2004年4月号 日本語教師コンテストを開催して |
---|
2003年12月20~21日に、遼寧省基礎教育教研培訓中心で日本語教師コンテストを開催しました。これは、総合的な日本語能力と日本語教授能力を競うもので、遼寧省の各地から6人の中学教師と9人の高校教師が参加しました。 私は、遼寧省基礎教育教研培訓中心配属の初代青年日本語教師(国際交流基金派遣)として、2002年に赴任しました。そして、(財)国際文化フォーラムと国際交流基金、各省の教育学院が共催した中国中高校日本語教師研修会をはじめ、主に遼寧省の小中高校教師の研修に携わってきました。これらの研修会では、従来の知識伝達重視の教授法ではなく、コミュニケーション重視の教授法や生徒参加型の教授法などを扱いました。こういった研修がどのように生かされているのかを確認するとともに、教師間の交流の機会を設けることがコンテストの目的でした。 開催にあたっては、運営面を同僚で日本語教研員の曽麗雲先生が、教務面を私が中心になって準備しました。また、同じく同僚で日本語教研員の姜万錫先生と、瀋陽師範大学の日本語の先生2人と私の4人が審査員を務めました。省内各地の日本語教研員にはコンテスト参加教師の推薦と諸連絡をお願いしたり、開催中の運営も手伝ってもらったりするなど、多くの方々から協力を得ました。 一日めの午前は、中学高校別に聴解テスト、課題文の朗読、口頭での要約、作文を実施し、「聞く・話す・読む・書く」の4技能を審査しました。午後、出場者に自分が担当している学年の教科書の教案を作成してもらいました。教案には、現在使用している教科書から任意の1課を選んで、その課全体の流れと各時間の簡単な授業内容、さらに1時間の教案を書いてもらいました。翌日、出場者に教案を口頭で発表してもらいました。教案には、研修会で得た教授法が織り込まれていました。例えば、絵や文字のカード、実物、ビデオのような視覚に訴える教具を使用したり、ゲーム、ロールプレイ、会話などをしながらワークシートを完成させるタスクを取り入れたりするなど、生徒の意欲を高めようとする教師の工夫が見られました。また、簡単な教室用語は日本語を使っている教師も多くいました。そのほかに、異文化に対する柔軟な姿勢を養ったり、道徳教育を取り込んだりするなど、生徒の資質を高めようとする教案もありました。そして、審査の結果、語学部門、教授法部門、総合部門合わせて10人が入賞しました。 今回のコンテストを通して、研修の成果が着実に現れていることが分かりました。また、教師たちが自分の日本語能力を知り、他校の教師の教授法を知ることは大変いい勉強になったと思います。参加した教師たちから、これからもこのようなコンテストを多く実施してほしいという声が上がりました。私たち主催者も、教師研修を行うとともに、教師が研修成果を発表し交流する、このような機会を今後も設けていきたいと思います。 遼寧省基礎教育教研培訓中心
稲田登志子 |