2003年10月号 反省会を開いて |
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今年4月15~18日、空き教室を使って、1年生が日本の高校生の写真展を開催しました。展示方法を考えたり飾り付けをしたりと、自分たちで写真展を作り上げました。当日は、ほかのクラスの生徒や先生、長春在住の日本語教師など多くの人たちが見に来てくれました。 写真展終了後、反省会を開きました。準備期間や当日のことを振り返り、どうすればもっとよい写真展にすることができたかを考えるためです。同僚の董林先生に授業の進め方について相談した時、先生は「たぶん彼らは意見を言わないと思いますよ」と言っていました。少し変に思ったものの、その時は「そんなことはないだろう」と思っていました。 しかし、結果は先生が言ったとおりとなりました。「成功」「すばらしい」という声は上がります。しかし、改善点について聞くと、「何もない」「百パーセント成功だった」と返ってくるだけです。グループで話をさせても、彼らは話し合おうとはしませんでした。 生徒から当然、意見が出るだろうと思っていた私は戸惑いました。そこで、写真展を見た人たちの感想をまとめたプリントを配りました。人の意見や感想は気になるようで、これは食い入るように見ていました。授業の最後に、「振り返ることの意味について考えてみてください」と生徒たちに投げかけました。「経験はすぐには力にならない。考えてこそ力がついていくんだよ」と。生徒の反応はさまざまでした。まっすぐこちらを向いて理解しようと努める生徒、「そんなこと聞きたくない」と頭を抱えてしまう生徒、悲しそうにしている生徒、話を聞いていない生徒。 感想や意見(例えば、説明文の字が小さすぎて見えにくい、もっと分類して展示したほうがいい、など)をまとめたプリントも、批判されるという経験がほとんどなかった生徒たちにとっては、大きな心理的打撃だったようです。授業後に私のところへ来て、「先生は写真展が失敗だったと思っているんですか」と聞く生徒もいました。 授業が終わって、授業の進め方が悪かったのではないかと落ち込みました。そんな私に、董林先生は「彼らはこういうのに慣れていないからですよ」と教えてくれました。「終わったらそれで終わりです。欠点はあまり口にしません。でも、ぼくは振り返りをするのはいいことだと思います」と言いました。 今後、生徒たちが別の写真展を開くことはなくても、このことを生徒たちは忘れないと思います。生徒たちの心の中で、この出来事がどういうふうに育っていくのか、今後が楽しみです。 長春市第11高校 (所属は2003年6月現在)
澤田智穂子 |