アイディアを体現し、世界を豊かにする
Q:菱沼さんにとってパフォーマンスとは。
“Embody ideas, improve the world”。アイディアを体現し、世界を豊かにする。これが僕たちのモットーなんだよね。新しいアイディアを自分たちのパフォーマンスで体で体現して、世界を良くしたい。それが僕たちがパフォーマンスをやっている一番の理由、僕たちのアイデンティティー。僕たちのメッセージはダイバーシティで、色々な国、色々な人が認め合って、リスペクトしあって、一つになることがやっぱり僕たちの作品のメッセージなんだよね。
Q:パフォーマンスとの出会いについて聞かせてもらえますか。
元々人の前で歌ったり喋ったりなにか表現することが好きな子供だった。クラスだったり、親戚の前だったり。それが好きで中学校のときからコメディアンのプロの活動を始めました。中学校からずっとプロのコメディーの活動をしてて、プロのコメディーからダンスや、プロジェクションマッピングや色々な表現を取り入れていた。そのままでずっと育ったっていう感じだった。
Q:結成したころにはメンバーが何人かいましたか。
最初は6人全員高校のクラスメートで作りました。サークルは演劇だったり野球だったりみんなバラバラだったんだけどクラスが一緒だった。クラスが一緒であったり友達だったり友達のサークルで作りました。ずっと6人でやってきたんだけど、2012年に初めてオーディションをやりました。2013年にもオーディションをして、去年もやって、オーディションを過去3回やりました。今は14名がいる。
Q:パフォーマンスにおいての失敗はありますか。
プロジェクターが途中でつかなくなったことがある。あとは、インドで外のステージでやってて、本番中に犬がいっぱいステージに来たこともある(笑)。プロジェクターがつかなくても、お喋りで「プロジェクターがつかなくなっちゃったの、みんなちょっとそれまで僕がこんなパフォーマンスするよ」だったり、犬が来ても、「犬がいっぱい来ました!」って言ったらみんながすごい笑ったり。だから、本当の失敗っていうのはお客様が退屈すること、それはたぶんなかったと思う。失敗がいっぱいあるけど、ステージがどんなことが起きようとも、プロジェクターがつかなくても、犬が来ようとも、エンターテインメントを続けることは可能だと思っている。
Q:パフォーマンスをして嬉しかった出来事はなんですか。
日本人も含めて、世界中の人に楽しんでもらえるパフォーマンスを作りたい。だから、横浜も、新宿も、色んな国の人が来て、そして色んな国の人が楽しんでくれて、最後に色んな国の人達と一緒に一つの空間、一つのアートを作れたときが一番嬉しい。ダイバーシティをテーマにしているパフォーマンスをやってて、国とか世代とか性別とか関係なく、観客の人たちも一緒にひとつのパフォーマンスを作れたときが超ハッピー。みんなで作るエンターテインメントはショーをやっている目的ではある。
Q:パフォーマンスをして、普段では経験できないことはありますか。
自分にとっては、パフォーマンスをしていることが「普段」だよね。パフォーマンスをずっとやってきた人生だから、パフォーマーとしてのパフォーマンスをやっている人生しか経験していないんだけど、めちゃくちゃ楽しい。やっぱり、好きなことをやって、好きなことで好きなことを仕事にしているっていう自負はあるんだよね。だから、毎日楽しいし、すごく幸せを感じて、この白Aの活動はやっています。
日本から世界に行くんじゃなくて、日本で世界を呼ぶ
Q:今までの出会いで影響を受けた人はいますか。
僕たちは日本の国内で活動するつもりだったんだけど、最初の白Aのマネージャーの人が世界で勝負しよう、世界で活動しようって僕たちをリードしてくれた。その人がいなかったら、僕たちの今の白Aの活動はなかった。その人が一番影響を与えてくれた人。
Q:「American`s Got Talent」に参加してどんな経験を得ましたか。
