2001年2月号 日本語で手紙を書く |
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「日本語の手紙」といっても、公的な手紙と私的な手紙とでは書き方が違います。仕事などの公的な手紙では、相手が知っている人でも、形式を守らないと「失礼な手紙」になります。しかし、日本人の知人や友人に個人的に手紙を書く時には、あまり形式を気にする必要はありません。高校『日語』の第一冊第9課と第三冊第3課でも手紙の書き方について紹介していますが、一般的には次のようなことに気をつければいいと思います。 はじめに「~様」「~先生」「~さん」と相手の名前を書き、改行後、目上なら「拝啓」、友人の場合は省略してもかまいません。 「時候のあいさつ」では、自分の住んでいる場所の様子や出来事などを紹介することが多いです。例えば「延辺は今、一年でいちばん寒さが厳しい季節です。毎日、零下20度まで気温が下がりますが、わたしは元気で暮らしています」「ハルビンも遅い春を迎え、ライラック(紫丁香)が満開です」「大連ではアカシアの新緑が目にしみる季節になりました。いかがお過ごしですか」「ようやく期末試験が終わり、時間的に少し余裕ができましたので、お手紙を書きます」といった書き方でいいのです。 手紙を終わる時は、「なかなかお目にかかる機会がありませんが、どうかお元気でお過ごしください」とか、「瀋陽に来る時には、必ず連絡をください」とか、「またお会いできる日を楽しみにしています」といった親しさを表現した文で終わると、手紙の印象がとてもよくなります。文章の拙さや文字の乱雑さをお詫びしたい時は、「乱筆乱文で失礼しました」と書いたりしますが、「わたしの日本語に間違いがあったら直してください」などと書く必要はありません。このように書いてあると、なんだか「手紙」ではなく「作文の添削」のような感じがしてしまいます。 そのあと、はじめに「拝啓」を書いた場合、「敬具」と書いて文を終わります。「さようなら」は普通書きません。最後に改行して、右はじに日付を書き、さらに改行して自分の名前を書きます。 封筒の名前や住所は必ず楷書で書いてください。中国と日本では漢字の書き方が少し違うので、草書で書くと日本人には読めず、困ることがあるからです。 日本語で手紙を書くことは、むずかしい「勉強」ではありません。自分の気持ちが相手に伝わるように書けばいいのだと思います。みなさんの生徒が日本の友好クラスの生徒に手紙を書く時にも、以上のような話をして、楽しい手紙を書くように指導してください。 本田弘之
杏林大学助教授 |
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公的な手紙は、ある程度書き方が決まっています。例えば、下の手紙のように書きます。日付、相手の所属・氏名、自分の所属・氏名のあとに件名を書きます。(1)で、よりていねいにしたい場合には「謹啓」を使います。(2)は季節によって使い分けます(右欄参照)。(3)では、「貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます」など、日常の会話では使わないようなことばを書きます。それから(4)の本件に入ります。(5)は、本件の内容によって、「まずはお礼まで」とか「書面にて失礼します」などを書きます。(6)は、「謹啓」に対しては「敬白」を使います。
1月…新春の候、厳冬の候
2月…余寒の候、晩冬の候 3月…早春の候、孟春の候 4月…陽春の候、春暖の候 5月…新緑の候、向暑の候 6月…梅雨の候、初夏の候 7月…盛夏の候、極暑の候 8月…残暑の候、晩夏の候 9月…初秋の候、新秋の候 10月…仲秋の候、紅葉の候 11月…晩秋の候、暮秋の候 12月…初冬の候、など。 (編集部)
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