃたみたいな。フットサルも勿論好きなんだけど毎回時間削るまではできないなと思って本当にやりたいことは何かを考えているうちに、このキャップ野球とユズリハと105の三つだなと思って。ちゃんと勉強もしないといけないから資格の勉強もちゃんとやりつつ、三つだったらたぶん結構マネージできるから。三つにしたから今は本読む時間もあるし、ゲームする時間とか(笑)、写真を撮りに行く時間とかも結構確保できるようになったかな。始めは本当に苦労してた。あの時の自分は本当にバカでした。色々やって自分がやりたいことを見つけられたかなと思う、今は。この三つを辞めるつもりもないし、卒業までやろうと思ってる。

横浜に来てから一番大変だったことは?

一人暮らしが一番大きいかな。みんなそうなんだけど家事をやらなきゃいけないし料理もしないといけないし、なんでも自分でやらなきゃいけないし、しかも授業終わって帰ってきてするから結構時間が取られる。買い物も行くし。もちろん大変なんだけど学ぶことでさ、なんだろう。自分の成長にも繋がる。もちろんそれは一人暮らしのみんなが同じなんだけど自分でやらなきゃいけないからそれは結構大きいと思う。

静岡(実家)が恋しいと思う時はありますか?

バイト終わって夜一人で歩いていると結構もう「あー疲れたー」と思って和田坂を上り切って振り返って夜景を見ると、家でゆっくりしたいなって感じる。ご飯をめちゃ頑張って作った時、家だったらお母さんが作ってくれてたな食べたいなとか。毎日一人暮らしやっているとあまり寂しさを感じないけど一人でずっといて夜になって何もやることない時は考えるじゃん?(笑)そういうのはたまにありますね。

ともさんにとって横浜はどんな場所になったでしょうか。

都会というよりアットホームな場所。なんでかというと今住んでるし、通ってる大学も横浜だし、バイト先も横浜。高校が横浜に近かったのもあるだけどそれがあったからこそ横浜に住んでいるし横浜の大学に通っている。横浜のバイト先で働くことを合わせるとやっぱり一番自分が住みやすい、なんかもう「家」みたい。「第二の家」みたいなイメージがすごくあるかな。横浜が自分の本来の場所ではないと思ってなくて、横浜は自分にとってすごい思い出がある土地だから全然違和感なくてすごく遠い国のイメージじゃなくてもう本当に実家と変わらないくらいの感覚がある。

(インタビュー:2020年6月)

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