教学設計
 
第17号 2003/10
概要
「自分から見た私」と「友達から見た私」を比較して、自分のことを見つめなおす。
目標
情意目標
自分から見た私」と「友達から見た私」の比較を通して、自分という人間を見つめなおすことができる。
自分がほかの人からどう見られているのかを知って、それまで気がつかなかった自分に気がつく。
外見と実際の差を認識したり、先入観や外見で判断してしまう危険性を知る。
ある友達に対してほかの人はどう思っているのか、本人はどう思っているのか、いろいろな見方を知ることができる。
言動目標
性格を表す言葉が分かり、それらを使って自己表現ができるようになる。
学習文法・文型
・~と思っていた
・~と思われている/と言われる(受け身の形)
・~たらいい/~たらと思う
・~ばと思う
対象学習者
高校1、2年
夢と性格を考える
 高校『日語』1-1 「わたしたちの夢」
主人公の性格を考える
 高校『日語』1-16 「おばあさんの知恵」
 高校『日語』1-19、20「手品師」
 高校『日語』2-10 「自転車世界一周」
 高校『日語』2-16 「思い出」
授業のヒント
用意するもの
素材文・語彙・文型
ワークシート1ワークシート2
写真(優と友達、有真と友達、俊一と友達)
・原稿用紙
事前準備
教室に写真を張っておく。教師は写真の主人公がどんな性格の高校生か想像してみるようにと言う。
1.教科書の主人公の性格について話す (3分)
<高校第2冊「思い出」の場合の発話例>
教師:
この話の男の子2人の性格を考えてみましょう。大きな男の子はどんな性格ですか。
生徒:
この人は正直な人だと思います。
生徒:
まじめな人でしょう。
2. 性格を表す単語を導入する (10分)
(1)
教師が黒板に性格を表す言葉を書く。
〈例〉静か、明るい、やさしい、まじめ、おもしろい、元気、親切、好奇心がおうせい、楽観的、前向き、向上心が強い、活動的、すなお、物事をよく考える、社会性がある、(~に)忠実、マイペース、自分勝手、忘れっぽい、物事をまじめに考える(考えすぎる)、神経質、臆病、思いやりがある、積極的
(2)
生徒は、黒板に書いてある単語の中から、自分が分からない単語をさがし、教師に質問する。教師は中国語訳を教える(すぐに教えないで漢字から想像させるのもいいでしょう)。
(3)
ペアになって、お互いがよく知っている人物を挙げて、性格について質問し合う(人物は漫画、ドラマの登場人物、歌手など誰でもいい)。
<発話例>
生徒:ドラえもんはどんな性格ですか。
生徒:明るくて、楽観的な性格です。教室の雰囲気をなごませる。
3. 写真を見て性格を想像する (5分)
(1)
生徒は教室に張ってある写真を見る。
(2)
3人の性格を想像してワークシート1に書く。
4. 素材文を読む (10分)
(1)
クラスを六つのグループに分け、グループごとに異なる素材文を配る。生徒は各自、素材文を読みながら、ワークシート1を完成させる。
(2)
グループごとに発表する。教師は黒板にワークシート1を書いておき、発表内容を黒板に書く(生徒に書かせてもいい)。生徒は自分のワークシート1の空欄を埋める。
(3)
生徒は、3で写真を見て想像したものと、素材文を読んで分かったことが同じだったかどうかを話す。
5. 自分について考える (3分)
(1)
活動の趣旨を説明する(母語を使ってもよい)。
<発話例>
教師:「みなさんは、友達が自分をどう思っているか知りたいと思ったことはありませんか」
教師:「どうやったら自分のことがよく分かりますか(生徒は母語で答えてもいい)」
教師:「これから、自分と友達について考える活動をします」
(2)
生徒は4人ずつグループになる。教師はワークシート2を1人2枚ずつ配る。
(3)
生徒は各自、ワークシート2枚のいちばん上に自分の名前を書く。
(4)
ワークシートの1枚に、自分にあてはまると思う性格を選んで○を七つ塗る。(七つの性格に一つずつ○を塗ってもいいし、一つの性格に○を複数塗ってもいい)。
6. 友達について考える (6分)
(1)
もう1枚の紙をグループの友達(生徒A)に渡す。生徒Aは友達の性格をよく考えて、○を七つ塗る。
(2)
終わったら紙をグループ内で(生徒B→生徒C)回して、それぞれが七つ○を塗る。
7. ワークシート2枚を比べる (3分)

<発表例>
・ワークシートを比較してどう思ったかを言う。
・「友達から見た私」で、理解できない点があれば、友達に質問する。友達はそう判断した根拠を言う。



  • 2枚を比較することで、他人から見た自分が分かり、自分の性格を再認識できます。
  • 塗る○の数は七つでなくてもかまいません。
  • 性格の項目は、既習の語彙や素材文で出てきた語彙の中から、性格を表す語彙を生徒が選んでワークシートに記入してもいいでしょう。
  • ワークシートの単語はすべてプラスの意味の単語にしています。他人からプラスの評価をされると自信が持てるものです。クラスの実情や雰囲気によってはプラスとかマイナスを考えないでワークシートを作り、もし友達からマイナス(と感じる)評価を受けた時、積極的にその評価を受け止める思考方法を伝えられたらいいですね。
発展
  • 5、6の活動は、時間をおいて何回かやることで自己理解や他者理解が深まるでしょう。
  • 5、6では、生徒に自由にグループをつくらせるといいでしょう。仲のよい友達同士のほうが、相手のことをよく知っている上、相手が自分のことをどう思っているのかを知りたい気持ちも強くなるでしょう。

執筆:中新井綾子(吉林省教育学院所属、国際交流基金派遣青年日本語教師)
協力: 李京煕先生(長春市朝鮮族中学)、董賀先生(長春市第8中学)、加藤悦子隊員(長春市第8中学)、澤田智穂子隊員(長春市第11高校)、辻聖子隊員(長春市朝鮮族中学)(所属は2003年6月現在)