2004年1月号 文通で世界が広がる |
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ミクロネシアから手紙が届きました。北寧高校の生徒の文通相手となるミクロネシアの高校生からです。 ミクロネシア在住の青年海外協力隊員、由紀子さんの「文通相手を募集しています」というメールを見たのが、文通を始めるきっかけでした。それまで「日本語の文通=日本人との文通」と思っていましたが、日本語学習者同士が文通することもとても素敵なことだと思ったのです。生徒に「日本語で文通したいですか」と聞くと、「は~い!」と元気な声。「ミクロネシアの生徒が手紙を書いてくれます」と言うと、みんな「?」という顔。教室に張ってある世界地図でミクロネシアを指し示すと、「文通したいです!!」と生徒。 初めて届いたミクロネシアの生徒の手紙は、平仮名と片仮名で書かれていました。自分の名前を間違っていたり、「す」の字が反対を向いていたり…。でも一生懸命書いたことは伝わってきました。 次の授業で、手紙に同封してもらったCD-ROMの映像を生徒に見せました。ミクロネシアの人が映ると、「わあ、黒い!」「太い!」「大きい!」とみんなびっくり。中国の生徒と比べてミクロネシアの生徒は体も大きく堂々とした感じで、肌の色も黒い。「大きくて怖い」という生徒もいましたが、私が「南の島では、大きくて太いほうがきれいでかっこいいっていう島もあるそうですよ。国や地域によって、いろんな考え方があって、価値観も違いますね。違うからおもしろいですよね」と言うと、生徒たちは「おもしろいです!」「何を食べているんだろう?」「もっと知りたいです!」と口々に言っていました。また、映像だけでなく、クイズをしながら、生徒にミクロネシアについて教えました。人口約11万人、面積約701平方キロメートル。人口も面積も、北寧市の5分の1くらいです。北寧市は中国の中でも本当に小さい市です。その北寧の5分の1の大きさの国があるということは、生徒にとってすごく新鮮でした。また、キリスト教を信仰する人が大半なので、彼らにとって大切な行事がクリスマス。中国人にとって大切な「春節」と比較させたりもしました。 こちらからの手紙は、相手のことを考えて、平仮名と片仮名で書くことにしました。中国の生徒にとって漢字を使わないのはとても難しい。でもミクロネシアの生徒は漢字で書かれると困ります。いろんな学習者がいることを知るのは、私にとっても生徒にとっても有意義なことでした。 外国語を学ぶことで、自分の感じる世界、自分の表現したい世界が広がり、ものの見方も多様になります。言葉だけでなく言葉を超えた発見を生徒とともに感じたいと思います。 東 香世
(東さんは、2001年7月から2年間、青年海外協力隊員として北寧高校で日本語を教えていました。) |