2003年4月号 作文指導について(4) -作文の構成を考えよう- |
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前回、初級から「短い文」を正しくつくる練習をしなければならないという話をしました。「短い文」を自由に正しくつくれるようになったら、次に、その文をつなぎ、それをまとめて、「文章」をつくれるようにしていかなければなりません。その時、300字程度の作文なら、文を並べるだけでも、なんとか文章ができます。しかし、300字を超える長い作文は、まず全体の構成を決めてから書き始めなければ、論理的で読みやすい文章になりません。この時大切なのが「パラグラフ」または「段落」という考え方です。 パラグラフとは何か次の文章を読んでください。
この文章は、(1)~(4)の部分、つまり四つのパラグラフからできています。そして、一つのパラグラフは、一つのトピック(話題)をもっています。つまり、(1)サッカー人口の多さ、(2)サッカーが普及した理由、(3)サッカーの始まり、(4)まとめ、というトピックをもっています。一つの作文は、このようにいくつかのパラグラフを積み重ねて書いていくのです。つまり、作文は「文をあつめて文章にした」ものではなく、「文をつないでパラグラフをつくり、パラグラフを積み重ねて文章をつくった」ものなのです。作文の構成を決めることは、パラグラフのトピックを決めるということなのです。 パラグラフのトピックを決めるまず自分がどのような構成で作文を書くのかを決めます。この時、必ずノートなどに書いてみてください。上の例でいうと、私ははじめに次のような構成をノートに書きました。 (ア)サッカーは世界でいちばん人気のあるスポーツだ。 この文章は500字程度の短い文章なので、この構成の(a)~(d)をそれぞれ一つのパラグラフとして書きます。そして、そのパラグラフを四つ順番に積み重ねれば、例のように一つのまとまった「作文」ができるわけです。 パラグラフの書き方パラグラフは、次のように書きます。 まず、一つのパラグラフは、一つのトピックをもちます。二つ以上のトピックをもってはいけません。そして、パラグラフは、一般的に3~10の文からつくります。その文のなかの一つはトピックを書いた文(トピック・センテンス)です。トピック・センテンスは必ず必要です。ほかの文は、トピック・センテンスを説明したり、対比したり、具体例を挙げたり、パラグラフをまとめたりします。また、複雑なことを説明する文章では、前後のパラグラフをつなぐ文を書くこともあります。最後に、それらの文を分かりやすい順番に並べます。一般的にはトピック・センテンスをいちばん始めにおきます。また、各文の文頭にはなるべく「つなぐ言葉」を書きます。 (2)のパラグラフでは、aはトピック・センテンスです。bは具体例を挙げた文です。cはbと対比してサッカーの特徴をはっきりさせる文です。dは、パラグラフをまとめる文です。そしてb~dの文の頭には「例えば」「しかし」「つまり」という、「つなぐ言葉」があります。 作文を書く時、初めにパラグラフをつくって文章を構成するのは、最初は少し難しいと感じたり、少し「めんどうだ」と言ったりする生徒もいるでしょう。しかし、いつもパラグラフを意識して作文を書くようにしていると、自然にパラグラフがつくれるようになります。特に長めの作文を書かせる指導をする時には、「パラグラフをつくる」という考え方はとても重要です。 本田弘之
杏林大学助教授 |