2000年4月号 心に通う日本語教育をめざして |
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言葉は国によって違いますが、心はみんな同じだと思います。日本語を勉強することによって、生徒が日本語の文章を理解し、日本人と気持ちが通じるようになることが私の願いです。また、私は教師として、生徒たちに日本語の知識を教え込むのではなく、生徒たちと心を通じ合わせ、生徒たちの心からの笑顔を得られるように努めています。 授業では、よく使われる日本語の表現を日本人の好きな花や色、味、日本人の食事のマナーなどと結びつけることによって、日本語の表現方法の背景にあるものにも触れさせ、異文化の心に敏感になるよう教えています。 いろいろな質問やヒントを生徒に与えることで、日本語や文化を理解する練習をしています。例えば、日本人はよく「~ではないでしょうか」と言いますが、それはなぜでしょうか、と質問します。また、桜の淡い紅色、日本料理のあっさりした味、箸を横にして置くことなどにどんなイメージを持ちますか、と聞きます。そして、次に中国人の好きな紅梅色、味の濃い中国料理、縦置きの箸、はっきりしたものの言い方などと比べてどう感じるのか、などについて聞きます。 そんなやりとりをしていくと、生徒たちは共通点や相違点を感じ取れるようになってきます。言葉の理解は、文化と人間の理解につながります。心に通う日本語教育の原点は人間理解です。例えば、日本語の婉曲な断りの表現を学んだ生徒は、「話し手の立場から見ると、素直に表現できないのはつらいけれど、聞き手から見ると、厳しくなくやさしく感じる」と言います。 コミュニケーション能力を養成するには、文化を理解すること、積極的に学ぶ姿勢、情熱、体験が必要です。だから、私は生徒主体の授業を行うよう心がけています。 上海市甘泉中学
黎雲華 |