2004年7月 日本語をみがくために |
---|
このコーナーは今号が最後です。長い間、読んでくださった皆さん、ありがとうございました。最後に、皆さんが「日本語をみがく」ために、これからどのような努力をすればいいのか考えてみたいと思います。 このコーナーでは、「作文」の指導について多くの誌面を割いてきました。というのも、私が2001年に、研究員として中国で過ごした時に会って話をした多くの先生が、作文を書くことは、話すことや聞くことより難しいと、考えているようだったからです。 しかし、考えてみれば、中国に住んでいる皆さんが、いちばん接する機会が多いのは、書かれた日本語だと思います。日本語を読む機会は、この『ひだまり』を読むことをはじめとして、たくさんあります。さらに最近は、パソコンがだいぶ普及してきました。インターネットを使えば、毎日日本語でニュースを読むことができますし、電子メールを使えば、日本の友人にその日あったことをメールに書いて送ることもできます。つまり、現在では、以前よりもはるかに簡単に、いろいろな分野の生き生きとした日本語を読んだり、メールで気軽に日本の友人とやりとりしたりすることができ、それだけ「読んだり」「書いたり」する練習がしやすくなっているのです。 皆さんにとって、日本語をみがくためにいちばんいい練習方法は、インターネットや電子メールを使って、たくさんの日本語を読んだり、毎日、日本語を書いたりすることです。はじめは、日本語で文章を書くことが難しいと感じるかもしれませんが、どんなことも練習すれば上手になります。どんなに機会があっても、それを利用しなければ、上手になることはできません。 先日、私のところに、一通の電子メールが来ました。黒龍江省鶏東県のL先生からでした。L先生のメールには、ところどころ間違いもありました。でも、L先生の気持ちはとてもよく伝わってきました。私は、久しぶりにL先生と会って話をしたような気持ちになりました。難しく考える必要はありません。電子メールを書く時も、話す時と同じように、あまり間違いを気にしないで書いてみてください。そうすれば、電子メールを通じて交流が深められるでしょうし、日本語を書く力が向上すると同時に、相手の日本人が書く返事の文面からも、「日本語らしい表現」を多く学び取って、自分のものにすることができるはずです。 作文は、あるテーマについて、決められた字数で書くものですから、電子メールで書くのとは違うと思われるかもしれません。しかし、前述のようなことを心がけていれば、書くことに慣れ、日本語らしい表現を使って自分の考えを表すことができるようになるでしょう。そして、これらはすべて作文を書く力、ひいては日本語力向上につながります。ですから、インターネットや電子メールなど活用できるものは、どんどん活用しましょう。 さて、この『ひだまり』の中の「日本語をみがこう」コーナーはこれで終了しますが、皆さんの日本語に関する質問は、これからも電子メールで(もちろん、手紙でも)受け付けます。そして、質問者にメールで回答すると同時に、ほかの読者の皆さんも閲覧できるよう、その質問と回答の内容は国際文化フォーラムのホームページに掲載する予定です。日本語を書く練習として、いろいろな質問を書いて、私に送ってください。日本語に関するものであれば、どんな質問でもかまいません。 それでは皆さん、お元気で。また、お目にかかる日を楽しみにしています。再見!! 本田弘之
杏林大学助教授 |