2001年2月号 「さっそく」の使い方 |
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高校『日語』第一冊第13課本文に「何度も練習したのに、さっそく失敗してしまいました」とあります。参考書には「さっそく」は、ある目的のために、チャンスを逃さないようにそのことをすると書いてありましたが、本文の意味がよくわかりません。 |
確かに、「さっそく」には、ある目的のために、すぐに実行に移すという意味があります。例えば、話し手が積極的に次の行動をしたいと考えている場合です。ですから、1., 2. のように人の意志的な動作や行為をともなった文に比較的よく使われます。
しかし、本文は意志的なものを含んでいません。日常生活では、このような使い方がしばしば見られます (3., 4.)。
3. は、書類の書き方を教わり、書き始めたら、すぐに間違えてしまったことを表します。4. は、先生に忘れ物をしないように注意され、次の日には、もう忘れ物をしてしまったという意味です。つまり、これらの「さっそく」は、「~してすぐ」や「~して最初に」を表し、マイナスの結果を招く場合によく使われます。 本文は、間違えないように何度も練習し、それほど時間がたっていないのに、牛島君に会ってあいさつしたら、間違えてしまったことを表しています。この場合、最初からこのような失敗をしてしまって、困ったというニュアンスを含んでいます。 加納陸人
文教大学教授/『日語』日本側主任編集委員 |