今年8月の「Seoulでダンス・ダンス・ダンス!」に参加した高校2年生の杉岡夏さん。日韓の中高校生が5日間共同生活を送りながら、5~6人の日韓混合グループでK-popダンスを練習し発表した。発表会前日、ほかのグループが仕上げにかかるなか、リーダー役の夏さんは泣き出してしまった。そのわけは......。
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◎嫌いなところが見えて初めて人として向き合えた
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ダンスの発表の前に、決められた予算で買った洋服や小物などで観ている人たちにアピールする「胸キュン対決」というのがありました。私たちのグループは男子が女装することにしていたんです。もうすべて整っていたのに、前日遅くになって「変えたほうがいいんじゃない?」って言われて涙があふれてしまったんです。
それまでも、同じようなことが何回もありました。練習2日目。曲もダンスも全部決まって練習し始めているのに、ダンスが難しいから曲を変えようって、韓国の子が言い始めたんです。でもそうすると全部変えなきゃいけなくなるから、ここをこうしたらいいんじゃないかと提案しても何も言ってくれない。
だけど納得しているわけじゃないのが伝わってくるんです。陰で「やりたくない」とか「めんどくさい」とかいろいろ言っているのが聞こえてきて......。ダンスの練習をしているのに、おしゃべりばかりしたり、寝ちゃったり、ということもありました。
そうしたことが積み重なって、とうとうこらえきれなくなって涙がでてきました。間に先生が入ってくれて、日本の高校生3人と、韓国の高校生2人でわかれて、それぞれが思っていることを話しました。2人に悪気はなかったらしく、私が泣いたことに驚いたみたいです。
そのとき先生に言われたのが、私の韓国語がすごくストレートすぎて強く聞こえたり、韓国の子が話す日本語を変なふうに捉えたりしたこともあって、意図せず、どんどん悪い方向にいっていたようです。
その後、韓国の2人が「ごめんね」って謝ってくれました。それからは発表に向けて、とにかくがんばろうってなったんです。
◎韓国語がわからなかったらよかったのに......
私はダンスダンスダンスに参加するまでにソウルに5回、行ったことがありました。とにかく韓国が大好きでした。だから、今回いろいろと食い違いがあったとき、韓国の人たちの嫌なところを見ちゃったなって思いました。韓国語がしゃべれなかったらよかったのに、とさえ思いました。
でも、今はぶつかってよかったって思います。韓国の大学に進学したいと思うようになってから、韓国のことがただ好きなだけじゃだめだろうなと思っていました。もっと深いところまで知らなきゃいけないだろうなと。今回のダンスダンスダンスで、いろんな人と交流して、韓国人、日本人ではなく、人として向き合えたと思います。
自分の気持ちは率直に伝えていいんだ、もっと付き合いを広げていこうと思えるようになりました。そして気持ちを伝えるとき、韓国語でニュアンスまで表現できるようになりたいです。
韓国の大学に進学したい気持ちはますます強くなっています。その半面、日本各地の子と出会えて、日本もいいなって思うようになったし、日本のことをあまりにも知らないとも感じました。韓国に行くまでにもっともっと韓国語を勉強すると同時に、ニュースにも関心をもっていろんなことを知りたいと思います。