春になると、たけのこをはじめ山菜が野山で一斉に芽吹きます。旬の新芽を料理していただくと、元気をもらえるような気分になりますね。
特に食べごろの期間が短いたけのこは、土から掘り出して皮をむいたときのぷうんと匂ういい香りと、しゃきっとした食感が、日本人にとってたまらなく春を感じさせてくれる食べものです。
実はイネ科の植物である竹は、温暖で湿潤な地域に広く分布し、世界中に1000種類以上あるともいわれていますが、たけのことして食べられる種類は限られています。
日本にも70種類ほどある竹のうち、食べられるのは孟宗竹(もうそうちく)や淡竹(はちく)、寒山竹などほんの数種類。地方によってよく食べられている竹の種類と食べごろの時期が違っています。
関東地方では3、4月頃から太くて香りと味のよい孟宗竹、近畿地方では4月末から5月にかけてえぐみの少ない淡竹、東北や北海道、信越、山陰地方では5月から6月にかけてほっそりとして歯ごたえのよい姫竹(根まがり竹)が出回ります。九州など西日本に分布するほのかな甘みのある寒山竹のたけのこはもっと遅くて、食べごろはなんと5月から8月にかけてです。
さて、たけのこは海外では中国のほか、タイやミャンマーなど東南アジアでも食用としてポピュラー。メンマの材料として使われる麻竹(まちく)のたけのこはよく知られています。タイ料理では、たけのこに似た食感のマコモダケという食材も使われます。ただし、これは竹とは違うイネ科多年草の新芽です。麻竹やマコモダケは、日本では「グリーンカレー」の名で知られるゲーンキョウワンというタイ料理の具としてポピュラーです。
麻竹のたけのこやマコモダケは、日本のたけのこと同じく、1年中食べられるように水煮にした缶詰などで売られていたりするのですが、日本人と同じで、タイの人たちもフレッシュなたけのこがお好きなよう。昨年春に八王子のタイ寺院で行われたお祭りソンクラーンに参加したのですが、裏山にたけのこが生えているのを見つけた彼らが、とてもうれしそうな顔をしていたのを覚えています。
せっかくの旬のシーズンですので、フレッシュなたけのこで、ぜひグリーンカレーを作ってみてください。
グリーンカレー(ゲーンキョウワン)レシピ
【材料】4人前
鶏肉(ももまたは胸)......角切り 300g
ココナツミルク......1缶(400ml)※ココナツミルクのパウダーでもよい
グリーンカレーペースト......大さじ1(辛いのが好きな方はもっと多めに)
たけのこ......120g(食べやすい大きさにカット)
なす......3本(一口大にカット)
バジルの葉......30g程度
ナンプラー......(ニョクマムやしょっつるなど、他の魚醤で代用可)大さじ2
きび砂糖......大さじ1(なければ白砂糖でもよい)
赤パプリカ(または赤ピーマン)......半個(飾り用。細切り)
ごはん......お好みで好きなだけ
【作り方】
1. 鍋にココナツミルクを全体の1/3程度入れ、中火でグリーンカレーペーストを香り立たせながら少しずつ混ぜて溶かしていく。
2. 1に鶏肉を加え、グリーカレーペーストにからませながら火を通し、火が通ったら残りのココナツミルクを加えて熱する。
3. 2にたけのこ、なすを加えて、5分ほど煮る。続いてナンプラーときび砂糖を加えて、味を調節する。
4. 3にバジルの葉をちぎって加え、ひと煮立ちさせる。
5.底厚の皿に4を入れ、パプリカ(または赤ピーマン)、バジルの葉を飾り、ごはんを添えてできあがり。
〔文・レシピ:青木ゆり子(各国郷土料理研究家・世界の料理情報サイトe-food.jp運営)〕
▼ インターネットラジオ「ごちそうリミックス」
今回紹介した「ゲーンキョウワン(グリーンカレー)」を作るときのワンポイントアドバイスや世界のたけのこ事情について話を繰り広げています。
https://www.tjf.or.jp/gr/2016/04/4.html
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