「American`s Got Talent」に出ることはずっと夢だった。でも、僕たちのステージ活動と「American`s Got Talent」の活動は違うって思ってた。僕たちはずっとステージでやってきて、舞台の表現だったんだよね。ツアーでも、ロングランでも。でも「American`s Got Talent」は舞台じゃなくて、テレビの表現なんだね。だから、ステージとテレビで僕たちのパフォーマンスの戦略は大きく変えた。その戦略っていうのは、ステージだと、みんなはお金を払ってくるからすごく集中力があるお客さんなんだよね。でもテレビやYoutubeのお客さんって集中力がない。つまらなかったらスキップ、つまらなかったら他の動画を見るでしょう。だから僕たちが一つだけ「American`s Got Talent」で変えた戦略は、飽きさせないようにいっぱいあるパフォーマンスを組み合わせた。一つのパフォーマンスじゃない。沢山のパフォーマンスを、沢山のサプライズを2分間の間に入れた。サプライズがいっぱいあったら、チャンネルも、Youtubeチャンネルも変えれない。その戦略が上手く行ったのが「American`s Got Talent」の「ゴールデンブザー」だった。セミファイナルまで行けたのも戦略がマッチしたからだと思うんだよね。その戦略がうまく行って多分僕たちはあの番組で勝つことができたと思っています。
Q:紅白歌合戦に参加したときは同じ気持ちだったんですか。
紅白歌合戦は僕たちが主役じゃなかったから違った。紅白歌合戦はメインのシンガーがいて、そのシンガーのダンサーだった。そのシンガーのステージ演出だったから、役割が違った。だから気持ちも違ったよね。
Q:海外での長期活動を検討していますか。
今はしていない。今は日本の観光を盛り上げたいと思っています。「American`s Got Talent」の時はアウトバウンドしたいと思ってた。僕たちが世界中回って、日本から世界へだったのね。でもそれは十年間やってきて考えが変わってきた。日本から世界に行くんじゃなくて、日本で世界を呼ぶ。そっちの方が僕たちの活動と考えと合った。だから、僕たちが海外にアウトバウンドするんじゃなくてインバウンドして来るそのオーディエンスを楽しませたいと思っています。
日本で舞台を見る文化を作りたい
Q:菱沼さんはどんなディレクターになりたいですか。
世界中の人がみんな楽しんで、みんなで一つになれるような作品を作るディレクターになりたい。あと、英語勉強中だから、英語がペラペラ喋れるディレクターになりたい。
イングリッシュスクールとオンラインレッスンとあとはチームで勉強会している。みんな(白Aのメンバー)でやっている。みんなで日記書いたり、みんなでボキャブラリー増やしたり頑張っているよ。
Q:これからはどう進んでいきたいですか。
行政がサポートするイベントを立ち上げようとしている。BtoG(Business to Government- 国、行政や財団が文化芸術を応援する支援)を受けるためには活動を一生懸命やって、国の支援を得られるような魅力ある、コロナの中でも文化活動が継続できるビジネスをやっている。
僕たちの今の目標はこの5G時代にマッチしたオンラインパフォーマンスエンターテインメントを作ること。そしてコロナウイルスがなくなったら、もう一回日本の観光を盛り上げたい。日本にブロードウェイを作るっていうのが僕たちのスローガンだからね。日本の観光には舞台を見るという文化がないからその文化を作りたい。
Q:なぜ神奈川県で活動しようと思ったんですか。
まずは神奈川県の行政が「ナイトエコノミーを創出したい」と考えていたんだよね。そのために、神奈川県がパートナーを募集してたの。僕たちも日本にブロードウェイを作りたいって思ったからそこで募集して選ばれた。だから浮世絵のショーは神奈川県がナイトエコノミーを盛り上げたいという思いと、僕たちは日本にブロードウェイを作りたいと思い、これがマッチしてコラボレーターとしてパートナーとして浮世絵カフェというのをスタートさせたのね。
Q:白Aのリーダーとして、学生または外国人に伝えたいことはありますか。
日本のステージエンターテインメントは、やっぱりオリジナリティとクリエイティビティ―があると思うんだよね。だから、僕はそれを広めたいし、普及させたい。もし日本でそんなエンターテインメントに興味があったら是非ステージを見に来てください。
白A(SHIRO-A) ホームページ : https://www.siro-a.com/
(インタビュー:2020年6月)