ライブの様子。名古屋を中心にライブを行っている。
聾学校に通っていたときに音楽部をつくり、バンドも結成した木村正明さん。それから25年以上が経った今も、手話ロックバンドBRIGHT EYES super-duperのリーダーとして活躍しています。
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中学生のときにテレビで見た長渕剛。
「かっこいい!!」
幼児期に聴力を失った私が「見る音楽」にであった瞬間だ。そんなとき近所のゴミ捨て場にギターを見つけた。チューニングのことさえ知らなかったが、でたらめに弾くだけでうれしかった。
高校では陸上部に入りやり投げで全国大会にも出場し、陸上に夢中だった。しかし、高校3年生のとき大ケガをし、選手生命が絶たれた。
5ヵ月間の入院で就職試験も受けられず、そのうえ母を病気で亡くした。自暴自棄になりかけていたとき、ギターが目に留まった。
ギターを弾いてみようか。習おうかとも思ったが、先生が何を言っているのかわからないに違いない。でも独学にも限界があった。高等部卒業後、聾学校の専攻科に進学した私はひらめいた。学校に音楽部をつくればいいじゃないか!
さっそく、先生にそのことを伝えた。「ここは聾学校だぞ。まともに音が聞こえないのにどうやって演奏するんだ」とにべもなく却下。
「やってみないとわからないじゃないか。前例がなければつくればいいんだ!」そう自分に言い聞かせ、協力者を募った。聞こえなくても、音楽が好きな人がたくさんいた。
そのうち「顧問の先生が見つかればいいぞ」と先生が折れてきた。新任の成田佳総先生が大学時代にバンドをやっていたという噂を聞き、顧問になってほしいと頼んでみた。
「いいよ」
こうやって、聾学校に課内の音楽クラブができた。その後、課外の音楽部に発展。このときに組んだバンドがBRIGHT EYES。
聴覚障がい者は音楽を楽しむことはできない、と思っている人は多い。でもそんなことはない。私が中学生のときに長渕剛に憧れたように「見る音楽」を楽しむこともできるし、低音は聞こえる。
耳が聞こえないのにギターを弾いている私を「奇跡だ」という人がいる。でもそれは音は耳で聞いて演奏するものだという固定観念があるから。私は耳以外の部分を使ってギターの音を"聞く"。身体に伝わる振動、てのひらや指先で感じる響き。
数年前、バンドメンバーの一部がかわり、4人でBRIGHT EYES super-duperとして新たなスタートを切った。ドラムを担当する成田先生以外はみんな聴覚障がい者だ。みんな音楽が好きで、楽しくて、バンドを続けている。耳が聞こえても聞こえなくても誰もが楽しめるライブをめざして。
くりっくにっぽん「聞こえなくたって音楽は楽しめる!」(記事)
https://www.tjf.or.jp/clicknippon/ja/mywayyourway/05/post-14.php
くりっくにっぽんmeets BRIGHT EYES super-duper(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=jveLeGEk_is