2005年9月 固定観念を捨てよう |
---|
私は、2005年1月から3月まで「中国中等学校日本語教師研修」(国際交流基金主催)に参加し、日本に滞在しました。いろいろなことを自分の目で見て、自分の耳で聞いて、日本語教育に対する考え方がだいぶ変わりました。 「日語課程標準」でも掲げられているように、日本語を教える時には、日本語だけでなく日本文化や日本に関する知識も教えるべきです。しかし、私は以前、日本文化を教える時に、自分が大学で勉強した内容や、当時自分が抱いた日本に対するイメージを生徒に教えていました。例えば、「日本人は働きすぎます」とか、「日本は男性中心の社会です」といったようなことです。今回の研修を通じて、特に加納陸人先生の「教科書と文化」の講義を聴いて初めて、自分が日本文化を教える時に間違いをしていたことに気づきました。社会が変わるにしたがって、文化や考え方も変わります。野村総合研究所が行った1万人を対象にしたアンケートによると、日本人の価値観や考え方は変わってきています。例えば、2000年の仕事派11.6%に対して、家庭派は47.8%でした(野村総合研究所「調査レポート」参照)。社会で活躍する女性もずいぶん増えてきました。ですから、「日本人は働きすぎます」「日本は男性中心の社会です」などの見方はもう適当ではありません。このことからも分かるように、日本文化に対して「固定観念」を持ってはいけないと思います。 生徒が日本に対してどのようなイメージを持つのかは、日本語教師の影響が大きいです。ですから、日本語教師は自分が持っている固定観念や先入観を改め、相手の文化を見つめ直したほうがいいと思います。また、ほかにも注意すべきことがあります。「日本人」と言う時は、一つの集団を表します。しかし、この集団はそれぞれ違う個人個人からなっています。だから、日本文化を教える時に「日本人は…」という言い方は避けたほうがいいと思います。 社会は変化しています。世界は「地球村」となり、各国の文化がお互いに与える影響も大きいです。私たちは自明のこととして固定的に捉えてきた自分の文化を再認識することも必要だと思います。文化だけではなく、社会変化とともに、新しい言葉(流行語)がどんどん出てきます。それに対して、古くなって「死語」になっていく言葉もあります。ですから、日本語教師として「生涯勉強」の自覚を持ったほうがいいと思っています。 済南外国語学校
石涛 |